宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第二部

14. 侍女の巻⑭

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「さあー、待ちに待った宮廷行列が始まりまーす!官僚、貴族の殿方さーん、しっかりご覧になって頂戴よーー!」
宮廷の広場で華麗なる婦人たちの行進がスタートします。なぜかヘンテコなアナウンサーが居ますが行進を盛り上げるためでしょう。そしてその声につられ、続々と殿方が広場や宮廷の廊下に集まって来た。
「ああ、お姉様の晴れ舞台だねー!この行進を一生の誇りに思って生きていくのよー!」
私はこの日を迎えてホッとしていた。

昨日のこと──
「お姉様、不審者は捕まえましたが、大切な一張羅のドレスを駄目にしてしまいました……」
「よく捕まえたわね、流石は奇跡の妹。ライラ様もこれでグレースに負い目を負わせると喜んでおられましたわ」
「でも、行進のドレスはどうしましょう?」
「ああ、ドレスはシェリー様にお借りするから大丈夫よ」
「えっ?そうなんですか?」
「うん、あの白いドレスは地味だから、貸してあげるって昨夜言われたの」
「なーーんだ、そうだったのーー!」

この様なやり取りがあったのです。だから今は安心して行進を見守れるの……と思ったらまたまた新たなミッションを言い渡されてしまった。
「ポピー、殿方の反応を探っといてね」
「はい?」
「だから行進してる時、御方が『あっ、あのご婦人綺麗だな』とか感想言うじゃない?」
「言うんだ?」
「言う人を見つけなさいっ!」
ふぅぅん。そういうの気にするんだね。つか、どの殿方よりも皇太子様の反応が一番でしょうが?だってお手付き目指してるんでしょう⁉︎
と、言いたかったけど大切な事に気づいた。実は私、皇太子様のお名前もお顔もなーんにも知らないのです。これでは探りようもありません。
まあ、とりあえず殿方の集団に近寄って反応を探る事にするか。もう始まるしね。

ちょうどアナウンサーのけたたましい声が広場を覆い尽くした。
「さぁて、先ずはグレース組の登場でーす!皆さん拍手をーー!」
側妃のグレースを先頭にお手付き4人が続き、その後ろに派閥令嬢が二列で並び、颯爽と行進して来た。『宮廷の殿方、私を見て見てぇ、綺麗でしょうー!』と言わんばかりの笑顔がちょっと滑稽に見える。
「ぷぷぷぷぷ……なに、あの満面の笑みは!」
やばい、吹き出しそう!でも、皆んな輝いてるな。……つか、アレが黒魔術のグレースか!厚化粧で誤魔化してるけど結構オバさんじゃん!ライラと言い王子様は年増が好きなのかしらね?
「続きまして、ライラ組の登場でーす!本日は新人のハリエット御令嬢の初披露でございまーす!」
おおっ、我が姉が呼ばれたわ!
最後列で颯爽と行進する姉は、しっかりとローリングウォークをしている。そしてクルッと一回転して手を振り、存在感をアピールしていた。
「へぇー、あんなお嬢さんがいたんだ」
「綺麗だねー」
殿方が少々騒ついている。私は聞き耳を立てるので必死です。どこの殿方なのでしょう?彼らの周りをウロウロと不審者の様に彷徨っていたら宮廷の一室の窓辺から、あの眩い御方の姿が目に入ったのです。思わず二度見しました。

「ああっ、キース様だ!」
狩猟場での軍服とは違って、宮廷のお偉いさんにふさわしいパールホワイトの制服に金で統一された肩章の装飾や胸の勲章、牡丹が眩しく上品な趣きを感じされる超カッコいい出で立ちに私はうっとりしちゃいました。
あ、逢いたい──
そう思って大切なミッションを忘れ、二階へ上がろうとしたけど彼の周りは多くの官僚が居るし、私の様な侍女が公の場で気楽にお話など出来る訳がない……と、思い直す。

お父様、姉の宮廷行列という夢は叶いました。後は私の処女喪失を成し遂げるのみです。出来ることならキース様に捧げたいと思っています。……いえ、キース様に捧げます!
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