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そこのモンスター社員、今すぐ退職届を書きなさい!

第16話 労働時間不正申告③

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リサイクルセンターまで社用車で五分。たった五分のドライブだ。隣には眉目秀麗びもくしゅうれいな東薔薇さまがいらしてちょっとしたデート気分……いやいや彼スパイなんだけど、とっても複雑な心境なんだけど、まぁ係長の動向も気になるし。とは言いつつも実際鉢合わせてしまったら相当気まずいよね。何しに来たんだって思われちゃう。

「あれ、いないなー」

係長の社用車は無く、当然姿も確認できなかった。私は少々ホッとしている。

「会ったらどう声を掛けるおつもりでした?」
「んー、ストレートに何してるんですかって」

それは余りにも怪し過ぎません? 彼を監視してるのがバレバレですわ。

「あぁ、やっぱ移動してるな」

再び東薔薇さまはGPSで確認する。

「埠頭で停車した様だ。誰も居ないところで一体何を?」
「埠頭まで行って確かめますか?」
「いや、やめとこう。偶然を装えない。それより聞き込みしよう」
「はい」

彼はリサイクルセンターの従業員に声を掛けた。

「こんにちは。人事の東薔薇です。組合の情宣物を届けに参りました」

なるほど。そこで偶然バッタリ会った風に装うつもりだったのか。

「あの、ちょっと前にうちの者が来てませんでした?」
「ああ、人事の人ね。廃棄用PCを手違いだとか言って、幾つかの基盤を持って帰りましたよ」
「どれですか?」

東薔薇さまはそのPCのシリアル番号をメモし、タブレットで誰の持ち物だったのかを検索している様だ。

凄い。何でも調べられる。只者ではないな。

だけどいつも爽やかな彼の表情が次第に顔面蒼白となった。

「何か分かったのですか?」
「な、何で……何で財務部のこと調べてるんだ? そんな案件知らないぞ。これは嫌な予感がする!」
「財務部って」

行方不明の『伊集院ララ』さんが在籍してた部署。やはり係長は密かに捜索してたんだ。

「綾坂さん、戻ろう。マネージャーに報告だ」
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