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第五章 芸州編 宝刀と共に消えた落武者
第46話 大夫の真意
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春日神社を一望できる裏山で、六郎は半蔵とともに周囲を警戒していた。
「大夫は上機嫌だそうだ。見るからに、家中もまるで緊張感がない」
「これから落武者を捕らえるという雰囲気ではありませんな」
「だが、油断は禁物……」
神社の本殿では、前もってお紺ら伊賀の者が屋根裏に潜んでいた。もしもの時は本殿に乱入し、必ず助け出せ──半蔵はそう命じている。たとえ修羅場になろうとも、である。
六郎も同じく、主人を守るために爆弾を胸に抱え、戦闘態勢を整えていた。それに、一つ気がかりなことがあると半蔵は言う。
「本殿には、藤林が放った隠密──伊賀忍者の道順が合流している。一番警戒すべきは、あいつだ」
「彼は、江戸から福島一行を影ながら追ってきた中忍ですな。どんな命を受けてるのか。しかし半蔵殿、合流したということは、形の上では我らの仲間ということでは?」
「恐らく、藤林は芸州の隠密を疑っておる。同じ藤林の配下とはいえ、疑ってる以上、仲間のふりして探りを入れてくるに違いない」
「なるほど。で、若に対してはどう動くつもりか?」
「あいつは福島正則付きの隠密。本来の任務は、大夫の粗探しだ。お紺があいつと話した限りにおいては、小僧と接見することを知らない。現場を目撃すれば、配下が江戸へ飛び、藤林の指示を待つだろう」
「つまり、若に手を下すことはないと?」
「大夫が捕えなければ、な。だが、もし捕えれば、助け出そうとする我らの裏切りが露見し、一戦交えることになる」
伊賀忍者の道順こと、二代目・楯岡道順は、頭領・藤林長門守の忠実な配下であり、福島正則の帰国に合わせて自身の手勢を率い、芸州の隠密と合流していた。しかし、彼は配下を芸州組に引き合わせることもなく、ただ近くに待機させている。服部半蔵は、その意図を見抜いていた。
「いずれにせよ、生きて返すわけには……」
一方、拝謁の間には、大夫と家老・津田四郎兵衛の二人しかいない。俺は丸腰のまま、いつでも動けるようにわずかに腰を浮かせ、言葉を待った。
「この味噌は、そちが拵えたものか?」
「は、ははっ」
「うむ」
正則は味噌の器を手に取り、木蓋を開けて匂いを嗅ぐ。そして、人差し指ですくい取ると、そのまま口に運んだ。
「と、殿!? なりません!」
「毒味など必要あるまい。……お、こりゃあ美味いぞ、大助!」
「有り難き幸せにございます」
「まったく……」
四郎兵衛は不満げな表情を浮かべたが、正則はまるで気にも留めていない。
「お前が如何に芸州へ根付いて生きてきたか、この味噌を食ってみるとよく分かるわい」
「山村は気候や土壌に恵まれ、水が美味しゅうございますゆえ、味噌造りに適しておりまする」
俺は冷や汗をかきながらも、平静を装い話を合わせた。
「そうか、そうか。はっはっは……」
そこへ、一人の小姓が拝謁の間へ現れた。本殿の入り口で召し上げられた秀頼公の刀を手に、正則の近くへ進む。
大夫さまは、宝刀の献上を求めるおつもりか? それとも……。
俺の胸中から、「捕らえられるやもしれぬ」という疑念は、まだ拭い去れずにいる。
正則はじっと宝刀を見つめていた。そして、静かに口を開いた。
「大助よ、そちは秀頼さまの最期を見届けたと聞くが、まことか?」
「はい、しかと」
「詳しく聞かせよ」
あれから三年半──忘れようにも忘れられるはずがない。
大阪城の山里曲輪へ追い詰められ、自害された秀頼公の最期を、俺はありのままに語った……
『余が死なねば、この戦国の世は終わらぬ。それが定めだ』
大野治長や毛利勝永が切腹の準備を整え、一人また一人と介錯が進む。
曲輪の中は断末魔の叫びと覚悟が入り混じる異様な空気に包まれていた。
『我ら、豊臣ぞっ!』
武士たちは次々と自刃していく。その最中、秀頼公が最後に言い放つ。
『大助、生きよっ! それが左衛門佐──真田幸村との約束だ!』
「…………そうか」
正則は不意に背を向け、静かに宝刀を置いた。そして、ゆっくりと両手を合わせ、深々と頭を下げる。
「太閤殿下……豊臣家をお守りできず、申し訳ございません! 秀頼さま、誠に申し訳ございません……!」
「殿っ、接見の場で何をなさるのですか!?」
「四郎兵衛、儂の気持ちが分からんのか!」
「い、いえ……分かります。ですが、今でなくとも……」
「天上天下唯我独尊、天上天下唯我独尊、天上天下唯我独尊……ううっ……」
「……!?」
──大夫さまが念仏を唱えている!
正則はしばらく嗚咽しながら涙を流した。やがて気持ちが落ち着いたのか、宝刀を手に取り、静かに座り直す。
「……あの世で、太閤殿下に叱られるじゃろうのう」
「お、恐れながら……その念仏は……?」
「豊臣家に会うための念仏じゃ。秀頼さまから聞いておらんのか?」
「教えていただきました。ですが、その念仏には別の流言も広まっています」
「宝刀を所持する者が念仏を唱え、修行を積めば無敵の力を得る……という話か?」
「ご存知で……!?」
「はっはっは……それは太閤殿下の作り話よ。宝刀を持つ者を守るためのな」
「さようでございましたか……」
やはり、そんなまやかしなど存在しない。この宝刀が使い勝手の良い名刀であるがゆえに、俺は強くなったと錯覚していただけなのだ。大阪の陣で生き延びることができたのも、結局はこの刀の切れ味と、極限の興奮状態が生んだ『火事場の馬鹿力』にすぎない──。
そう、自分に言い聞かせた。
「大助よ、儂はのう、元を正せば尾張二寺村の桶屋じゃ。村の三役にもなれん、さほど裕福でもない百姓の生まれよ。それが、太閤殿下の親戚というだけで大名にまでなった成り上がり者じゃ。だからこそ、豊臣家には計り知れぬ恩がある。最後までお側に仕えられなかったことが、今でも悔やまれてならんのだ」
正則はしみじみと語り、ふっと目を細めた。
「……豊臣家への忠義、礼を言うぞ」
「は、ははーっ!」
「うむ。この秀頼さまの刀は、そちが持っておれ」
「えっ!?」
……どういうことなんだ?
俺は大夫さまの真意を測りかねていた。
「大夫は上機嫌だそうだ。見るからに、家中もまるで緊張感がない」
「これから落武者を捕らえるという雰囲気ではありませんな」
「だが、油断は禁物……」
神社の本殿では、前もってお紺ら伊賀の者が屋根裏に潜んでいた。もしもの時は本殿に乱入し、必ず助け出せ──半蔵はそう命じている。たとえ修羅場になろうとも、である。
六郎も同じく、主人を守るために爆弾を胸に抱え、戦闘態勢を整えていた。それに、一つ気がかりなことがあると半蔵は言う。
「本殿には、藤林が放った隠密──伊賀忍者の道順が合流している。一番警戒すべきは、あいつだ」
「彼は、江戸から福島一行を影ながら追ってきた中忍ですな。どんな命を受けてるのか。しかし半蔵殿、合流したということは、形の上では我らの仲間ということでは?」
「恐らく、藤林は芸州の隠密を疑っておる。同じ藤林の配下とはいえ、疑ってる以上、仲間のふりして探りを入れてくるに違いない」
「なるほど。で、若に対してはどう動くつもりか?」
「あいつは福島正則付きの隠密。本来の任務は、大夫の粗探しだ。お紺があいつと話した限りにおいては、小僧と接見することを知らない。現場を目撃すれば、配下が江戸へ飛び、藤林の指示を待つだろう」
「つまり、若に手を下すことはないと?」
「大夫が捕えなければ、な。だが、もし捕えれば、助け出そうとする我らの裏切りが露見し、一戦交えることになる」
伊賀忍者の道順こと、二代目・楯岡道順は、頭領・藤林長門守の忠実な配下であり、福島正則の帰国に合わせて自身の手勢を率い、芸州の隠密と合流していた。しかし、彼は配下を芸州組に引き合わせることもなく、ただ近くに待機させている。服部半蔵は、その意図を見抜いていた。
「いずれにせよ、生きて返すわけには……」
一方、拝謁の間には、大夫と家老・津田四郎兵衛の二人しかいない。俺は丸腰のまま、いつでも動けるようにわずかに腰を浮かせ、言葉を待った。
「この味噌は、そちが拵えたものか?」
「は、ははっ」
「うむ」
正則は味噌の器を手に取り、木蓋を開けて匂いを嗅ぐ。そして、人差し指ですくい取ると、そのまま口に運んだ。
「と、殿!? なりません!」
「毒味など必要あるまい。……お、こりゃあ美味いぞ、大助!」
「有り難き幸せにございます」
「まったく……」
四郎兵衛は不満げな表情を浮かべたが、正則はまるで気にも留めていない。
「お前が如何に芸州へ根付いて生きてきたか、この味噌を食ってみるとよく分かるわい」
「山村は気候や土壌に恵まれ、水が美味しゅうございますゆえ、味噌造りに適しておりまする」
俺は冷や汗をかきながらも、平静を装い話を合わせた。
「そうか、そうか。はっはっは……」
そこへ、一人の小姓が拝謁の間へ現れた。本殿の入り口で召し上げられた秀頼公の刀を手に、正則の近くへ進む。
大夫さまは、宝刀の献上を求めるおつもりか? それとも……。
俺の胸中から、「捕らえられるやもしれぬ」という疑念は、まだ拭い去れずにいる。
正則はじっと宝刀を見つめていた。そして、静かに口を開いた。
「大助よ、そちは秀頼さまの最期を見届けたと聞くが、まことか?」
「はい、しかと」
「詳しく聞かせよ」
あれから三年半──忘れようにも忘れられるはずがない。
大阪城の山里曲輪へ追い詰められ、自害された秀頼公の最期を、俺はありのままに語った……
『余が死なねば、この戦国の世は終わらぬ。それが定めだ』
大野治長や毛利勝永が切腹の準備を整え、一人また一人と介錯が進む。
曲輪の中は断末魔の叫びと覚悟が入り混じる異様な空気に包まれていた。
『我ら、豊臣ぞっ!』
武士たちは次々と自刃していく。その最中、秀頼公が最後に言い放つ。
『大助、生きよっ! それが左衛門佐──真田幸村との約束だ!』
「…………そうか」
正則は不意に背を向け、静かに宝刀を置いた。そして、ゆっくりと両手を合わせ、深々と頭を下げる。
「太閤殿下……豊臣家をお守りできず、申し訳ございません! 秀頼さま、誠に申し訳ございません……!」
「殿っ、接見の場で何をなさるのですか!?」
「四郎兵衛、儂の気持ちが分からんのか!」
「い、いえ……分かります。ですが、今でなくとも……」
「天上天下唯我独尊、天上天下唯我独尊、天上天下唯我独尊……ううっ……」
「……!?」
──大夫さまが念仏を唱えている!
正則はしばらく嗚咽しながら涙を流した。やがて気持ちが落ち着いたのか、宝刀を手に取り、静かに座り直す。
「……あの世で、太閤殿下に叱られるじゃろうのう」
「お、恐れながら……その念仏は……?」
「豊臣家に会うための念仏じゃ。秀頼さまから聞いておらんのか?」
「教えていただきました。ですが、その念仏には別の流言も広まっています」
「宝刀を所持する者が念仏を唱え、修行を積めば無敵の力を得る……という話か?」
「ご存知で……!?」
「はっはっは……それは太閤殿下の作り話よ。宝刀を持つ者を守るためのな」
「さようでございましたか……」
やはり、そんなまやかしなど存在しない。この宝刀が使い勝手の良い名刀であるがゆえに、俺は強くなったと錯覚していただけなのだ。大阪の陣で生き延びることができたのも、結局はこの刀の切れ味と、極限の興奮状態が生んだ『火事場の馬鹿力』にすぎない──。
そう、自分に言い聞かせた。
「大助よ、儂はのう、元を正せば尾張二寺村の桶屋じゃ。村の三役にもなれん、さほど裕福でもない百姓の生まれよ。それが、太閤殿下の親戚というだけで大名にまでなった成り上がり者じゃ。だからこそ、豊臣家には計り知れぬ恩がある。最後までお側に仕えられなかったことが、今でも悔やまれてならんのだ」
正則はしみじみと語り、ふっと目を細めた。
「……豊臣家への忠義、礼を言うぞ」
「は、ははーっ!」
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