[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月

文字の大きさ
15 / 41

イジメ?ではない様です

しおりを挟む
ドラゴンと会ってから数日後、モルセラとマロウはサンキライの言葉にモヤモヤしていた。

「アリッサに惚れるなよ」

その後に告げられた呪いの事でその言葉が額面通りでは無いことくらい解っている。
解っているからモヤモヤしているが、何をしたらいいのかわからなくて、溜息が漏れそうになった時、アリッサが2人の女子生徒に慌てながら何かを話している姿が見えた。

「虐めですか?」
「分かりません。ですが、アリッサ嬢は困っている様ですね」

モルセラが眉を顰め、女子生徒達を見ると、マロウがアリッサ達の方へ歩み寄って行った。



「……ですから、受け取れません」
「駄目よ。折れた剣を直そうとしたらこうなったんだもの」
「そうよ。アリッサさんには実験に使う素材をいつも分けてもらっているんだから、これくらい受け取って」

聞こえなかった会話が聞こえ、モルセラ達が首を傾げた。

「何を揉めているんですか?」
「ハルキシア侯爵令息」

突然マロウ達が現れ、驚いたアリッサが2人の女子生徒達の存在を忘れ、振り返った。
振り返ったアリッサが手に持っている短剣にモルセラの目が行った。

「オリハルコンの短剣」

騎士のモルセラならそれが何かなど言われなくても分かる。
神の黄金とも呼ばれる希少な金属。

「えっ?オリハルコン。おい、それって」
「先に言いますけど、王家の宝物庫から持って来たものではありません。私達が作った物ですわ」

マロウが慌ててアリッサを見たが、横から否定する言葉が出て、マロウはアリッサの横に立っている女子生徒達を見た。

「ハルキシア侯爵令息。こちらの方はエニシダ・ネムタス伯爵令嬢とランタナ・メリス子爵令嬢です」

エニシダ、と呼ばれた女子生徒は深緑の髪にカナリアイエローの瞳をした背の高い美少女で、ランタナと呼ばれた方は明るいオレンジ色の髪に紫の瞳をした小柄な少女で、愛らしい顔を膨らませマロウを睨んでいる。

「今、作った、と言っていた様だが」
「はい。私達が作りました。作り方は古い魔法大全集に載っております」

しっかりと答えたのはランタナの方で、エニシダはハラハラしながらランタナとマロウを交互に見ている。

「それは昔から不可能な錬成、と言われているものだ」
「不可能だから試さない?それは知識への冒涜です」

可愛い見た目に反し性格はかなりきついのだろう。だが、知識への探究心は賞賛できる。

「証明として、僕が見ている所で再現して貰えるかな?」
「勿論、喜んで」

売り言葉に買い言葉、の2人をエニシダはオロオロしながら見ていたが、突然背後からファルシオンが話に割り込んで来た。

「メリス子爵令嬢、そのアリッサの短剣を貸してくれ」
「ファルシオン先生」
「これで厄介な物が壊せる」

と、何の説明もせずファルシオンは短剣を受け取り、あっという間に姿を消した。

「何の話です?」

あまりの素早さに対応しきれなかったランタナが目を丸くしていた。

「すみません。師匠が奇妙な魔力溜まりがどうの、と言ってたのでその事だと思います」

アリッサもファルシオンの行動を全て把握している訳ではないので不確定な言葉しか出ない。

「それより、オリハルコンの錬成はどうなりました?」

マロウが有耶無耶にするのか、と言いたげな顔でランタナを挑発する。

「アンサシアの根が手に入りましたら、すぐにでもお見せしますわ」

そう強気で言いながら、すまなそうにアリッサを見た。
希少素材の入手先はアリッサの腕に掛かっている。

「……ダンジョンに行って来ます」

自分が行かなければ、全く魔獣討伐訓練をしていないランタナが行くと言いそうだ、とアリッサは理解していた。

「私も参ります。アリッサさんばかりに頼っていては駄目ですもの」

エニシダが同行を申し出た。

「ネムタス伯爵令嬢」

マロウでは無く、モルセラが焦った顔でエニシダの名を呼んだ。

「ご心配ありがとうございます。ですが、これでも武門の人間。ダンジョンには慣れております」

気の弱そうな態度だが、エニシダはか弱い令嬢ではない。
騎士科では上位の成績を修めている、将来有望の女性騎士である。

「エニシダ様。同行して頂くのは有難いですが、決して無理はしないでください」
「勿論です。自分の力量は理解してます」

アリッサの忠告に、エニシダは素直に頷いた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ガリ勉令嬢ですが、嘘告されたので誓約書にサインをお願いします!

荒瀬ヤヒロ
恋愛
成績優秀な男爵令嬢のハリィメルは、ある日、同じクラスの公爵令息とその友人達の会話を聞いてしまう。 どうやら彼らはハリィメルに嘘告をするつもりらしい。 「俺とつきあってくれ!」 嘘告されたハリィメルが口にした返事は―― 「では、こちらにサインをお願いします」 果たして嘘告の顛末は?

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

[完結]私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月
恋愛
病気で死んだけど、生まれ変わる前に号泣する女神様に会った。 何やらゲームのパッケージを見て泣きながら怒っている。 「こんなの私の世界で起こるなんて認めない」 あらすじを読んでいた私に向かって女神様は激おこです。 乙女ゲームはやった事ないけど、この悪役令嬢って書かれている女の子に対してのシナリオ、悲惨だ。 どのストーリーを辿っても処刑一択。 ならば私がこの子になってゲームのシナリオ、改ざんすると女神様に言うと号泣していた女神様が全属性の魔力と女神様の加護をくれる、と商談成立。 私は悪役令嬢、アデリーン・アドラー公爵令嬢としてサレイス王国で新しい家族と共に暮らす事になった。

ゲームには参加しません! ―悪役を回避して無事逃れたと思ったのに―

冬野月子
恋愛
侯爵令嬢クリスティナは、ここが前世で遊んだ学園ゲームの世界だと気づいた。そして自分がヒロインのライバルで悪役となる立場だと。 のんびり暮らしたいクリスティナはゲームとは関わらないことに決めた。設定通りに王太子の婚約者にはなってしまったけれど、ゲームを回避して婚約も解消。平穏な生活を手に入れたと思っていた。 けれど何故か義弟から求婚され、元婚約者もアプローチしてきて、さらに……。 ※小説家になろう・カクヨムにも投稿しています。

【完結】姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?

堀多 ボルダ
恋愛
「お姉様、このマクレディ伯爵家は私が後を継ぎます。お姉様は邪魔なので今すぐこの家から出ていってください」 両親の急逝後、伯爵家を切り盛りしていた姉を強引に追い出して妹ダリアは当主となった。しかし、それが原因で社交界からは稀代の悪女として嫌われるようになった。 そんな彼女の元を訪ねたのは、婿に来てほしい男ナンバーワンと噂される、社交界で人気の高い幼馴染だった……。 ◆架空の世界にある架空の国が舞台の架空のお話です。 ◆カクヨムにも掲載しています。

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

乙女ゲームっぽい世界に転生したけど何もかもうろ覚え!~たぶん悪役令嬢だと思うけど自信が無い~

天木奏音
恋愛
雨の日に滑って転んで頭を打った私は、気付いたら公爵令嬢ヴィオレッタに転生していた。 どうやらここは前世親しんだ乙女ゲームかラノベの世界っぽいけど、疲れ切ったアラフォーのうろんな記憶力では何の作品の世界か特定できない。 鑑で見た感じ、どう見ても悪役令嬢顔なヴィオレッタ。このままだと破滅一直線!?ヒロインっぽい子を探して仲良くなって、この世界では平穏無事に長生きしてみせます! ※他サイトにも掲載しています

【完結】異世界から来た聖女ではありません!

五色ひわ
恋愛
 ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。  どうすれば良いのかしら?  ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。  このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。 ・本編141話 ・おまけの短編 ①9話②1話③5話

処理中です...