甘く蕩ける程に愛して

みのる

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おまけ

母の前で……

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オレたちは式を挙げて、その後で日を改めて”お義母さん”の眠る「場所」へと向かった。

(ぜーっ!ぜーっ!……なんでっ…‼…こ…こんなに足場が悪いんだ⁉……し…しかも…雨降った後でグッチャぐちゃだし⁉)
足場がぬかるんでサイアクな中を、オレはお嬢様を抱っこしてゆく。平然と早足で歩く旦那様とかなえに懸命に着いてはぐれないように追いかけるのがやっとであった。
(そ…そりゃあアンタらは慣れてるでしょうがね…オレとお嬢様は「the☆お初」なんだから……)

オレたちの向かう場所は「超!山奥‼」なんでこんなトコに墓……?って思う程に山奥。
(しかも、カンケーねぇけども…お嬢様…お、重い……(滝汗ダラダラ))
しかも、お嬢様…オレの腕の中で派手に暴れる……(激滝汗)


オレは「おとぅさん」に抱っこしてもらってテンションがやけに高い(?)お嬢様をなんとか落とさないように気をつけて山奥の、お義母さんの眠る場所に着いた。
とにかく、着いた頃には息が出来ねぇ‼って程にオレは疲れ果てていた。

(てか…旦那様もかなえも花やら”お参り道具“やら…色々持ってたのに、まさに日常茶飯事との如くに歩いて行ったよなぁ…(栗栖、ある意味尊敬))
かなえの手には、奥様が生前好きだったという百合の花束。
(てか、墓前に百合……⁉とかオレは思ったけども…コンだけ山奥なら、何でもアリって気もしてきた)


1つの墓石の前にオレたちは立った。
かなえが墓の前の花瓶(?)の水を入れ替えながら次々と手に持つ百合の花を分けながら差していく。
そして旦那様が墓前に奥様が好きだったワインを瓶ごと供えた。そして線香に火をつけ、そこにまるで奥様がいるような目つきで墓石に話しかける。

「早苗……。私達の大事な架苗が…遂に嫁に行ってし
まったよ。しかも、相手の名前を聞くとお前はカンカンに怒るだろうなぁ(笑)でも安心しておくれ?架苗は今、お前の跡を引き継いで立派にお前の代わりをしてくれてるからな」

(てか…(知ってはいたけども!)オレ、どんだけ奥様に嫌われていたんだ?(栗栖の素朴な疑問)しかもオレの現ポジションの事はスルー?)

今度はかなえが墓前に線香を立て(バラの香り)手を合わせて、静かに目を閉じる。
(お母様……私も漸く嫁に出る事が出来ました。(結果、屋敷には戻りましたが)今は、私がお母様の代わりにお父様の仕事のパートナーとなり、頑張っておりますのでどうか、安心してお眠りください)

そして今度はお嬢様が墓前に自分のおやつのボーロを供え、みんなの真似をして手を合わせて目を閉じる。
(かもめ……(号泣!)とぅちゃんは感激で涙が……(代わりに鼻水))
……………………お嬢様がこころで何を思ったのかは一切謎なままだが‼

最後にオレが墓前に向かい、線香を立てて目を閉じ手を合わせる。
(……お義母様には最後の最後まで嫌われっぱなしでしたけど…オレはコレからも!かなえとかもめの事を大事にしていきますんで…‼……先に死んでしまったことを…ソッチで激しく後悔する位に!!(ニヤリ))←栗栖、やはり墓前でも奥様には嫌なヤツ。


バラの香りが立ち込めるその場を、オレたちは静かに(お嬢様除く)去った。
……お嬢様はそれはそれは楽しげにその場に滞在し続けたので!オレ、慌てて強制送還。
(……ボーロが…惜しかったんかなぁ…?(謎))
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