宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第二部

15. 侍女の巻⑮

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キース様を目で追っていたその時です。
「ポピー?」
どこかで聞いた事のある声で呼ばれた。
あっ、貴方は麗しのジョー!
「ジ……いえ、仕立て屋さん。ご機嫌いかが?」
あー、やばい、やばい。公衆の面前でジョーって呼びそうになったわ。
「オホン。ハリエット様の行進を見ないのか?」
「うん、さっきチラッと見たから十分よ。それよりも姉の反応を探ってましたの」
「なるほど。まあまあの評判みたいだな」
「え?そうなの⁉︎」
「俺も後宮婦人の人気には興味があってね。で、ポピー、ちょっといいか?」
「うん?」
何やら内密のお話でもあるかの様に広場の片隅へ連れて行かれた。
「何よジョー?私、ミッションの最中なのよ」
「ハリエットの評判なら俺が探っといてやる」
「ホント⁉︎」
「ああ、俺の部下が貴族に紛れて密かに聞き回ってるんだ」
「何でそんな事するのよ?」
「そりゃ、お手付きされずに定年迎える御令嬢と独身官僚や貴族の仲立ちをするためさ」
「ほーう。愛のキューピットですか?そんな慈善事業みたいな事してるんだ?」
「まあな。後宮婦人って言ったら一応、箔が付く。お手つきされてないなら、このまま地方へ返すのは勿体ないからね」

ふぅぅん、ふぅぅぅん。じゃ、我が姉も皇太子様には相手されないけど、もしかしたら何処ぞの官僚や貴族に見初められるかも知れないって事か。
「そっか。姉にも良い御縁があれば、後宮へ来た甲斐があったって事なのねー」
「ああ。そうだな」
「で、何?私に御用があるんでしょう?」
「実はキース様から頼まれてな」
「えっ!キ、キース様から⁉︎」
「何だ、声が上ずってるぞ」
「だ、だって~ん」
「まあ良い……明朝、狩猟場で乗馬しようってさ。どうだ?侍女の仕事もあるけど難しい様だったら裏から手を回すが?」
「乗馬ですって⁉︎行く行くーー!姉なら何とか言いくるめるから、絶対に行きます!」
だって私の処女喪失のチャンスですもん!

そして、宮廷行列も無事終わって私はルンルン気分でお屋敷へ戻った。姉はライラ組の打ち上げに行ってる様です。特別なグレートホールなので侍女たちは呼ばれませんでした。それ幸いに私は納屋へ帰り明日に備えて寝ます。
あー、明日が待ち遠しいわ!

***

翌朝。二日酔いっぽく熟睡してる姉にお手紙を書いて、私は狩猟場へ行った。
朝日に反射する美しい湖の水面を眺めながら、キース様をお待ちしていると、木々の隙間からフィガーを連れた白馬の騎士が、ゆっくりとこちらへ向かって来るのが見えた。
「ああ、キース様だ。私のホワイトナイトよ!」
やがて、私に気がついたフィガーがちょっと興奮したかの様に走り出す。
「ブルル、ブルル」
「あら、フィガー。元気だったのー?会いたかったよお。うふふ」
「やあ、ポピー。フィガーはあれから良い子にしてたんだ。びっくりするくらいね。でも最近ソワソワしてる風だったから、もしかしてポピーに会いたいのかなって思ってね」
「そーなんだ、フィガー!嬉しいわ。よしよし」
私は早速フィガーに跨り、軽く走ってみました。やっぱり乗馬は楽しい。それに私とフィガーは息ピッタリなのです。
背後からキース様も追っ掛けて来て、私たちはゆっくりと湖畔をお散歩した。
あー、空気も美味しいし、気持ちいいし、言う事ないわー! 
と、乗馬の楽しさから本来の目的を忘れかけていた。でも、ふいに思い出したのです。
そうだった。私を抱いて貰わなければ!で、でも、どう伝えれば良いの⁉︎

お父様、『抱いてください』ってストレートに告白すべきでしょうか?ジョーの時みたいに、あっさりと振られるのが怖いです。ああ、どうしましょう!





















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