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そこのモンスター社員、今すぐ退職届を書きなさい!
第27話 拉致監禁②
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青葉マネージャーは力なく項垂れた。もう無理だと悟った様だ。けれども門前専務は腹の虫がおさまらないご様子。全然納得してないのだ。
「貴様ら如きの指示など受けんわ。経営陣に退職届を突きつけるとは何様か! お嬢さんこそクビにしてやるぞ!」
まぁ、この期に及んで往生際が悪いこと。
「門前、お前は本日付けで辞めろ。捕まる前にだ。それが会社のためだと分からないのか?」
「伊集院。逮捕状は無いよな? そりゃそうだ。警察も私に遠慮して捕まえられないだろ」
「ふふん。それはどうかな」
そっか、警察だ。この場を収めるにはそれしかない。
「係長、警察を呼びます!」
「その必要はない」
「えっ? だって」
係長はポケットから黒い手帳を取り出した。と、同時に青葉マネージャーを取り押さえていた男性陣も一斉に同じ動作をする。
「そっ、それは!?」
「警察はここにいる」
彼らは高々と警察手帳を掲げたのだ。
「な ん だ と !?」
「俺は警察を辞めてない。つまりこれは潜入捜査だ!」
……は? ……は?
「門前正照及び青葉高文、任意同行して貰おうか。伊集院ララの拉致監禁について聞きたいことがある」
な、何が起こってるのでしょう?
「き、貴様……私を騙してたのか!」
「俺を甘く見るな!」
私や東薔薇さん、池園先輩、それに警備員、秘書らが呆然と立ち尽くしてる中で、警察は二人を連れ去って行った……
ーーあれから。
門前と青葉は拉致監禁の容疑を認め、大々的なニュースとして連日取り上げられていた。A社元社員と報道されているが、我が社のイメージダウンは計り知れない。
そして彼らの証言により、伊集院ララさんは門前の所有する山荘の別荘で監禁されてるところを保護された。映像では変わり果てたララさんを抱きしめる伊集院翔さんの姿を見て涙が零れ落ちた。
さらに門前は脱税や背任の容疑でも送検。
そして、私といえば……
一人ぽつんとカビ臭い事務所で労政係から受けた案件を細々とこなしていた。あの破天荒な伊集院係長はもう居ないのだ。
と、不意に扉が開く。
「綾坂さん。私こっちへ戻ったから宜しくね」
「あ、池園先輩。寂しかったので超絶嬉しいですぅ!」
「それとね、特命係は労政係に吸収されるの。なのでここから脱出よ!」
「つまり私は労政係に再配属ですか?」
「そう。綺麗なオフィスで仕事したかったでしょう?」
ええ、まぁそうですけど複雑な心境だな。ここで過ごした時間は二ヶ月くらいだけど思い出がたくさん詰まってるから……
「伊集院さん、妹さん見つかって良かったですね。あれからどうされてるのでしょう? お会いしたいなー」
「あら、私は時々会ってるけど?」
「ひぃ!」
「何がひぃよ?」
「えーと、お二人はその、お付き合いとかなさってるの……ですか?」
「さてね。今はララの心のケアが第一よ」
いかん。これは時間の問題だ。早計ながら私の恋路またしても終結を迎える模様……
だけど再配属に伴い、心機一転頑張ろう。
仕事も恋愛も大願成就。いつか、その夢を果たして見せる。この人事労政Grで!
ー 完 ー
「貴様ら如きの指示など受けんわ。経営陣に退職届を突きつけるとは何様か! お嬢さんこそクビにしてやるぞ!」
まぁ、この期に及んで往生際が悪いこと。
「門前、お前は本日付けで辞めろ。捕まる前にだ。それが会社のためだと分からないのか?」
「伊集院。逮捕状は無いよな? そりゃそうだ。警察も私に遠慮して捕まえられないだろ」
「ふふん。それはどうかな」
そっか、警察だ。この場を収めるにはそれしかない。
「係長、警察を呼びます!」
「その必要はない」
「えっ? だって」
係長はポケットから黒い手帳を取り出した。と、同時に青葉マネージャーを取り押さえていた男性陣も一斉に同じ動作をする。
「そっ、それは!?」
「警察はここにいる」
彼らは高々と警察手帳を掲げたのだ。
「な ん だ と !?」
「俺は警察を辞めてない。つまりこれは潜入捜査だ!」
……は? ……は?
「門前正照及び青葉高文、任意同行して貰おうか。伊集院ララの拉致監禁について聞きたいことがある」
な、何が起こってるのでしょう?
「き、貴様……私を騙してたのか!」
「俺を甘く見るな!」
私や東薔薇さん、池園先輩、それに警備員、秘書らが呆然と立ち尽くしてる中で、警察は二人を連れ去って行った……
ーーあれから。
門前と青葉は拉致監禁の容疑を認め、大々的なニュースとして連日取り上げられていた。A社元社員と報道されているが、我が社のイメージダウンは計り知れない。
そして彼らの証言により、伊集院ララさんは門前の所有する山荘の別荘で監禁されてるところを保護された。映像では変わり果てたララさんを抱きしめる伊集院翔さんの姿を見て涙が零れ落ちた。
さらに門前は脱税や背任の容疑でも送検。
そして、私といえば……
一人ぽつんとカビ臭い事務所で労政係から受けた案件を細々とこなしていた。あの破天荒な伊集院係長はもう居ないのだ。
と、不意に扉が開く。
「綾坂さん。私こっちへ戻ったから宜しくね」
「あ、池園先輩。寂しかったので超絶嬉しいですぅ!」
「それとね、特命係は労政係に吸収されるの。なのでここから脱出よ!」
「つまり私は労政係に再配属ですか?」
「そう。綺麗なオフィスで仕事したかったでしょう?」
ええ、まぁそうですけど複雑な心境だな。ここで過ごした時間は二ヶ月くらいだけど思い出がたくさん詰まってるから……
「伊集院さん、妹さん見つかって良かったですね。あれからどうされてるのでしょう? お会いしたいなー」
「あら、私は時々会ってるけど?」
「ひぃ!」
「何がひぃよ?」
「えーと、お二人はその、お付き合いとかなさってるの……ですか?」
「さてね。今はララの心のケアが第一よ」
いかん。これは時間の問題だ。早計ながら私の恋路またしても終結を迎える模様……
だけど再配属に伴い、心機一転頑張ろう。
仕事も恋愛も大願成就。いつか、その夢を果たして見せる。この人事労政Grで!
ー 完 ー
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