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第3章〜芸州編(其の弐)〜
第26話
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「ダン、ダダン、ダダン、タタン……いくぞ!!」
「おお、真田さまが叩くぞお!」
「キャー、真田さまー!!」
「ダン、ダダン、ダダン、タタン、ダン、ダダン、ダダン、タタン、ダン、ダン、ダン、タタン、ダン、ダン、ダン、タタン……」
俺は何もかも忘れるくらいに太鼓を叩き続ける。そして領民の踊りへの興奮が最高潮に達していた。
「そうれ、踊れえええええええええ!!」
「サノヤレコノ、ヨイヤサノサッサッサ」
「サッテモ、ヤノコレ、ヨイヨイヨイ……」
気がつくと太鼓を叩いている俺の周りに村の女たちが群がっていた。
「真田さまー!!」
「キャー!! こっち向いてええええ!!」
「あの……大助さま、そろそろ僕と交代しましょうよ」
「まだまだー!」
「あ、国宗の皆さんが来られましたよ」
一心不乱に打ち込んでいたが俺はその言葉に動揺し、つい目を向けてしまった。そこには忠次郎らと一緒にお化粧した「お久」が女衆に混じって俺の方を見ている。何やら恥ずかしそうだったし俺も照れ臭い。すると女衆がお久を押しながら俺の側へ近づいてきた。
ど、どうする……今年もお久と踊らないつもりなのか?
その時、見たことある男がお久に声をかけていた。神田喜左衛門の弟だ。どうやら踊りを誘っているようだが、お久は困惑している。そして俺の顔色を伺う。
ああ、お久が俺を待ってる。い、行かないと……。今年こそは行かないと。今、行かないとお久を悲しませてしまう。俺は、俺はお久が好きだ。そうだろ!? 勇気を出すんだ、真田大助!!
今、はっきりと自分の気持ちを受け入れた。そして、俺は腹を括る。
「……忠吾郎、太鼓に入れ。交代だ」
「はーい! やったァ!」
俺は少し身体が震えているのを感じた。だがそれでも行く。
「真田さまー、わたしと踊って下さーい!」
「キャー、アタシよお!」
群がる女を払いのけ、お久の前に立つ。深呼吸をするが激しい動悸は治らない。
「お久……」
「大助さま……」
「踊ろうか」
「……あい」
公衆の面前で告白したようで心臓が止まりそうだ。
「ええええええええっ!? 何で!?」
悲鳴のような声が聞こえた。と同時に、
「お久さま、良かったですね!」
と女衆はお久を盛り上げる。
恥ずかしいやら嬉しいやらの表情を浮かべるお久の手を取り、俺たちは踊りの輪に入った。もう周りの目など眼中にない。あるのは目の前の「お久」だけだ。さぁ踊ろう!
その光景を遠巻きに眺めている女が居た。
「六郎、どういうことだい!?」
「そういうこと……ですな」
「とーんだ、伏兵が居たもんだわ!」
「お雪さん、ここは儂がお相手致しましょうか」
「……仕方ないね。よし、六郎、踊るよ!」
「おお、こりゃ大金星じゃ!!」
山村を照らす満月の下で、俺はお久と見つめ合いながら踊った。「うふふ」と時折お久が笑う。
「あ、大助さま、お久と踊ってる。私も入ろう」
「こ、これ忠次郎さま、邪魔したら駄目です!」
「え、邪魔も何も……」
「もー、分からないんですか?」
「何が?」
「野暮だねえ!」
「また出た、その言葉! 私は野暮じゃない!」
「サノヤレコノ、ヨイヤサノサッサッサ」
「サッテモ、ヤノコレ、ヨイヨイヨイ……」
山村の盆踊りは夜通し続いた。
「おお、真田さまが叩くぞお!」
「キャー、真田さまー!!」
「ダン、ダダン、ダダン、タタン、ダン、ダダン、ダダン、タタン、ダン、ダン、ダン、タタン、ダン、ダン、ダン、タタン……」
俺は何もかも忘れるくらいに太鼓を叩き続ける。そして領民の踊りへの興奮が最高潮に達していた。
「そうれ、踊れえええええええええ!!」
「サノヤレコノ、ヨイヤサノサッサッサ」
「サッテモ、ヤノコレ、ヨイヨイヨイ……」
気がつくと太鼓を叩いている俺の周りに村の女たちが群がっていた。
「真田さまー!!」
「キャー!! こっち向いてええええ!!」
「あの……大助さま、そろそろ僕と交代しましょうよ」
「まだまだー!」
「あ、国宗の皆さんが来られましたよ」
一心不乱に打ち込んでいたが俺はその言葉に動揺し、つい目を向けてしまった。そこには忠次郎らと一緒にお化粧した「お久」が女衆に混じって俺の方を見ている。何やら恥ずかしそうだったし俺も照れ臭い。すると女衆がお久を押しながら俺の側へ近づいてきた。
ど、どうする……今年もお久と踊らないつもりなのか?
その時、見たことある男がお久に声をかけていた。神田喜左衛門の弟だ。どうやら踊りを誘っているようだが、お久は困惑している。そして俺の顔色を伺う。
ああ、お久が俺を待ってる。い、行かないと……。今年こそは行かないと。今、行かないとお久を悲しませてしまう。俺は、俺はお久が好きだ。そうだろ!? 勇気を出すんだ、真田大助!!
今、はっきりと自分の気持ちを受け入れた。そして、俺は腹を括る。
「……忠吾郎、太鼓に入れ。交代だ」
「はーい! やったァ!」
俺は少し身体が震えているのを感じた。だがそれでも行く。
「真田さまー、わたしと踊って下さーい!」
「キャー、アタシよお!」
群がる女を払いのけ、お久の前に立つ。深呼吸をするが激しい動悸は治らない。
「お久……」
「大助さま……」
「踊ろうか」
「……あい」
公衆の面前で告白したようで心臓が止まりそうだ。
「ええええええええっ!? 何で!?」
悲鳴のような声が聞こえた。と同時に、
「お久さま、良かったですね!」
と女衆はお久を盛り上げる。
恥ずかしいやら嬉しいやらの表情を浮かべるお久の手を取り、俺たちは踊りの輪に入った。もう周りの目など眼中にない。あるのは目の前の「お久」だけだ。さぁ踊ろう!
その光景を遠巻きに眺めている女が居た。
「六郎、どういうことだい!?」
「そういうこと……ですな」
「とーんだ、伏兵が居たもんだわ!」
「お雪さん、ここは儂がお相手致しましょうか」
「……仕方ないね。よし、六郎、踊るよ!」
「おお、こりゃ大金星じゃ!!」
山村を照らす満月の下で、俺はお久と見つめ合いながら踊った。「うふふ」と時折お久が笑う。
「あ、大助さま、お久と踊ってる。私も入ろう」
「こ、これ忠次郎さま、邪魔したら駄目です!」
「え、邪魔も何も……」
「もー、分からないんですか?」
「何が?」
「野暮だねえ!」
「また出た、その言葉! 私は野暮じゃない!」
「サノヤレコノ、ヨイヤサノサッサッサ」
「サッテモ、ヤノコレ、ヨイヨイヨイ……」
山村の盆踊りは夜通し続いた。
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