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セシリアサイド 暴走するヒロイン

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意識をすればマーカスやミアの周りには既に武装した警備隊員が詰めている。

セシリアがアリアンナに目で合図を送ると、警備隊の者達がミアを取り囲んだ。

「話を聞きたいので、ご同行願います」

隊長らしき男性がミアに手を差し出した。

「話?話なんてないわよ。それよりさっさとそいつを牢屋に放り込んで」

セシリアを指差しながらミアがふんぞりかえるように言うと、別の警備隊に囲まれていたマーカスが警備隊を強引に退かしミアを殴ろうと右手を振り上げた。

「キサマ、さっきから俺の婚約者に向かって無礼だ」
「うっさいわね。アタシはこの世界のヒロインなんだから、アタシの言う事ききなさいよ」

違います、婚約者ではありません。
と、セシリアは仮面の下で冷静に否定していたが、ミアも負けずにマーカスに掴み掛かると暴言を吐きながらマーカスの頬を叩こうと手を上げた。

「見苦しいですよ」

隊長が呆れながらミアの腕を掴み、後ろ手に拘束した。

「ぎゃあ、痛い痛い。なんでアタシの邪魔するのよ。アタシはこのゲームのヒロインなの。イケメン達にチヤホヤされる筈なの」

意味の分からない警備隊達はイラッとした顔をしていたが、セシリアは仮面を忘れ心底呆れた、と言いたげな顔をしていた。

「何が仰りたいのか、まるで分かりませんが」

セシリアのため息混じりの言葉に、分かる方がおかしい、と周りの者達が白けた顔でミアを見ているが、当人は

「アタシはこのゲームのヒロインなの。アンタは悪役令嬢で、惨めったらしいカッコを晒して幽閉されなきゃいけないの」

更に何が言いたいのかわからない事をベラベラ喋り出し、暴れ始めた。

「ライン様がお困りになってない事を願いますわ」

小さな声で呟くと、顔を上げ漸くミアを抑え込んだ警備隊の隊長の顔を見詰めた。

「王族への暴力は厳罰となると聞いております。証言をする事もあると思いますが」
「ウィンストン公爵令嬢。現行犯ですので御足労は無用かと思いますが、もしもの時はお願い致します」

礼儀正しい隊長の言葉に甘え、セシリアはアリアンナ達の元に向かった。

警備隊がミアを引き摺る様に会場から連れ出し、教師達がサマーパーティーの開会を宣言した後は予定通り、サマーパーティーは騒めきは残ったが楽しげな空気を残しつつ、無事に終わって学生達も帰り支度を始めていた。

アリアンナがアーロンの見送りの為、その場から離れ、皆の目がセシリアから逸れた時間があった。
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