[完結]私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

紅月

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そして全ては消え去った

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磨き上げられた大理石の様にも見える魔法具の水鏡が映し出していた映像が消え、ちゃぷんと小さな波紋を描いた。

「破滅プログラムは全て解除されました」

息を詰めるようにその場に居た者達はホッと肩から力を抜いた。

「サイレスから破滅プログラムの影響は微塵も感じない」

魔道具を操作していた者の言葉に悔しそうに唇を噛むグリルラが細かく震えているが多くの神々が漸く笑顔になった。

「王の交代はあらかじめ決めていたのか?」

水鏡で王宮での様子を見る主神ユーレイムの言葉にソーレイヌは首を振る。

「いえ。捩じ込まれた破滅プログラムの反動で、あのプログラムで恩恵を受けていたものほど悲惨な目に遭ったのだと思います」

ソーレイヌは仮説として思い当たる事を口にした。

主神ユーレイムの作った破滅プログラムが起動するにはいくつもの要素が必要で、その歪みに抑え付けられる者と恩恵を受ける者がいた。

アデリーンになってくれた者のお陰でグリルラが捩じ込んだ破滅プログラムの起動要素はかなりの数が取り除かれ、不完全な形でタイムリミットを迎え消滅したのだ。

「グリルラ、お前は随分前から破滅プログラムをソーレイヌの世界に組み込んだようだな」

ユーレイムが何を言おうとグリルラは唇を噛み、答えようとしない。

「破滅プログラムの影響は深かったな」
「はい。そのせいで元国王は賢王であったのに要らない苦労が多く、その息子達も辛酸を舐めていました」

歪まなければサイレス王家は賢王であった前国王のもとで家族が離散する事なく穏やかに繁栄する筈だった。

それだけでは無い。
多くの者達が人生を歪められ、生まれるはずのない存在に苦しめられていた。

欲の塊の様に見られているギュスタン王家も被害を受けた者達の1人だ。

本来なら資源はないが高い治水工事の技術を軸にした技術国家として平穏に国を運営していた筈なのに、歪みのせいで強欲な王と王女が生まれ今、国はその王女のせいで存亡の危機にある。

「被害を受けた者達が反撃した、と言うところか」
「彼らに平穏が訪れる様見守るつもりです」

ソーレイヌの言葉に主神ユーレイムは静かに頷いた。

「グリルラは此方で処分いたします」

ユーレイムの側近がソーレイヌに頭を下げ、神力を封印されているグリルラを連れて部屋から出て行った。
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