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元凶を特定します
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アリッサ達が転移魔法陣に姿を現し、ダンジョンでの経緯をエリンジウム達に話している時、ファルシオン達が戻ってきた。
「師匠」
アリッサが自分のフードの中でスヤスヤ眠るカーバンクルの話をしようと顔を向け、驚いた顔をしてからクスッと笑った。
「師匠、楽しそうですね」
「楽しかったぞ」
2人の会話の意味が解らないエリンジウムは首を傾げたが、モルセラが担ぐアンサシアの根の大きさにランタナ達が狂喜乱舞する。
「これだけあれば大丈夫です」
「何の話だ?」
蚊帳の外に置かれているエリンジウムが眉を顰めると、マロウが簡単な説明をしながらファルシオンの部屋に歩き出した。
「そんなにトラップが……」
「時間は全部1000年後に改ざんしました」
唖然とするエリンジウムにマロウが真面目な顔で対処は終わっている事を告げた。
「それで何を作るの?」
ミモザが初めて見るアンサシアの根を繁々と見ながらランタナに聞けば
「映像や音声を記録できる魔道具ですね」
と、ダンジョンから戻ったばかりのエニシダがすぐに理解し、準備に取り掛かった。
アリッサは人の輪から少し離れ、ファルシオンとカーバンクルと話をしている。
「大地の賢者が情報と引き換えにカーバンクルの復活を願うとはな」
「アンサシアはカーバンクルと共生していますから」
『仲間が殺された。アンサシアが狩り、出来ないと、俺達も困る』
何があったか聞かなくても分かる。
「コレは闇市で、高値で取引されているからな」
カーバンクルの額の赤い石は宝石よりも高価な物として密猟が後を経たない。
密猟によって獲物を誘き寄せるカーバンクルが居なくなっては、アンサシアは狩ができない。
そしてアンサシアの花や蜜が主食のカーバンクルもアンサシアが狩りができないと飢え死にしてしまう。
「で、情報は?」
『元凶に必要ない、って言わせれば呪い、解除される』
「何故?」
『元凶、この鎖使って、時間迷路、遡ってる』
カーバンクルの小さな手がアリッサの左手首に絡み付く鎖を叩く。
「自分で繋いだ鎖を自分で切らせる、と言う事か」
ファルシオンの言葉にカーバンクルが小さく頷いた。
アンサシアは大地に根を張る魔物で、悠久の時を生き、世界中の動きを見ていると言われている。
何処かで元凶がアリッサに呪いを掛けたことを知ったのだろう。
「情報に感謝する」
ファルシオンがそう言って手のひらに乗せていた赤い石に魔力を注ぐと、あっという間にカーバンクルが復活した。
「帰れますか?」
アリッサが腕の中に居る2匹のカーバンクルに声を掛けると
『送って、欲しい』
と、2匹は可愛らしい仕草でお願いしてきた。
「喜んで」
アリッサは2匹を抱えるとファルシオンに送ってくる、と伝え転移魔法陣の方に向かった。
「師匠」
アリッサが自分のフードの中でスヤスヤ眠るカーバンクルの話をしようと顔を向け、驚いた顔をしてからクスッと笑った。
「師匠、楽しそうですね」
「楽しかったぞ」
2人の会話の意味が解らないエリンジウムは首を傾げたが、モルセラが担ぐアンサシアの根の大きさにランタナ達が狂喜乱舞する。
「これだけあれば大丈夫です」
「何の話だ?」
蚊帳の外に置かれているエリンジウムが眉を顰めると、マロウが簡単な説明をしながらファルシオンの部屋に歩き出した。
「そんなにトラップが……」
「時間は全部1000年後に改ざんしました」
唖然とするエリンジウムにマロウが真面目な顔で対処は終わっている事を告げた。
「それで何を作るの?」
ミモザが初めて見るアンサシアの根を繁々と見ながらランタナに聞けば
「映像や音声を記録できる魔道具ですね」
と、ダンジョンから戻ったばかりのエニシダがすぐに理解し、準備に取り掛かった。
アリッサは人の輪から少し離れ、ファルシオンとカーバンクルと話をしている。
「大地の賢者が情報と引き換えにカーバンクルの復活を願うとはな」
「アンサシアはカーバンクルと共生していますから」
『仲間が殺された。アンサシアが狩り、出来ないと、俺達も困る』
何があったか聞かなくても分かる。
「コレは闇市で、高値で取引されているからな」
カーバンクルの額の赤い石は宝石よりも高価な物として密猟が後を経たない。
密猟によって獲物を誘き寄せるカーバンクルが居なくなっては、アンサシアは狩ができない。
そしてアンサシアの花や蜜が主食のカーバンクルもアンサシアが狩りができないと飢え死にしてしまう。
「で、情報は?」
『元凶に必要ない、って言わせれば呪い、解除される』
「何故?」
『元凶、この鎖使って、時間迷路、遡ってる』
カーバンクルの小さな手がアリッサの左手首に絡み付く鎖を叩く。
「自分で繋いだ鎖を自分で切らせる、と言う事か」
ファルシオンの言葉にカーバンクルが小さく頷いた。
アンサシアは大地に根を張る魔物で、悠久の時を生き、世界中の動きを見ていると言われている。
何処かで元凶がアリッサに呪いを掛けたことを知ったのだろう。
「情報に感謝する」
ファルシオンがそう言って手のひらに乗せていた赤い石に魔力を注ぐと、あっという間にカーバンクルが復活した。
「帰れますか?」
アリッサが腕の中に居る2匹のカーバンクルに声を掛けると
『送って、欲しい』
と、2匹は可愛らしい仕草でお願いしてきた。
「喜んで」
アリッサは2匹を抱えるとファルシオンに送ってくる、と伝え転移魔法陣の方に向かった。
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