10 / 17
番外編
【時事問題と吸血鬼】
しおりを挟む
異種族ちゃんねる 番外編
【時事問題と吸血鬼】
──────よろしくお願い致します。
───ああ、よろしく。
──────改めまして、本日は我がギルドの取材に応じて頂きありがとうございます。
────構わないさ。時間は持て余している。年若き定命の者と違ってね。
──────ある情報筋から、まだ30歳程度でいらっしゃると聞いておりますが。
────誰だよ情報流したの。
────とにかく、なんか威厳が出ないからこの辺りの会話は記事にする時なんとかしてくれ給えよ。
──────記事ですか?
────んっん、それで、私に聞きたいことがあるそうだね。
──────あ、はい。お伝えした通り昨今話題になっている[ゾンビ偽装]についてです。
────ゾンビ。呪術や寄生生物、要因は複数あるがいずれも共通するのは無理矢理動かされる哀れな死体というものだね。
──────最近は冒険者の増加もあってか若干の増加傾向にあります。
────悲しい話だ。芳醇な血潮を持つ者達が………。
──────そして、単なる増加だけでなく他の問題も招いております。
──────ゾンビに転化してしまった場合、それを討伐した者は死体損壊といった元の人物に対する罪に問われません。
────襲われそうになっているのに抵抗できないでは話にならないからね。
──────しかし、昨今。それを悪用する事例が出現しているのです。
──────言葉巧みに人を連れ出し、ダンジョンで殺害し金品を奪う。
──────もし、すぐに死体の存在が明るみに出ても「既にゾンビになっていたものを討伐しただけ」と言い逃れる事例が。
────非常に由々しきことだね。
──────厄介な点として、ゾンビの特徴である身体の腐敗についても「呪術により転化したばかりだった」で通せてしまうのです。
──────しかし、貴方はその死体が転化していたか否か。見分けられると。
────ふふ、その通りさ。
──────どのような方法でしょうか。
────ふむ。特に禁じられてもいないし、真似できるものでも無し。教えてもいいんだが………
────いや、止めておこう。吸血鬼たる者の秘技。そう簡単には明かせないね。
──────報酬に血の瓶詰をもう一本追加します。
────定命の者の探求心。それは新たな物を見つけ出す輝かしい太陽だね。
──────吸血鬼が太陽とか言うのは不自然じゃありませんか。
────あっ確かに………やり直していい?
──────どうぞ。
────定命の者の探求心。それは新たな物を見つけ出す輝かしい月光だね。
──────ありがとうございます。
────ふむ。で、まぁ死体が転化していたか否かを判断する方法だが、我々は血で判断できるんだよ。
──────血液で。
────ああ、死体が新しく血液が体に残っていた場合に限るがね。そこから少し吸ってやるのさ。
────本当に転化していたならその血液は我々にも毒になる。受け付けずに吐き出すし、肌にも異常が出る。蕁麻疹出たりする。
──────そんな体を張った判別法なんですか。
────うん。割と命懸けだよ。
──────一住民として、ご協力に感謝致します。
────なぁに。吸血鬼と人間の間を取り持てると考えれば安い物さ。
────後、報酬が手厚いし。
──────報酬。
────報酬。お口直しに血を多めに貰える。
──────………んん。そろそろお時間ですね。本日はありがとうございました。
────おや、もう時間か。楽しい時間は早いものだね。
──────慌ただしくて申し訳ありません。次の放送の時間が迫っておりまして。
────へぇ……えっ放送。放送?今してるの?
──────はい。契約書に書いてあった通りに。
────えっ後で紙に起こすんじゃないのちょっと待って
【念話音声拡散及び記録クリスタル・当ギルドによる取材当時[獅子の月]より抜粋】
【時事問題と吸血鬼】
──────よろしくお願い致します。
───ああ、よろしく。
──────改めまして、本日は我がギルドの取材に応じて頂きありがとうございます。
────構わないさ。時間は持て余している。年若き定命の者と違ってね。
──────ある情報筋から、まだ30歳程度でいらっしゃると聞いておりますが。
────誰だよ情報流したの。
────とにかく、なんか威厳が出ないからこの辺りの会話は記事にする時なんとかしてくれ給えよ。
──────記事ですか?
────んっん、それで、私に聞きたいことがあるそうだね。
──────あ、はい。お伝えした通り昨今話題になっている[ゾンビ偽装]についてです。
────ゾンビ。呪術や寄生生物、要因は複数あるがいずれも共通するのは無理矢理動かされる哀れな死体というものだね。
──────最近は冒険者の増加もあってか若干の増加傾向にあります。
────悲しい話だ。芳醇な血潮を持つ者達が………。
──────そして、単なる増加だけでなく他の問題も招いております。
──────ゾンビに転化してしまった場合、それを討伐した者は死体損壊といった元の人物に対する罪に問われません。
────襲われそうになっているのに抵抗できないでは話にならないからね。
──────しかし、昨今。それを悪用する事例が出現しているのです。
──────言葉巧みに人を連れ出し、ダンジョンで殺害し金品を奪う。
──────もし、すぐに死体の存在が明るみに出ても「既にゾンビになっていたものを討伐しただけ」と言い逃れる事例が。
────非常に由々しきことだね。
──────厄介な点として、ゾンビの特徴である身体の腐敗についても「呪術により転化したばかりだった」で通せてしまうのです。
──────しかし、貴方はその死体が転化していたか否か。見分けられると。
────ふふ、その通りさ。
──────どのような方法でしょうか。
────ふむ。特に禁じられてもいないし、真似できるものでも無し。教えてもいいんだが………
────いや、止めておこう。吸血鬼たる者の秘技。そう簡単には明かせないね。
──────報酬に血の瓶詰をもう一本追加します。
────定命の者の探求心。それは新たな物を見つけ出す輝かしい太陽だね。
──────吸血鬼が太陽とか言うのは不自然じゃありませんか。
────あっ確かに………やり直していい?
──────どうぞ。
────定命の者の探求心。それは新たな物を見つけ出す輝かしい月光だね。
──────ありがとうございます。
────ふむ。で、まぁ死体が転化していたか否かを判断する方法だが、我々は血で判断できるんだよ。
──────血液で。
────ああ、死体が新しく血液が体に残っていた場合に限るがね。そこから少し吸ってやるのさ。
────本当に転化していたならその血液は我々にも毒になる。受け付けずに吐き出すし、肌にも異常が出る。蕁麻疹出たりする。
──────そんな体を張った判別法なんですか。
────うん。割と命懸けだよ。
──────一住民として、ご協力に感謝致します。
────なぁに。吸血鬼と人間の間を取り持てると考えれば安い物さ。
────後、報酬が手厚いし。
──────報酬。
────報酬。お口直しに血を多めに貰える。
──────………んん。そろそろお時間ですね。本日はありがとうございました。
────おや、もう時間か。楽しい時間は早いものだね。
──────慌ただしくて申し訳ありません。次の放送の時間が迫っておりまして。
────へぇ……えっ放送。放送?今してるの?
──────はい。契約書に書いてあった通りに。
────えっ後で紙に起こすんじゃないのちょっと待って
【念話音声拡散及び記録クリスタル・当ギルドによる取材当時[獅子の月]より抜粋】
応援ありがとうございます!
15
お気に入りに追加
110
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる