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幸せは携帯のお陰?
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「お兄様、初恋のセシリア様と正式に婚約できたせいか、お顔に締まりがなくなりましたね」
アリアンナの呆れた、と言いたげな視線にシルヴァンは涼しい顔で
「朗らかになった、と陛下は仰ってくださったよ」
と返してきた。
確かに美形だが、いつも無表情だった兄が柔らかな表情を浮かべているのは妹としても嬉しい。
しかもその優しい視線はいつも大切な親友に向けられている。
「セシリア様が幸せになるのはやはりセレナさんのお陰かしら?」
「そうかもしれない。あの方がいらっしゃらなければバーバラ様の思惑通りセシリアはマーカス様の婚約者になっていた筈だ」
家柄も年齢も問題のない上、マーカスはセシリアに執着していたからそうなる方が自然だ。
「セシリア様があちらの世界で携帯の中で見た絵にお兄様を見付けなければ不幸な選択をされていたかもせれませんわ」
アリアンナの言葉にシルヴァンが頷く。
「本当に携帯とか言う物のおかげかもしれないな」
そう言ってセシリアを出迎える為玄関へ向かう兄の背中をアリアンナは嬉しそうに見て、自分の部屋へと戻った。
セシリアとシルヴァンは、セシリアが学園を卒業した次の日に晴れやかな結婚式を挙げた。
卒業の余韻もなく、とアリアンナがぶつぶつ言っていたが、セシリアの輝く様な笑顔に次第に笑みが浮かび、自分の婚約者であるアーロンと祝福の拍手を2人に送った。
その後、シルヴァンは愛妻家で有能な侯爵となり、王位を継いだアーロンの側近として社交界の注目を集め、セシリアは才色兼備の侯爵夫人として3人の子供にも恵まれ、何時も幸せそうに微笑んでいた。
アリアンナはアーロンと婚礼を挙げた後、低かった女性の地位向上に尽力を尽くす賢妃として歴史に賢王となった、夫アーロンと共に名を残した。
学園でセシリア達と交流を持ったイザベルやリリアンはセシリアからの願いを聞き、アリアンナの侍女として夫達と共に王家を支える者となってもセシリア達との友情は絶えることが無かった。
ゲームではヒロインしか幸せにならなかったが、彼女達は確かに幸せを掴み取って自分達の人生を謳歌していた。
「……って感じになる」
結城家のサロンで優雅にお茶を飲むラインの話を聞き終わるとセレナは満面の笑みで喜んでいたが、アリスは眉間のシワを指で揉んでいる。
「アリスどうしたの?」
セシリアがアリスの顔を覗き込むと不思議そうに首を傾げた。
「あの後の事が分かるのは良いけど、何でこの人、ウチに居るの」
「この世界では、私は此処しか知らないからね」
ラインのセリフに肩からがっくり力が抜ける。
「そうですか。でも、セシリアさん達が幸せになる、とわかってホッとしました」
眉間から指を離し、アリスも安堵の笑みを浮かべると、ラインはニコニコしながら頷いた。
後一回で終わります。
アリアンナの呆れた、と言いたげな視線にシルヴァンは涼しい顔で
「朗らかになった、と陛下は仰ってくださったよ」
と返してきた。
確かに美形だが、いつも無表情だった兄が柔らかな表情を浮かべているのは妹としても嬉しい。
しかもその優しい視線はいつも大切な親友に向けられている。
「セシリア様が幸せになるのはやはりセレナさんのお陰かしら?」
「そうかもしれない。あの方がいらっしゃらなければバーバラ様の思惑通りセシリアはマーカス様の婚約者になっていた筈だ」
家柄も年齢も問題のない上、マーカスはセシリアに執着していたからそうなる方が自然だ。
「セシリア様があちらの世界で携帯の中で見た絵にお兄様を見付けなければ不幸な選択をされていたかもせれませんわ」
アリアンナの言葉にシルヴァンが頷く。
「本当に携帯とか言う物のおかげかもしれないな」
そう言ってセシリアを出迎える為玄関へ向かう兄の背中をアリアンナは嬉しそうに見て、自分の部屋へと戻った。
セシリアとシルヴァンは、セシリアが学園を卒業した次の日に晴れやかな結婚式を挙げた。
卒業の余韻もなく、とアリアンナがぶつぶつ言っていたが、セシリアの輝く様な笑顔に次第に笑みが浮かび、自分の婚約者であるアーロンと祝福の拍手を2人に送った。
その後、シルヴァンは愛妻家で有能な侯爵となり、王位を継いだアーロンの側近として社交界の注目を集め、セシリアは才色兼備の侯爵夫人として3人の子供にも恵まれ、何時も幸せそうに微笑んでいた。
アリアンナはアーロンと婚礼を挙げた後、低かった女性の地位向上に尽力を尽くす賢妃として歴史に賢王となった、夫アーロンと共に名を残した。
学園でセシリア達と交流を持ったイザベルやリリアンはセシリアからの願いを聞き、アリアンナの侍女として夫達と共に王家を支える者となってもセシリア達との友情は絶えることが無かった。
ゲームではヒロインしか幸せにならなかったが、彼女達は確かに幸せを掴み取って自分達の人生を謳歌していた。
「……って感じになる」
結城家のサロンで優雅にお茶を飲むラインの話を聞き終わるとセレナは満面の笑みで喜んでいたが、アリスは眉間のシワを指で揉んでいる。
「アリスどうしたの?」
セシリアがアリスの顔を覗き込むと不思議そうに首を傾げた。
「あの後の事が分かるのは良いけど、何でこの人、ウチに居るの」
「この世界では、私は此処しか知らないからね」
ラインのセリフに肩からがっくり力が抜ける。
「そうですか。でも、セシリアさん達が幸せになる、とわかってホッとしました」
眉間から指を離し、アリスも安堵の笑みを浮かべると、ラインはニコニコしながら頷いた。
後一回で終わります。
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