宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第二部

12. 侍女の巻⑫

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「もっと胸を張るのよ、16番!だから、重心は後ろだって!」
後宮のホールで姉はシェリーの特訓を受けていた。腕組みしながら指導してるシェリーの隣にはリンダも控えている。
「それでローリングウォークしてるつもり⁉︎ったく、出来てないじゃないの!いい?かかとから着地するのよ!かかと、足裏の真ん中、つま先としっかり体重移動して!」
「はいっ!」
姉は何回もシェリーの前で歩いています。超汗だくになりながら……。

ふぅぅん、歩くってそうなんだ。奥が深いのね。──って、感心してる場合じゃなかった。そろそろ夕飯の支度が始まる。使用人を監視しないと毒でも盛られたら大変だわ!
宮廷行列まで、あと数日に迫っていた。
姉もシェリーのシゴキに何とかついていってる様です。それもそのはず、地元の貴族院では、ミスコンで連続優勝した強者です。それにシェリーも純粋に指導してるだけで……まあ熱血感あるけど、イジメなんかじゃ無かった。
つまり、ライラ組として恥じない行進を目指してるだけなのです。

***

使用人が作る食事を私は「じぃーっ」と眺めていたけど、特に怪しい素振りもなくお毒味と称して美味しい料理を沢山つまみ食いしてます。
「うんうん、こりゃ美味しい!」
「ポピー様、私どもは決して毒など盛りませんから」
「ええ、分かってるわ。一生懸命やってるのに感じ悪くてごめんねー。つか、これが私のお食事みたいなもんだから!」
「あら、侍女のお食事も準備しますのに」
「そう?じゃそれも頂きねー!うふふ」
屋舎に比べ食事量が格段と増えてまいりましたな……。
「ここに居ると確実に太るわ。ま、いっか!」
などと呑気に食べていたら姉に呼ばれた。

「ポピー、ライラ様からの指令よ。とっても難しいミッションだけど、貴女なら何とかすると思ってるからー」
「またあーー!今度はなにぃぃ⁉︎」
嫌な予感プンプンです!
「今晩あたりグレースが仕掛けてくるかもしれないから要注意よ。不審者が居たら必ず捕まえて!」
「え?不審者って⁉︎」
「私のドレスを傷付けるか盗みに来るってスパイから情報があったみたい」
「ま、まじっスか?つか、スパイ⁉︎」
これってグレース組にライラのスパイが潜り込んでるって事よね?まあ恐ろしい世界だわ……。
「私が加入したからライラ組が1名多いの。それがグレースは相当気に入らないようね。だから嫌がらせしたいんでしょう」
「でも、どうやって捕まえるの?」
「それは貴女に任せる。なんせ奇跡の侍女だからね。ライラ様も期待してるわ!」
いえいえ、不審者を捕まえるって、そう簡単に出来ないと思うけどお?そもそも鍵掛けてたら侵入出来ないでしょ!
「あ、それと私、シェリー様のお部屋で最終チェックする事なったから、帰れないかもしれない。だから私のお部屋を自由に使っていいわよ」
──ったく!
「ん?分かったの?ポピー?」
「はいはーい!」
「ポピー!」
「もう分かったから、いってらっしゃーい!」
私はクルッと背を向けてそのまま姉のお部屋に行く。そしてベットへダイブです!
捕まえるってねえ。どうしょっかなあ……。

お父様、宮廷行列の前に嵐が吹き荒れそうです。でも私はドレスを死守いたします。そして不審者を捕まえます。……うーん、はたして本当に捕まえられるのかしら?


















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