初代桑原家の育児戦闘記

みのる

文字の大きさ
33 / 35

桑原兄弟のタイムカプセル(おまけ)

しおりを挟む
兄貴(十七)、オレ(中三)、秀(小六)、シュウイチ(小四)、そしてユウスケが小三になった年のとある日に母親の鶴の一声が轟いた。

『アンタたち!タイムカプセルを作るよ?』

てか、オレ………
今まさに!受験勉強してるんですけど?何故にこの時期を選択したのか、母親よ?(The☆謎)

ヤエイ兄貴はまた!行方不明中であった。

高校なんて、何のために通うのだろうな?
……………と思いつつ、結局オレも「将来の為」にとある高校を目指して猛勉強中なのだがな。(苦笑)

まぁいいか、いい「息抜き」になるよ。

そう思いながら、それぞれ思い思いの「今」を居間に用意されたタイムカプセルに詰めにゆく。


『さぁ!コレに!!アンタたちの思いを託すんだよ?』

…………なんか………
いかにも!「かつては立派に米炊いてお役目果たしてました!!」的な古めかしいお釜が、口を開いて"己の二度目の出番"を待ち構えていた。

(ウチの母親、何でも取っとくからなぁ………)



『コレを今から二十年後にまた掘り返すからね?
アンタたち!覚えとくんだよ?』

全員が(※長男除く)タイムカプセルにモノを入れた後、母親は親父が当時より手塩にかけて育てていた盆栽の下段の一番左に埋没していた。


(そして月日は流れて二十年……)
そしてもちろん!母親はバッチリタイムカプセルソレの事を記憶していた。
そしてそれぞれで家庭を築いていた(※一部を除く)オレたちは招集されたのであった。

オレは"家族"はその場には連れて行きはしなかった。

何故かって?

それはそのうち分かるだろう。


親父の下段の左側の盆栽が一時撤去され、その下の地が掘り起こされた。二十年もの時を過ごした我らが「タイムカプセル」がまさに今!!封印を解かれようとしている。

「いいかい…………
開けるよ…………?」

母親の手により、かつて幾重にもグルグルと巻き付けられたグヮムテープが解かれ………
土泥だらけのタイムカプセルが同じだけの年を経た我らにまた、口を開く。


『あ!コレオレの………♡』

初めに取り出されたビニール袋に入れられた「何か」。
それを見てシュウイチが嬉々として叫んだ。

『会いたかったよーーー♪
ヤエイ兄貴ィ~~~♡♡♡(スゥリスリ♡)』

一同、唖然………………………。
それもそうであろう。
シュウイチが二十年前のあの日に未来の自分にと託したのは、

タダでさえ!カメラを嫌う数少ないヤエイ兄貴の写真!
(その数、生まれた直後の写真を含め五枚のみ)
しかも希少なその四枚もどうやらシュウイチが隠れての撮影を試みたものと思われる。

ま、まぁ!
ヤツの事は放っておいて、次行ってみようか?


『お?おれの大事にしてたモンじゃねぇか?』

お次は過去のユウスケからのモノ。
……………が!!?

『ひえぇぇぇ~~~ッッッ!!?
な、なんじゃこりゃあ~~~!!!(大絶叫)』

おそらく、二十年経過する前になら!
美味しくいただけたであろう!
チロリンチョコやうまかバット、きのみ飴などが無惨な姿へと変貌していた。

『お、おれの………タカラモノが~~~~~っっっ!!?』

まぁ、幾ら大事なモノでも「未来の自分」に託すにはちょおっと!キビシかったな?(ド滝汗)
項垂れるユウスケも放置してタイムカプセルの開封は続く。


『あ………俺のだ………』

次に母親が手にしたのは……
ん?ビニール袋に包まれた封筒???
秀もまた家族は連れて来てはいなかった。
秀は母親から封筒を受け取りながら呟く。

「未来の自分に……手紙書いたんだよな………確か。」

母親がニヤニヤしながら秀へ促す。

『どれどれ♪秀!読んでみなよ?』

秀は何故か気乗りしない様子ではあったが、ノロノロと手紙を読み始めた。

【二十年後の俺へ。
三十二歳の俺は一体何をしていますか?
ソラミちゃんと仲良く出来てたら俺はすごくうれしい。
あれから、やりたい事は見つかりましたか?
今の俺には、二十年も先に自分がどうしてるかなんてとても想像ができない。
けれど、、、二十年後の俺は
今よりもずっとずっと!
幸せになっていてほしい。
二十年前の俺より。⠀】

…………………読み終えた秀は、ボロボロと泣き崩れていた。
一人ただ、嗚咽を繰り返す。
オレ達は秀に何も声をかける事が出来なかった。
小六の秀は、一体どんな事を思ってこの手紙を未来の己に宛てたのだろうか?

あの頃の秀は、いや……思えばもっと前に既に思春期に突入していたのかもな。


『さぁ!もう全てのタイムカプセルも発掘したし!
解散にするか!!(超!棒読み)』

その場を颯爽と立ち去ろうとするオレをガッチリ!抑え込み嫌な笑みを浮かべる母親………

『なぁに言ってんのさ?
最後にたんまりと!残ってるよ?ダレカさんのタイムカプセルが!』

オレ………
二十年前のオレ!!!?
お前………
なぁんで!!!
『あんなモノ』を
タイムカプセルに残したんだ???

サッサと煮るなり焼くなりして処分すれば良かったものを………(激しく後悔)

オレはもう!耐えきれずに!!
即座にその場から姿を消していた。







『あ~あ、行っちまったよ。
なんでこんなモンを「未来の自分」に残したんかねぇ………(謎)』

最後に残されていた、次男カクラのタイムカプセルとは……………

「過去の自分が頂戴したラブレターの中での、本人がチョイスした傑作選!!(BEST15)」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...