[完結]入れ替わってしまいました。悪役令嬢にはスマホは必須です。

紅月

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セシリアサイド 言い表せない失望感

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セシリアサイド


慌ただしく馬車がザガリン侯爵の別邸に着き、セシリアは腕を引っ張られる様に別邸の中に入った。

慌てて飛び出して来たザガリン侯爵をマーカスはセシリアの腕を掴んだまま邪神の力で服従させ、そのまま奥へと進み、人形の様に無表情な護衛官に辺りを警戒する様命令した。

無駄に華美な趣味の悪い部屋に2人っきりになった事にセシリアは嫌悪感を覚えたが、縛られていない事に安堵もしていた。

「もう大丈夫だ。これからは神の力を持つ俺がお前を守ってやる」

乱れた髪をかき上げるマーカスの血走った目を睨むとセシリアは冷静な声で自分を解放する様言った。

「神の力?その様なあやふやな物、信じられませんわ。わたくしを解放して下さい」
「解放?もちろん王命から解放してやる。俺が王になるんだから、父上の命令など意味がない」

マーカスの前に立つセシリアは毅然と顔を上げ、怯えた様子も無く媚びる事も神の力で魂が抜けたかの様な気配もない。

セシリアには邪神の力がまるで及ばない事にマーカスは気が付いていなかった。

「神の力で、俺は王になる。セシリア、お前は王妃になるんだ」

マーカスの言葉に言い表せない失望感を感じたセシリアは黙ってマーカスを見ていた。
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