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勇者と彼女
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ザワザワと人の気配が騒がしい。
だけど私の視界は真っ暗だ。石のように冷たい床、狭い檻のような所に閉じ込められて、一人為す術もなく座り込んでいる。
「さてさて、次の商品は……え?こ、これは凄いですよ!!本日、飛び入りの目玉商品はなんと、魔王を倒し忽然と姿を消したあの伝説の勇者の恋人でぇっっす!!!」
やたらとテンションが高い男の声と共に、私の目の前を覆っていた布が勢い良く取り払われた。
明かりに照らされ、眩しさに目を覆った。騒ぎ立てる人達の声が一層うるさくなる。
まだ視界はハッキリしない。だからその様子を見ることは出来ないけど、どうせ好奇な目で私を見てるんでしょうね。
どうやら私は、今から人をお金で買おうとする下劣な奴らの商品として競りにかけられるらしい。
ああもう!せっかく今日はあの島から出られる貴重な日だったっていうのに、なんでこんな事になってんのよ!!
……でも大丈夫よ。
絶対に彼が――
私のヴァイスが、助けに来てくれると信じているから。
――
この世界には『勇者』と『魔王』が存在する。
魔族を従え、強力な闇の力で人々の命を奪い、この世界を恐怖で震撼させる魔王。
聖なる力を宿す聖剣を携え、この世界の人々を守るために戦う勇者。
古来より、この世界では魔王と勇者の戦いが幾度となく繰り返されてきた。
そして現在。
――ヴァイス・シュバルツ。
歴代最強の勇者と謳われた彼は、たった一人で魔族らと戦い、魔王をも討ち取った。
世界を救い、多くの人々から崇められ讃えられたイケメン。……じゃなくて勇者。
彼は今、本土から遠く離れた、地図にも載らない様な離島に幽閉されて暮らしている。
彼を陰ながら支えた、一人の女性と共に――
「朝だよ、リーチェ。そろそろ起きようか」
耳元で囁く様な声に、私はゆっくりと目を開けた。
なんか今、夢の中で語っていた気がするのだけど。
まあいいわ。そんなことよりも……
ベッドに横たわる私の目の前には、日に照らされ爽やかな笑顔で私を見つめる
「イケメンがいるわ!!」
つい思った事が口から漏れてしまうのは私の悪い癖。
それは目の前のイケメン……ヴァイスもよく知っているはず。それなのに、ヴァイスはなんだか納得がいかないような顔をしている。
「それは、僕の事で合ってるのかな?それとも」
ヴァイスは少しだけ意地の悪い笑みを浮かべ、私のすぐ目の前までその美しい顔面を近寄せてきた。
アメジストの様に透き通る紫色の瞳が私を見……近い近いぃ!!
イケメン急接近の威力が半端ない!!あああ、でも美しい。目が幸せ。なんか良い香りもするし。くんくん。
「夢の中で僕以外のイケメンと会っていたのかな?」
……は!!?
「そ、そんな訳ないでしょ!?イケメンと言えばヴァイスの事に決まってるじゃない!っていうか、例え夢でもイケメンがそう簡単に現れるはずがないでしょう!?そんな事になったら夢から覚められなくなる女性が続出するわよ!!イケメンっていうのは奇跡みたいなものなのよ!!何千万分の一の確率で生まれるかどうかも分からない様な奇跡なの!!奇跡はそう簡単に起きてはくれないのよ!!」
自分でもよくわからない言葉を並べて反論したけど、ヴァイスは満足そうにニコっと優しく笑った。
「そう。それなら良かった。おはようリーチェ」
そう言うと、私の唇を撫でる様にキス落とした。
一瞬で私の顔は火が付いたかの様に熱くなる。
私は真っ赤になっているであろう自分の顔を両手で覆い、体中の酸素が抜けきる程の深いため息をついた。
「ありがとうございます」
何が「ありがとうございます」なのかは自分でもよく分からない。
だけど、寝起きでこんなイケメンにキスされるなんて、前世の私は一体どんだけ徳を積んだのよ。ありがとう。よくやった前世の私。
その時、フワッとパンが焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
ああ、ヴァイスが朝食を作ってくれたのね。今日は何を作ってくれたのかしら?お出かけする予定があるから――
状況を察した私は跳ねる様に起き上がった。
「ごめんなさいヴァイス!また寝坊しちゃったわ!すぐに支度する……わっ!?」
勢い余ってベッドから落ちそうになった私を、ヴァイスが片手で受け止めてくれた。
「リーチェ、落ち着いて。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ」
ヴァイスは動じることなく、私を宥める様に穏やかな笑みを向けている。
顔だけじゃなくて心もイケメン。はあ、好き。大好き。
「さあ、冷める前に朝食にしよう。今日は君の好きなパンを焼いたよ」
ヴァイスは私の体を軽々と抱きかかえて立ち上がった。
自分で歩けるけど、このまま素直に甘えさせてもらうおう。
下から見上げるヴァイスの顔も、なんて美しいの。どの角度から見てもイケメンなのかしら?
ああ、神様。寝起きにこんなイケメンにお姫様抱っこされる、この尊い喜びをお与えくださりありがとうございます。
こんな離島に幽閉されていても、私達はとっても幸せに暮らしています。
「リーチェ、誰に何を祈っているんだい?」
その言葉で我に返ると、自分が手を合わせて目を閉じ、お祈りポーズをしている事に気付いた。
「この世界の平和が末永く続くようにと、神様に祈っているの」
「そうなんだ。リーチェはやっぱり優しいね」
流れる様に紡がれた私の嘘を、少しも疑うことなく信じてくれるヴァイスこそ、本当に心が清くて優しい人だ。
ヴァイスと出会ったのは五年前。彼が私の住む村へとやってきた。
当時の私はまだ十六歳。一生に一度会えるかどうかも分からない勇者様に会えた喜びに震えていた。
そんな私に、旅のパートナーになってくれないかと声をかけてきたのはヴァイスの方だった。
その時はイケ……勇者様と一緒にいられる喜びで舞い上がり即承諾したのだけど、私に戦う力なんてこれっぽっちもない。
拠点となる街の宿屋に泊まり、魔族討伐に向かう彼を見送り、帰ってくる彼を出迎える。出来る事はそれだけだった。
そんな役立たずな私を、ヴァイスはずっと見放さないで側に居させてくれた。
彼の優しさと誠実さ、そしてイケメン。これで恋に落ちないはずが無い。
未だにヴァイスと恋人同士だという事が信じられない。
大丈夫?これ私、死んでないよね?
「天国で都合の良い夢見てるとか?はっ!まさか幸せ過ぎて腹上死しちゃったとか?あっはは!なーんてね!だって私とヴァイスはまだ」
「大丈夫。君はちゃんと生きているよ」
「……………ですよね」
今まさに、恥ずかしくて死にそうになった。
っていうか、なんで腹上死なのよ。欲求不満か!!
だけど私の視界は真っ暗だ。石のように冷たい床、狭い檻のような所に閉じ込められて、一人為す術もなく座り込んでいる。
「さてさて、次の商品は……え?こ、これは凄いですよ!!本日、飛び入りの目玉商品はなんと、魔王を倒し忽然と姿を消したあの伝説の勇者の恋人でぇっっす!!!」
やたらとテンションが高い男の声と共に、私の目の前を覆っていた布が勢い良く取り払われた。
明かりに照らされ、眩しさに目を覆った。騒ぎ立てる人達の声が一層うるさくなる。
まだ視界はハッキリしない。だからその様子を見ることは出来ないけど、どうせ好奇な目で私を見てるんでしょうね。
どうやら私は、今から人をお金で買おうとする下劣な奴らの商品として競りにかけられるらしい。
ああもう!せっかく今日はあの島から出られる貴重な日だったっていうのに、なんでこんな事になってんのよ!!
……でも大丈夫よ。
絶対に彼が――
私のヴァイスが、助けに来てくれると信じているから。
――
この世界には『勇者』と『魔王』が存在する。
魔族を従え、強力な闇の力で人々の命を奪い、この世界を恐怖で震撼させる魔王。
聖なる力を宿す聖剣を携え、この世界の人々を守るために戦う勇者。
古来より、この世界では魔王と勇者の戦いが幾度となく繰り返されてきた。
そして現在。
――ヴァイス・シュバルツ。
歴代最強の勇者と謳われた彼は、たった一人で魔族らと戦い、魔王をも討ち取った。
世界を救い、多くの人々から崇められ讃えられたイケメン。……じゃなくて勇者。
彼は今、本土から遠く離れた、地図にも載らない様な離島に幽閉されて暮らしている。
彼を陰ながら支えた、一人の女性と共に――
「朝だよ、リーチェ。そろそろ起きようか」
耳元で囁く様な声に、私はゆっくりと目を開けた。
なんか今、夢の中で語っていた気がするのだけど。
まあいいわ。そんなことよりも……
ベッドに横たわる私の目の前には、日に照らされ爽やかな笑顔で私を見つめる
「イケメンがいるわ!!」
つい思った事が口から漏れてしまうのは私の悪い癖。
それは目の前のイケメン……ヴァイスもよく知っているはず。それなのに、ヴァイスはなんだか納得がいかないような顔をしている。
「それは、僕の事で合ってるのかな?それとも」
ヴァイスは少しだけ意地の悪い笑みを浮かべ、私のすぐ目の前までその美しい顔面を近寄せてきた。
アメジストの様に透き通る紫色の瞳が私を見……近い近いぃ!!
イケメン急接近の威力が半端ない!!あああ、でも美しい。目が幸せ。なんか良い香りもするし。くんくん。
「夢の中で僕以外のイケメンと会っていたのかな?」
……は!!?
「そ、そんな訳ないでしょ!?イケメンと言えばヴァイスの事に決まってるじゃない!っていうか、例え夢でもイケメンがそう簡単に現れるはずがないでしょう!?そんな事になったら夢から覚められなくなる女性が続出するわよ!!イケメンっていうのは奇跡みたいなものなのよ!!何千万分の一の確率で生まれるかどうかも分からない様な奇跡なの!!奇跡はそう簡単に起きてはくれないのよ!!」
自分でもよくわからない言葉を並べて反論したけど、ヴァイスは満足そうにニコっと優しく笑った。
「そう。それなら良かった。おはようリーチェ」
そう言うと、私の唇を撫でる様にキス落とした。
一瞬で私の顔は火が付いたかの様に熱くなる。
私は真っ赤になっているであろう自分の顔を両手で覆い、体中の酸素が抜けきる程の深いため息をついた。
「ありがとうございます」
何が「ありがとうございます」なのかは自分でもよく分からない。
だけど、寝起きでこんなイケメンにキスされるなんて、前世の私は一体どんだけ徳を積んだのよ。ありがとう。よくやった前世の私。
その時、フワッとパンが焼ける香ばしい香りが漂ってきた。
ああ、ヴァイスが朝食を作ってくれたのね。今日は何を作ってくれたのかしら?お出かけする予定があるから――
状況を察した私は跳ねる様に起き上がった。
「ごめんなさいヴァイス!また寝坊しちゃったわ!すぐに支度する……わっ!?」
勢い余ってベッドから落ちそうになった私を、ヴァイスが片手で受け止めてくれた。
「リーチェ、落ち着いて。時間はたっぷりあるから大丈夫だよ」
ヴァイスは動じることなく、私を宥める様に穏やかな笑みを向けている。
顔だけじゃなくて心もイケメン。はあ、好き。大好き。
「さあ、冷める前に朝食にしよう。今日は君の好きなパンを焼いたよ」
ヴァイスは私の体を軽々と抱きかかえて立ち上がった。
自分で歩けるけど、このまま素直に甘えさせてもらうおう。
下から見上げるヴァイスの顔も、なんて美しいの。どの角度から見てもイケメンなのかしら?
ああ、神様。寝起きにこんなイケメンにお姫様抱っこされる、この尊い喜びをお与えくださりありがとうございます。
こんな離島に幽閉されていても、私達はとっても幸せに暮らしています。
「リーチェ、誰に何を祈っているんだい?」
その言葉で我に返ると、自分が手を合わせて目を閉じ、お祈りポーズをしている事に気付いた。
「この世界の平和が末永く続くようにと、神様に祈っているの」
「そうなんだ。リーチェはやっぱり優しいね」
流れる様に紡がれた私の嘘を、少しも疑うことなく信じてくれるヴァイスこそ、本当に心が清くて優しい人だ。
ヴァイスと出会ったのは五年前。彼が私の住む村へとやってきた。
当時の私はまだ十六歳。一生に一度会えるかどうかも分からない勇者様に会えた喜びに震えていた。
そんな私に、旅のパートナーになってくれないかと声をかけてきたのはヴァイスの方だった。
その時はイケ……勇者様と一緒にいられる喜びで舞い上がり即承諾したのだけど、私に戦う力なんてこれっぽっちもない。
拠点となる街の宿屋に泊まり、魔族討伐に向かう彼を見送り、帰ってくる彼を出迎える。出来る事はそれだけだった。
そんな役立たずな私を、ヴァイスはずっと見放さないで側に居させてくれた。
彼の優しさと誠実さ、そしてイケメン。これで恋に落ちないはずが無い。
未だにヴァイスと恋人同士だという事が信じられない。
大丈夫?これ私、死んでないよね?
「天国で都合の良い夢見てるとか?はっ!まさか幸せ過ぎて腹上死しちゃったとか?あっはは!なーんてね!だって私とヴァイスはまだ」
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