［完結］入れ替わってしまいました。悪役令嬢にはスマホは必須です。

ナルサスサイド 焦りだけではない

ナルサスサイド


「セシリア様が止まりました」
蓮、と呼ばれた青年が携帯の地図を見て確認すれば、やはりザガリン侯爵の別邸だった。

よく分からない物だが携帯と言うもののお陰でセシリアの行方が判明した事に安堵したが、まだ助けた訳ではない。
焦る気持ちに思考がブレそうになる。

「ザガリン侯爵家に向かうものと王の許可を取るものとで二手に分かれよう」

ナルサスの言葉にセレナ達は頷き、多少荒事になっても対処できるもの達が向かう事になった。

「私達はセレナ様の護衛ですので」

蓮とアリスの2人が胸に手を当て、軽く頭を下げる。
細身に見えるが鍛えられている彼等なら心配は無いだろう。

「セシリア嬢は私の婚約者ですし、剣には自信があります」

当然と言った顔でシルヴァンもセシリア奪還チームに加わり、少数精鋭で迅速に動く事が決まった。

「邪神の力で操っているかもしれないので、シルヴァンさんは特に気をつけて下さい」

ラインと意思疎通をしているセレナの顔が引き締まった。

「ラフィーネとアリアンナ嬢は邸で待機しててくれ」

ナルサスにラフィーネ達が泣きそうな顔で頷く。

「頼んだぞ」
「任せて。必ずセシリアたんを奪還してくるから」

セレナ達は力強い返事を残し、栗色の髪を靡かせ馬車へと走った。