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2.エロ本の開示を阻止せよ
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「お主、この中に何が隠されているか知っていたのか?」
アレイシス国王が静かに問いかけると、真人様も真剣な表情でその問いかけに答えた。
「ああ。知ってるも何も、俺がフィリップに渡した物だからな」
「なに……?」
真人様の言葉にアレイシス国王は怪訝そうに眉をひそめた。
「異世界人が……!?」
「どういうことだ!?」
真人様の言葉に他の国王も驚きを隠せずザワつき始めた。そんな彼らにアレイシス国王はにらみを利かせ、再びその場はシンと静まり返った。
「それはどうやって手に入れたのだ?」
「ちょっとした裏ルートを使ったんだ。俺はそっち方面ではちょっとした有名人だからな」
そっち方面ってどうせエッチな分野のことでしょ?
なんで有名になっちゃってんの?
まさか例の特殊スキルとやらを、悪用してんじゃないでしょうね?
「なんだと? お主には監視を付けているはずだが。それを掻い潜って怪しい動きをしていたというのか?」
「ああ、あんたらみたいなこの国のお偉いさんに知られる訳にはいかなかったからな。監視は適当に撒かせてもらったぜ」
何やってんの監視の人。
ちょっとこれは今後の人選を考える必要がある。
アレイシス国王も深刻そうに頭に手を当てている。
「はあ。仕方ないな。その裏ルートとやらについては、後で詳細を聞く必要がありそうだな」
……え、国王が聞いちゃうの?
エロ本の裏ルートの詳細を?
いや待てよ。多分国王は真人様がその裏ルートで何かしらの怪しい情報を買ったと思っているのだろうけど。
……っていうか、これなんで会話が成立してるの?
どうやら真人様は、あの本の中身がエロ本だってバレてると思ってるみたいだけど。
まだ中の内容まではバレて無いことを伝えないと……でもどうやって……?
「ではお主は、そこの男を知っているのか?」
アレイシス国王は捕らえられている男を指さした。
真人様はその男の顔をまじまじと見ると、しばらくうーんと考え込み、ハッと顔を上げた。
「もしかして……あの時俺と取引きした奴か?顔を隠してたから分からなかったが」
「なんだと? お主、この男と取引きをしたというのか?」
アレイシス国王の表情はみるみる怒りに染まっていく。
「多分? こいつが捕まってるってことは、そういう事なんじゃないか?」
真人様が言うのは、裏ルートでエロ本を取引した相手のことだと思う。だけど、顔分からないって言ってるのに、そんないい加減な証言して大丈夫なの?
「この男がこの国の人間じゃないと知っての事か!?」
アレイシス国王の怒りはついに声を荒らげるまでに達している。
この場にいる人間は国王のその迫力に圧倒され、口を噤んだままその様子を見守っている。
しかし真人様は国王の気迫に慄く事無く、立ち向かっていく。
「仕方ないだろ!? この国じゃ満足出来なかったんだから!」
……つまり、国内のエロ本は規制が厳しいから、国外の物を仕入れたかったと彼は言いたいのだろう。
「なんだと!? お主この国に不満があると言うのか!?」
「いや、この国はすげえいい所だよ。だけど……だけど俺達にだって、どうしても譲れない事があるんだよ‼」
やめて。俺達って、さらりとフィリップ王子を仲間に加えないで!
アレイシス国王の睨みにも臆することなく、真人様は真剣な表情で真っ直ぐ国王と向かい合っている。
「まさか……フィリップもこの国に不満があるというのか?」
「え……?あ……」
フィリップ王子は呆気にとられているところに、突然話をふられて声がなかなか出てこないようだ。そんな王子を庇うように、真人様は話を切り出した。
「この国はちょっと厳しすぎるんだよ。フィリップももう子供じゃない。責任も取れるんだ。もっと性に自由になってもいいはずだ‼」
「生に自由だと? フィリップは生まれながらにこの国の王子だ!自由に生きる事など許されるはずがない!」
ええ? 性と生を取り違えるってかなり無理があるでしょうが!?
これはマズい。これ完全に真人様のペースに乗せられている!
「じゃあ俺達はやっぱり国外に希望を見出すしかないようだな!」
「な!? お主、フィリップと国外に逃げようとでも言うのか!?」
え……なんで国外逃亡の話になるの!?
「逃げじゃねえ! 未知の領域への挑戦だよ‼‼」
あんたも何言ってるの!? 馬鹿なの!? なに目指してんの!?
「貴様! いい加減にしろ‼ これは重罪だぞ‼ 極刑に値する‼」
「はあ!? こんな事で死刑って、頭おかしいんじゃねぇの!?」
国王もちょっとおかしいけど、あなたも相当頭おかしいと思う。
ちょっとこれどうすればいいの?
エロ本の開示もマズいけど、この流れもかなりやばいと思う。
「フィリップ! 一体どうなっているんだ!?」
国王は再びフィリップ王子を責めるように怒鳴った。
フィリップ王子は体を震わせながら困惑した様子で口を開いた。
「……僕にも……一体どうしてこんな事になっているのか……全く分かりません……」
それに関しては私も分からない。
なんでエロ本隠しただけで、異世界人と王子が国外逃亡する話になってるの?
「分からないだと? お主、まさかフィリップを洗脳してたのか!?」
この場合、明らかに洗脳を受けてるのは国王の気がする。
「……ふっ……うっ……っく……うう……」
突然聞こえてきた嗚咽に、皆の視線がそちらに向かう。
フィリップ王子の隣に座っているソフィア王妃が、手で口元を隠しながら頬を赤く染めて涙を流し、震えている。
その瞬間、国王の怒りの炎が頂点へと達した。
「きっさまあああ‼ 私の妻を泣かすとは何事か‼ 今すぐ死んで詫びろ‼ この者を今すぐ拘束せよ‼」
怒りで真っ赤に染まった国王の掛け声と共に、扉の外から衛兵が飛び出し、真人様を鎖で拘束し始める。
私は王妃様にそっと近寄り、ハンカチを手渡して様子を伺った。
……いや、この人めちゃくちゃ笑ってるわ。
口元隠して必死に笑いこらえてるけど、涙出るほどウケてるわ。
よく考えたら、ここにもう1人この本の真相を知っている人物がいた。
私が真人様に関して事細かく説明した時、エロ本を王子にプレゼントしてたことをうっかり王妃に話してしまっていた。
そうこうしてるうちに、真人様はすっかり拘束され、床に押さえつけられている。
「ちょっと、その者に質問してもいいですか?」
その様子を見ながら、突然ナイル国王が手を挙げ、アレイシス国王に声をかけた。
「ああ、好きにしろ」
ナイル国王は立ち上がり、真人様に向かって質問を投げかけた。
「異世界の者よ。あなたは一体どこの国に向かうおつもりだったのですか?」
「ん? どこの国のが良かったかってことか? そうだな……ダリウスト国のは凄かったな!」
「おお! 我が国ですと!?」
その言葉を聞いて、ダリウスト国王は驚きと歓喜の声を上げた。
「ん? あんたもしかしてダリウスト国の王様か!? あんたの国は最高だぜ! 夢が詰まってるぜ‼」
「ほっほっほ。そこまで言ってくださるとは、残念ですなぁ。直接相談してもらえれば、こちらもそれなりに準備しましたのに」
「え、まじで!? くっそぉー! 失敗したなぁ!」
本の中身知ってる私には「うちの国のエロ本すごいんです。相談してくれたら凄いやつ準備します」って公言してるようにしか聞こえない。
っていうか、おかしいでしょうが。
なんで自分が指示した刺客が、勝手に王子の国外逃亡に加担してるのよ。そこおかしいと思うでしょうが。
しかし、これはマズいな。
真人様を助けるには、中身がエロ本である事を正直に話すしかない。
人命か?フィリップ王子の名誉か?
「答えろ真人。お前達はダリウスト国で何をしようとしていたのだ!?」
恐らく、これが国王の最後の質問になるだろう。
この返答次第で、真人様の運命が決まる。
ギリギリまで待ってみるか。真人様はなんと返答するか。
最後の最後に奇跡を信じて――
「はぁ? そんなの決まってるだろ?」
私はその先を固唾を飲んで見守る。
すると真人様はイタズラするかのような笑みを浮かべながら口を開いた。
「そうだな。分からないんだったら、『何を』って10回続けて言ってみるんだな!」
? ……なにをなにをなに……っておい。
お前、この場で国王様にナニを言わせるつもりだ!?
奇跡起こしてんなよこの馬鹿野郎おおおおおおおお‼‼
アレイシス国王が静かに問いかけると、真人様も真剣な表情でその問いかけに答えた。
「ああ。知ってるも何も、俺がフィリップに渡した物だからな」
「なに……?」
真人様の言葉にアレイシス国王は怪訝そうに眉をひそめた。
「異世界人が……!?」
「どういうことだ!?」
真人様の言葉に他の国王も驚きを隠せずザワつき始めた。そんな彼らにアレイシス国王はにらみを利かせ、再びその場はシンと静まり返った。
「それはどうやって手に入れたのだ?」
「ちょっとした裏ルートを使ったんだ。俺はそっち方面ではちょっとした有名人だからな」
そっち方面ってどうせエッチな分野のことでしょ?
なんで有名になっちゃってんの?
まさか例の特殊スキルとやらを、悪用してんじゃないでしょうね?
「なんだと? お主には監視を付けているはずだが。それを掻い潜って怪しい動きをしていたというのか?」
「ああ、あんたらみたいなこの国のお偉いさんに知られる訳にはいかなかったからな。監視は適当に撒かせてもらったぜ」
何やってんの監視の人。
ちょっとこれは今後の人選を考える必要がある。
アレイシス国王も深刻そうに頭に手を当てている。
「はあ。仕方ないな。その裏ルートとやらについては、後で詳細を聞く必要がありそうだな」
……え、国王が聞いちゃうの?
エロ本の裏ルートの詳細を?
いや待てよ。多分国王は真人様がその裏ルートで何かしらの怪しい情報を買ったと思っているのだろうけど。
……っていうか、これなんで会話が成立してるの?
どうやら真人様は、あの本の中身がエロ本だってバレてると思ってるみたいだけど。
まだ中の内容まではバレて無いことを伝えないと……でもどうやって……?
「ではお主は、そこの男を知っているのか?」
アレイシス国王は捕らえられている男を指さした。
真人様はその男の顔をまじまじと見ると、しばらくうーんと考え込み、ハッと顔を上げた。
「もしかして……あの時俺と取引きした奴か?顔を隠してたから分からなかったが」
「なんだと? お主、この男と取引きをしたというのか?」
アレイシス国王の表情はみるみる怒りに染まっていく。
「多分? こいつが捕まってるってことは、そういう事なんじゃないか?」
真人様が言うのは、裏ルートでエロ本を取引した相手のことだと思う。だけど、顔分からないって言ってるのに、そんないい加減な証言して大丈夫なの?
「この男がこの国の人間じゃないと知っての事か!?」
アレイシス国王の怒りはついに声を荒らげるまでに達している。
この場にいる人間は国王のその迫力に圧倒され、口を噤んだままその様子を見守っている。
しかし真人様は国王の気迫に慄く事無く、立ち向かっていく。
「仕方ないだろ!? この国じゃ満足出来なかったんだから!」
……つまり、国内のエロ本は規制が厳しいから、国外の物を仕入れたかったと彼は言いたいのだろう。
「なんだと!? お主この国に不満があると言うのか!?」
「いや、この国はすげえいい所だよ。だけど……だけど俺達にだって、どうしても譲れない事があるんだよ‼」
やめて。俺達って、さらりとフィリップ王子を仲間に加えないで!
アレイシス国王の睨みにも臆することなく、真人様は真剣な表情で真っ直ぐ国王と向かい合っている。
「まさか……フィリップもこの国に不満があるというのか?」
「え……?あ……」
フィリップ王子は呆気にとられているところに、突然話をふられて声がなかなか出てこないようだ。そんな王子を庇うように、真人様は話を切り出した。
「この国はちょっと厳しすぎるんだよ。フィリップももう子供じゃない。責任も取れるんだ。もっと性に自由になってもいいはずだ‼」
「生に自由だと? フィリップは生まれながらにこの国の王子だ!自由に生きる事など許されるはずがない!」
ええ? 性と生を取り違えるってかなり無理があるでしょうが!?
これはマズい。これ完全に真人様のペースに乗せられている!
「じゃあ俺達はやっぱり国外に希望を見出すしかないようだな!」
「な!? お主、フィリップと国外に逃げようとでも言うのか!?」
え……なんで国外逃亡の話になるの!?
「逃げじゃねえ! 未知の領域への挑戦だよ‼‼」
あんたも何言ってるの!? 馬鹿なの!? なに目指してんの!?
「貴様! いい加減にしろ‼ これは重罪だぞ‼ 極刑に値する‼」
「はあ!? こんな事で死刑って、頭おかしいんじゃねぇの!?」
国王もちょっとおかしいけど、あなたも相当頭おかしいと思う。
ちょっとこれどうすればいいの?
エロ本の開示もマズいけど、この流れもかなりやばいと思う。
「フィリップ! 一体どうなっているんだ!?」
国王は再びフィリップ王子を責めるように怒鳴った。
フィリップ王子は体を震わせながら困惑した様子で口を開いた。
「……僕にも……一体どうしてこんな事になっているのか……全く分かりません……」
それに関しては私も分からない。
なんでエロ本隠しただけで、異世界人と王子が国外逃亡する話になってるの?
「分からないだと? お主、まさかフィリップを洗脳してたのか!?」
この場合、明らかに洗脳を受けてるのは国王の気がする。
「……ふっ……うっ……っく……うう……」
突然聞こえてきた嗚咽に、皆の視線がそちらに向かう。
フィリップ王子の隣に座っているソフィア王妃が、手で口元を隠しながら頬を赤く染めて涙を流し、震えている。
その瞬間、国王の怒りの炎が頂点へと達した。
「きっさまあああ‼ 私の妻を泣かすとは何事か‼ 今すぐ死んで詫びろ‼ この者を今すぐ拘束せよ‼」
怒りで真っ赤に染まった国王の掛け声と共に、扉の外から衛兵が飛び出し、真人様を鎖で拘束し始める。
私は王妃様にそっと近寄り、ハンカチを手渡して様子を伺った。
……いや、この人めちゃくちゃ笑ってるわ。
口元隠して必死に笑いこらえてるけど、涙出るほどウケてるわ。
よく考えたら、ここにもう1人この本の真相を知っている人物がいた。
私が真人様に関して事細かく説明した時、エロ本を王子にプレゼントしてたことをうっかり王妃に話してしまっていた。
そうこうしてるうちに、真人様はすっかり拘束され、床に押さえつけられている。
「ちょっと、その者に質問してもいいですか?」
その様子を見ながら、突然ナイル国王が手を挙げ、アレイシス国王に声をかけた。
「ああ、好きにしろ」
ナイル国王は立ち上がり、真人様に向かって質問を投げかけた。
「異世界の者よ。あなたは一体どこの国に向かうおつもりだったのですか?」
「ん? どこの国のが良かったかってことか? そうだな……ダリウスト国のは凄かったな!」
「おお! 我が国ですと!?」
その言葉を聞いて、ダリウスト国王は驚きと歓喜の声を上げた。
「ん? あんたもしかしてダリウスト国の王様か!? あんたの国は最高だぜ! 夢が詰まってるぜ‼」
「ほっほっほ。そこまで言ってくださるとは、残念ですなぁ。直接相談してもらえれば、こちらもそれなりに準備しましたのに」
「え、まじで!? くっそぉー! 失敗したなぁ!」
本の中身知ってる私には「うちの国のエロ本すごいんです。相談してくれたら凄いやつ準備します」って公言してるようにしか聞こえない。
っていうか、おかしいでしょうが。
なんで自分が指示した刺客が、勝手に王子の国外逃亡に加担してるのよ。そこおかしいと思うでしょうが。
しかし、これはマズいな。
真人様を助けるには、中身がエロ本である事を正直に話すしかない。
人命か?フィリップ王子の名誉か?
「答えろ真人。お前達はダリウスト国で何をしようとしていたのだ!?」
恐らく、これが国王の最後の質問になるだろう。
この返答次第で、真人様の運命が決まる。
ギリギリまで待ってみるか。真人様はなんと返答するか。
最後の最後に奇跡を信じて――
「はぁ? そんなの決まってるだろ?」
私はその先を固唾を飲んで見守る。
すると真人様はイタズラするかのような笑みを浮かべながら口を開いた。
「そうだな。分からないんだったら、『何を』って10回続けて言ってみるんだな!」
? ……なにをなにをなに……っておい。
お前、この場で国王様にナニを言わせるつもりだ!?
奇跡起こしてんなよこの馬鹿野郎おおおおおおおお‼‼
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