The Secret Super Girls〜心を救うヒーローはいかがですか?~

CHIKA(*´▽`*)

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ミルクティー大騒動~新たなるミルクティーを求めて三千里~

電車って乗っているとなんか黄昏たくなるよね

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 「そうは言っても上りか下りかだな~」
 ここに来て電車に乗るのはこれで3回目。
 まさか今日乗ることになるなんて。


 他の街のことなんて、全く分からない。
 ここからは手当たり次第に行くしかない。
 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り、鉄砲撃ってばんばんばん、柿の種っと」


 困った時のおまじないによって、下り方面に決まった。
 まず一つ先の駅に行くことにした。一つ一つ降りて確認するしかない。
 でも出来るだけ急がなきゃ。


 まる一日かかってしまいそうな予感がする。
 いや、ほぼほぼそうなる可能性が大いに高い。
 次の電車は、って見る前に、まずどれに乗るかよな。

 
 正直どれでもいいんよなぁ~。どこに何があるとか全然分かってないし。
 とりあえず、行ったことがある山手線に乗ることに。
 次の電車の時間は……あと8分後か。思ったより時間があるようで良かった。


 いや、待てよ。ここからスムーズにホームまでたどり着くとは考えられない。
 8分、それは余裕とも言い難く、かと言ってぎりぎりでもない。
 とても微妙な時間であった。


 ほんとはICカードをきちんと持っていたけど、自宅に置いてきた。
 この市内で流石に買えるだろうと思っていたから。
 てか普通はそう思うじゃん?! 私が都会をなめ過ぎていたのかしら。


 そんなことを考えている暇はない。
 さっさと一駅分の切符を買う。
 改札に通し、案内の看板に従って進んで行く、早歩きで。


 走ったら人にぶつかって危ないからね。本当は走りたいけど。
 そしてどうにか迷うことなくたどり着いた。
 この階段を上れば、目的地のホームだ。


 多分、時間も余裕があるはずだ。迷ったとしても一瞬だったし。
 ちょっとだけ時間ロスしたけど、多分セーフでしょ。
 階段をどんどんと上っていく。


 ちょうど上階段を上りきる半分辺りのこと。駅メロが聞こえてきた。
 そしてアナウンスも。
 「えっ待って、そんなに時間喰ってた感じ?!」


 出来る限り急いで、でも気をつけて駆け足で上ってゆく。
 ホームが見えた時にはもう電車が着いていた。
 それどころかもう発車しそうな雰囲気だ。


 チラチラと素早く周りを見る。近くに人は誰も居ない。
 誰も居ないから走ろうかと思った。
 でも駆け込み乗車は危ない。


 まぁそこまで危険を冒してまで乗りたくないし。
 なんて思っていたのに、気がつくと走り出していた。
 そんなこと言いつつ、やっぱり出来る限り早く乗りたいのね。


 その衝動のまま任せ走る。周りに人は居ないから大丈夫。
 走ると言っても数メートル、走るだけ。
 走って何秒かしたくらいのこと。電車は発車してしまった。


 走った意味なんてなかったじゃん! 
 そんなことは最初から分かっていたつもりだったのに。
 いざ間に合わなかったとなると、少しショックを受けてしまう。


 電車を横目に見ていたので、とりあえずきちんと前を見る。
 なんと前には人が居た。
 黒髪ロングの制服を着ていた少女だ。


 目と鼻の先と言っても過言ではない距離。
 そして少女の方は猫背になって、俯いている。
 こっちのことに全く気付いていない。このままじゃ正面衝突してしまう。


 今出来る行動は一つ。
 「危ないからっ! どーいーてーっ!」
 びくっと肩を震わせ、勢いよくこちらを振り向く少女。


 瞬時にこの状況を理解したのだろう。
 その言葉を聞いてさっと後ろに下がった。人間の本能的な危機察知力、恐るべし。
 ただ一つだけ問題が。後ろに下がるときに少女は鞄を手放してしまった。


 よって、このまま走り続けたら通るであろう道に、鞄だけが残る。
 「えっ」
 まぁどうなるのかはお分かりの通り。


 鞄に躓き、盛大に転ぶのであった。
 大きな音が響き渡ったと同時に、私の視界は真っ暗になっていた。
 それは地面に倒れ込んでいるから、だからそれは良いんだけど。


 問題なのはその時に発生した怪我。
 めっちゃ痛い。想像以上に痛すぎる。
 「だっ……大丈夫……です……かっ……?!」
 
 
 凄く心配してくれているんだろうなぁ、声色でそう伝わってくる。
 大丈夫、と答えたいけど、少なくともそうではないからなぁ。
 「大丈夫……って言いたいけど、限りなくアウトに近いセーフかも……」


 「それって……、ほぼほぼ……アウト……では……あり……ませんか?」
 言われてみたらそうかも。でも感覚的にだけど骨折はしてなさそうだからなぁ。
 「うーん、骨は折れてなさそうだからねぇ~。だからその表現にしたのさ」


 「なっ……なるほど」
 納得してくれたみたいだ。とりあえず気になることがある。
 この時間帯に高校生は居ないはず。


 つまりこの子は何らかの理由で学校を休んでいると思われる。
 そして今、同じ方面の電車に乗ろうとしている。
 一瞬見ただけだけど、何か深い事情がありそう。


 学生生活を楽しんでいるようには見えなかったし。
 とりあえずちょっと聞いてみるか。
 もし行き先が一緒なら、良き旅人になりそうな感じがするし。


 まだ痛みがあるから倒れたまま話しかけるとしよう。
 「君に聞きたいことがあるんだけど~」
 「わっ……私……ですか……。あっ……あの……どちら様……です……か」


 ありゃま、なんか想像以上に怯えてる。
 学校をサボっていることを通報されちゃうって思ってるのかしら。
 ぜ~んぜん、そんなことつもりないのに。


 てかどんな事情かも分からずに、そんなことしないし。
 ここは敵意がないことを伝えねば。
 「まぁ名前は分からなくてもいいじゃないかっ。私が知りたいのはあんたが今からどこに行くかってこと。それ以外、今は聞かないから安心しな」


 こう伝えれば大丈夫だろう。
 顔が見えないからどういう反応しているか分かんないけどね。
 「ほっ……本当に……ですか……。学校の人に……言ったり……しま……せんか」


 理由は分からないけど予想は的中した。
 てかそれくらいしか思いつかない。


 「言わない言わないっ。私はね、新発売のミルクティーを買いに行くの。ここにはもうどこにもないから、とりあえず隣の駅にね。それであんたも隣の駅に行くなら、一緒に行きたいな~ってだけの話よ」

 
 これに限る。知りたいのはたったこれだけなのだ。
 「えっ……同じ……です。私も……同じ目的です。しかも、行く場所も……同じです」
 偶然にも目的も行先も一緒。


 これは奇跡だ。これを奇跡と呼ばずに何というものか。
 「えっ嘘~!」
 あまりの嬉しさに痛みのことを忘れ、勢いよく起き上がる。


 「じゃあさ今日はさ、今から一緒に行動しな~い?」
 少女は少し戸惑いながらも首を縦に頷いた。
 「やった~! 嬉しい~ありがと~」


 私はつい舞い上がり、少女を抱きしめそうになった。
 でも転んで服が汚れているだろうと思い、エアーハグをしたのだった。
 「そっ……そんなに……嬉しいもの……ですか? ひっ……ひと……一人じゃ……ないだけで」


 「そうよ、こんな些細なことで幸せな気分になれるのよ。少なくとも私は、ね」
 ひょんなことから一緒に行く人を見つけた。
 予想外の展開だけど、とても喜ばしい。


 この長くも短くなるかもしれない旅に戦友が加わった。
 ともかく彼女ともう少し仲良くなりたい。
 ここは自己紹介しかないだろう。

 
 近くのベンチに座る。
 少女もささっと鞄を取り、少し距離を開けて座った。
 そして改めて向き合う。

 「せっかく一緒に行くことになったんだから、軽く自己紹介しよっか。あぁちなみに名前はもう何でもいいよ、ただし本名以外ね。私も本名じゃない名前を言うつもりだし。名前は本当に何でもいいよっ。名前らしいものでも良ければ、お菓子の名前でも文房具でもなんでも良きっ」


 「本名……以外……です……か、そんなこと……初めて……言われました」
 「いわゆるマイルールってやつね。やっぱり色んな名前を使ってみたいし。本名はまたの機会ってことでね」


 「はっ……はぁ……」
 少女は困惑気味、まぁそりゃそうか。本名以外って限定されたらそうなるよね。
 普通の人なら当然だ。


 まぁ気にしたって仕方がないし。
 コホンと咳ばらいをしてから自己紹介を始めた。


 「改めまして自己紹介っ。私の名前は伊集院ほのかっ、19歳だよんっ。甘い物や可愛いものやミルクティーが大好き。特に優雅なひと時様のはもう最っ高! The王道だねっ。一応フリーランスってやつだよ~。目指せ個人事業主っ!」


 少女はポカンとしている。
 「いっ……伊集院……ですか」


 「そ、なんかさお金持ちっぽくない? お嬢様って感じがしてさ。エレガントで華やかで可憐で美しい女性を連想させるから、今日はこれ」
 「今日ってことは……毎日違う名前……を?」


 「その通~り! 気分によって名前を変えてるのさ。と言っても、あまり名乗る場面がないから意味が無いけどね~。あんたが初めてかも、こうやって名乗るの。いつも考えるだけ考えて、誰にも言えずじまいだからさ~」


 と言ってるけど、もしかしたら名乗ったことがあるかもしれない。
 覚えていないだけで。
 基本的に今を生きているから、過去のことはあんまり覚えていない。


 本当に印象的なことは覚えているけど。修学旅行とか卒業式とか。
 「次は……私の番……ですね」
 少女は大げさなくらいに深呼吸をした。


 きっと緊張しているのだろう。
 「私の名前は……ココア……マカロン……です。じゅっ……17歳です……高校生です……あっ……あの……」
 「ん、どしたの」


 「本当に……学校の人に……言わない……ですよね……」
 「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ! 私ココアちゃんの学校知らないしっ」
 右手の親指を立ててウインクをしてみせる。


 「そう……ですか……。あの……良かったらもう少し詳しく……言っても大丈夫ですか……。もっと話したい……ので」
 「いいよいいよーっ。ぜんっぜん大丈夫! がんがん話しちゃってぇ~」


 私の言葉を聞いた途端に、少しだけ表情が柔らかくなっていた。
 どうやら少しだけ打ち解けたみたい。


 「輝愛高校に……通ってます……今日は……授業があったのですけど……。そんな気分じゃなくて……なんなら凄く消えてしまいたいな……って気分で……。りっ……理由があるんですけど……きっ聞いてくれますか……」
 「うん、いいよ、聞いてあげるから話してごらん」





 彼女が話した内容はこうだ。
 家では両親と父方の祖父母と一緒に暮らしている。
 学校でも決して多くではないけど、きちんと友達が数人いる。


 特にいじめられることもなく、高校生活を楽しんでいるとのこと。
 問題なのは家にいる父方の祖父母だ。


 まず祖父はとても心配症、だから何回も色んなことを確認してくる。
 少し問題が起きただけで報告しに来る。
 正直に言うと鬱陶しい。


 そして自分では何もしない癖に、横から何度も何度も口を出してくる。
 更に喋りのスピードが基本的に少し速い。
 その上にぼそぼそだからいまいち聞き取りにくい時がある。


 これだけでも十分にストレスは溜まるのに、祖母にも問題があるのだ。


 祖母は母の代わりに時々料理を作ってくれたり、家事もしてくれる。
 様々な人と仲が良くて、よく縁側でお話をしているのをよく見かける。


 世間体がとても良い人と言えるだろう。
 しかし時々、母に意地悪を言ったり、わけの分からないことでキレたりする。


 昔の人間だから、と言えばそれで片付くかもしれない。
 けど嫁は如何なる時もきちんと家事をこなすもの、と考えているとのこと。
 あまりにも考え方が昔過ぎる。


 母はハンドメイドのお店をネット上で運営している。
 だから基本的に在宅。
 もちろんきちんと働いていることをみんな知っている。


 それなのに、料理は嫁が作って当たり前などと考えているのだ。
 料理を作っていると言ったけど、圧倒的に母が作っている回数の方が多い。


 祖母も最近は少し別の料理も作るようになった。
 母が料理を作られない時は、ずっとカレーライスにきゅうりの漬物ばかりだった。
 それ以外は一切作らない、なんて時期もあった。


 それには理由がある。
 そう、認知症だ。去年の三月辺りからそれらしい症状が出て来た。
 だから何回も同じことを聞いてくる。その上に聴力も下がる始末だ。


 祖父母の会話なんて、ずっと聞いていると気が遠くなりそうになる。
 もう少しゆっくり喋ればいいのに、喋らないから何度も祖母が聞き返す。


 はっきり喋らないから尚更だ。
 しかも内容に少し耳を澄まして見ると。
 どうでもいい世間話だったり、全く二人は気にしなくてもいいことばかり。


 ちなみに父は普通に会社で働いているサラリーマン。
 どんなことをしているかは詳しく知らないとのこと。


 何回かストレスで頭がおかしくなりそうになったけれど。
 友達に話したり、SNSで非公開の誰もフォローしていないアカウントで、愚痴ったりとどうにかやっていけていた。


 しかし、もう無理だと思ってしまう出来事が起きた。
 それは昨日の夜の話になる。
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