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第一部
01.侍女の巻①
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「えええええっ!私がお姉様の侍女になって、後宮に入るってこと⁉︎」
何なんだそれは!わがままな姉がまぐれで入宮するからって、こんな迷惑なことになるなんて!
私の名前はポピー、一応貴族階級の娘です。地元の貴族院を卒業したばかりで、牧場が大好きな18歳。一方、姉のハリエットは、女磨きが趣味で、容姿は端麗(と一応言っておきますが)、性格には少々難がある21歳。彼女は皇太子様の寵愛争奪戦に参加する資格を勝ち取ったようで、それが原因で私も侍女として巻き込まれることになりそうなのです……。
「お願いだ、ポピー。うちは貧乏で、侍女を雇う余裕なんてないんだ。しかも、ハリエットがお前を指名したんだよ!」
「うーん、めんどくさいなぁ……」
「面倒くさいって言うな!もしもの話だぞ?もし、皇太子様のお気に入りになったらどうする?こんな名誉なことはないぞ!」
「お父様は単に恩給が目当てなんじゃない?皇太子のお気に入りにされたら、毎月金貨がもらえるんだろうし!」
「金貨?うん、それもある。大いにある。いや、それだけじゃないんだよ。もしも、側妃にでもなったらどうなる⁉︎」
「そりゃあ、我が家も大儲けだよね!階級もぐっと上がるし!」
「そうじゃ!まさに、これは大チャンスなんだ!」
あのね、お父様。そんな夢みたいなことが簡単に起こるわけないじゃないですか。
「頼むよ、ポピー、半年だけ頼む!」
「半年?それだけ?」
「そうだよ。お手付き候補には22歳までの制限があるからな」
あらまあ、崖っぷちだわ。
お屋敷のダイニングルームでしばらく考え込んでいたけど、やっぱり面倒くさい。
「馬の世話もあるのに、なんで私が後宮に行かなきゃいけないのよ」
「牧場は俺が何とかするから心配するな」
「お父様、あの暴れ馬は私じゃないと制御できないって。どうするんですか?」
思わず顔をしかめてブーたれていたら、背後に人の気配が感じられた。
「貴女はこの名誉を何だと思っているの⁉︎」
げげっ!お姉様!
「い、いえ、とっても光栄なことでございま~す」
「だったら、さっさとご用意しなさい!」
……ったく!偉そうに!
「はいはい、失礼しました。もう一度仰ってください」
「なっ、何回も言わさないで!ポピー、貴女も侍女とは言え後宮に入るのですよ。もう少し淑女らしく振る舞いなさい!」
「はぁぁ~い!」
「だから、ちゃんとお返事しなさい!」
「はい、すみません。とっとと用意してきま~す」
「ポピー!」
私は駆け足で自分の部屋に戻り、ベッドに勢いよく飛び込んだ。
「ああ、面白くない。後宮なんて行きたくない!それに淑女って何?よく聞くけど意味がわからない。……うーん、さすがにそれくらい知っとかないとマズいかな?」
と、分厚い本を手に取って、淑女について調べてみることにした。
……ふんふん、『淑女とは、品のあるしとやかでなめらかな女性』だってさ。ん?しとやか?なになに、『しとやかとは、身の振る舞いや話し方が落ち着いて上品なさまのこと』ほ~。
「これは無理だ。確実に姉の足を引っ張るわな」
自分で言うのも何だけど、私は活発で行動に慎みのない、いわゆる『おてんば』な性格なのです。さらに外見は基本ノーメイクで、くりんくりんの金髪を大雑把に括っただけで、『品のあるしとやかな女性』とは程遠いのでした!
姉が私を選んだのは、貧乏もあるけど姉妹なので言いやすくコキ使いやすいからでしょうね。
でも、お父様の頼みなら仕方ないかな。私も面倒くさいの我慢して後宮へ勤めるのだから、少々は目を瞑ってもらいましょう。姉もお手付きになることはないですよね……うん。
こうして私の人生が大激変する後宮生活が始まったのです。
何なんだそれは!わがままな姉がまぐれで入宮するからって、こんな迷惑なことになるなんて!
私の名前はポピー、一応貴族階級の娘です。地元の貴族院を卒業したばかりで、牧場が大好きな18歳。一方、姉のハリエットは、女磨きが趣味で、容姿は端麗(と一応言っておきますが)、性格には少々難がある21歳。彼女は皇太子様の寵愛争奪戦に参加する資格を勝ち取ったようで、それが原因で私も侍女として巻き込まれることになりそうなのです……。
「お願いだ、ポピー。うちは貧乏で、侍女を雇う余裕なんてないんだ。しかも、ハリエットがお前を指名したんだよ!」
「うーん、めんどくさいなぁ……」
「面倒くさいって言うな!もしもの話だぞ?もし、皇太子様のお気に入りになったらどうする?こんな名誉なことはないぞ!」
「お父様は単に恩給が目当てなんじゃない?皇太子のお気に入りにされたら、毎月金貨がもらえるんだろうし!」
「金貨?うん、それもある。大いにある。いや、それだけじゃないんだよ。もしも、側妃にでもなったらどうなる⁉︎」
「そりゃあ、我が家も大儲けだよね!階級もぐっと上がるし!」
「そうじゃ!まさに、これは大チャンスなんだ!」
あのね、お父様。そんな夢みたいなことが簡単に起こるわけないじゃないですか。
「頼むよ、ポピー、半年だけ頼む!」
「半年?それだけ?」
「そうだよ。お手付き候補には22歳までの制限があるからな」
あらまあ、崖っぷちだわ。
お屋敷のダイニングルームでしばらく考え込んでいたけど、やっぱり面倒くさい。
「馬の世話もあるのに、なんで私が後宮に行かなきゃいけないのよ」
「牧場は俺が何とかするから心配するな」
「お父様、あの暴れ馬は私じゃないと制御できないって。どうするんですか?」
思わず顔をしかめてブーたれていたら、背後に人の気配が感じられた。
「貴女はこの名誉を何だと思っているの⁉︎」
げげっ!お姉様!
「い、いえ、とっても光栄なことでございま~す」
「だったら、さっさとご用意しなさい!」
……ったく!偉そうに!
「はいはい、失礼しました。もう一度仰ってください」
「なっ、何回も言わさないで!ポピー、貴女も侍女とは言え後宮に入るのですよ。もう少し淑女らしく振る舞いなさい!」
「はぁぁ~い!」
「だから、ちゃんとお返事しなさい!」
「はい、すみません。とっとと用意してきま~す」
「ポピー!」
私は駆け足で自分の部屋に戻り、ベッドに勢いよく飛び込んだ。
「ああ、面白くない。後宮なんて行きたくない!それに淑女って何?よく聞くけど意味がわからない。……うーん、さすがにそれくらい知っとかないとマズいかな?」
と、分厚い本を手に取って、淑女について調べてみることにした。
……ふんふん、『淑女とは、品のあるしとやかでなめらかな女性』だってさ。ん?しとやか?なになに、『しとやかとは、身の振る舞いや話し方が落ち着いて上品なさまのこと』ほ~。
「これは無理だ。確実に姉の足を引っ張るわな」
自分で言うのも何だけど、私は活発で行動に慎みのない、いわゆる『おてんば』な性格なのです。さらに外見は基本ノーメイクで、くりんくりんの金髪を大雑把に括っただけで、『品のあるしとやかな女性』とは程遠いのでした!
姉が私を選んだのは、貧乏もあるけど姉妹なので言いやすくコキ使いやすいからでしょうね。
でも、お父様の頼みなら仕方ないかな。私も面倒くさいの我慢して後宮へ勤めるのだから、少々は目を瞑ってもらいましょう。姉もお手付きになることはないですよね……うん。
こうして私の人生が大激変する後宮生活が始まったのです。
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