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第三部
21. お手つきの巻④
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「ちわー、仕立て屋でーす」
「ああっ、アンタ!」
不意にジョーが現れた。私の不満は爆発寸前だったので、ちょーど良いタイミングでやって来たと少々興奮した。
「今、エミリーは居ないのか?」
「私一人ですわ。麗しくないジョーめ!」
「何だ、さっきから。怒ってるのか?」
「ふん!ねえ、なんちゃら皇太子に会わせてよ」
「エリオット皇太子な。……で、会って文句でも言うつもりか?」
「騙された様なものだから、お手つきを解消して貰いたいの。だったら文句は言いません」
「それはどうかなあ……殿下は本気みたいだし」
「あ、あのねー、本気のわけないじゃん。単なる気まぐれで私の人生が大いに狂っちゃうのよ!」
「その責任も含めてお手つきしたんだろう。でも皇族を名乗らないまま関係を結んだのは良くないな。ポピーの気持ちも分からんでもないから一応伝えとこう」
ふん。殿下に直接交渉してやるから!
「それよりどうだ、お手つきの暮らしは?お前のサイズに合ったドレスや装飾品を準備してやったんだ。気に入ったか?」
「そうね。お陰様で毎日着飾ってお人形さんみたいで窮屈してるわ。それに陰険な虐めにあってるし。あ、そうだ。ジョー、派閥に入りたくないから何とかしてよ!」
「うん、その事なんだが……」
何か嫌な予感がします。
一旦、グレース組に在籍しろ。お前の身の安全を守るためにもな」
「えーっ!だから、派閥とかヤダって言ってるじゃん!」
「今のお前は突然現れた『おてんば後宮婦人』だ。このままだと双方の婦人から格好の餌食となる。グレース組に入れば守ってもらえるだろ?」
おてんばって⁉︎
「それにライラ組にも馴染みがある。一番良い選択だと思うけどな」
はあー、ため息しか出ないわ。くだらない派閥から逃れられないのかなあ……。
そこへエミリーが慌てて戻って来た。
「あら、仕立て屋さん、こんにちは」
「やあ、エミリー。どうしたんだい?」
「あ、その……ポピー様」
「え?なに?」
「えっと、グレース組の配属が決まりました。早速準備してご挨拶に参らならければなりません」
「えーーっ!展開はやーい!」
「いえ、遅いくらいです。そこで仕立て屋さん、グレース様に手土産を持参したいのですが、何が宜しいでしょうか?」
「それはおめでとうございます。ポピー様」
ふんっ!
「エミリー、それなら今あるよ」
ジョーは大きな鞄を開けて見せてくれた。そこには水晶のブレスレットや派手なロウソク、お香など不気味な黒魔術グッズが入っていたのです。
「ちょーど、この後グレース邸に商売行こうと思っていたんだ。このブレスレットは喜ぶと思うぞ」
「まあ、素敵ですね。おいくらですか?」
「エ、エミリー……私、ほぼ持ち合わせないけど」
「これは俺からのお祝いでいいよ」
「えっ!いいのですか?ポピー様、良かったですね!」
「そ、そう。ありがとう、仕立て屋さん」
ふんっだ。こんなんで誤魔化されないから!
「グレース邸にはお手つきも集まってるから、このお香が喜ばれると思う。これもポピー様にプレゼントするよ」
「まあまあ、仕立て屋さん。そんなにして頂くのは申し訳ないです。ポピー様?どうしましょう」
だからふんっだ。それで罪滅ぼしのつもり?
「だって私、金貨持ってないし。貧乏貴族だもん。別にお手つきさんは手土産要らないんじゃない?」
「そうはいきませんよ!失礼です!」
「……じゃ、貰っとく」
お父様、段々と面倒臭い事になって来ました。でも、皇太子に直訴するまでの辛抱です。今は何とか乗り切るしかありません!
「ああっ、アンタ!」
不意にジョーが現れた。私の不満は爆発寸前だったので、ちょーど良いタイミングでやって来たと少々興奮した。
「今、エミリーは居ないのか?」
「私一人ですわ。麗しくないジョーめ!」
「何だ、さっきから。怒ってるのか?」
「ふん!ねえ、なんちゃら皇太子に会わせてよ」
「エリオット皇太子な。……で、会って文句でも言うつもりか?」
「騙された様なものだから、お手つきを解消して貰いたいの。だったら文句は言いません」
「それはどうかなあ……殿下は本気みたいだし」
「あ、あのねー、本気のわけないじゃん。単なる気まぐれで私の人生が大いに狂っちゃうのよ!」
「その責任も含めてお手つきしたんだろう。でも皇族を名乗らないまま関係を結んだのは良くないな。ポピーの気持ちも分からんでもないから一応伝えとこう」
ふん。殿下に直接交渉してやるから!
「それよりどうだ、お手つきの暮らしは?お前のサイズに合ったドレスや装飾品を準備してやったんだ。気に入ったか?」
「そうね。お陰様で毎日着飾ってお人形さんみたいで窮屈してるわ。それに陰険な虐めにあってるし。あ、そうだ。ジョー、派閥に入りたくないから何とかしてよ!」
「うん、その事なんだが……」
何か嫌な予感がします。
一旦、グレース組に在籍しろ。お前の身の安全を守るためにもな」
「えーっ!だから、派閥とかヤダって言ってるじゃん!」
「今のお前は突然現れた『おてんば後宮婦人』だ。このままだと双方の婦人から格好の餌食となる。グレース組に入れば守ってもらえるだろ?」
おてんばって⁉︎
「それにライラ組にも馴染みがある。一番良い選択だと思うけどな」
はあー、ため息しか出ないわ。くだらない派閥から逃れられないのかなあ……。
そこへエミリーが慌てて戻って来た。
「あら、仕立て屋さん、こんにちは」
「やあ、エミリー。どうしたんだい?」
「あ、その……ポピー様」
「え?なに?」
「えっと、グレース組の配属が決まりました。早速準備してご挨拶に参らならければなりません」
「えーーっ!展開はやーい!」
「いえ、遅いくらいです。そこで仕立て屋さん、グレース様に手土産を持参したいのですが、何が宜しいでしょうか?」
「それはおめでとうございます。ポピー様」
ふんっ!
「エミリー、それなら今あるよ」
ジョーは大きな鞄を開けて見せてくれた。そこには水晶のブレスレットや派手なロウソク、お香など不気味な黒魔術グッズが入っていたのです。
「ちょーど、この後グレース邸に商売行こうと思っていたんだ。このブレスレットは喜ぶと思うぞ」
「まあ、素敵ですね。おいくらですか?」
「エ、エミリー……私、ほぼ持ち合わせないけど」
「これは俺からのお祝いでいいよ」
「えっ!いいのですか?ポピー様、良かったですね!」
「そ、そう。ありがとう、仕立て屋さん」
ふんっだ。こんなんで誤魔化されないから!
「グレース邸にはお手つきも集まってるから、このお香が喜ばれると思う。これもポピー様にプレゼントするよ」
「まあまあ、仕立て屋さん。そんなにして頂くのは申し訳ないです。ポピー様?どうしましょう」
だからふんっだ。それで罪滅ぼしのつもり?
「だって私、金貨持ってないし。貧乏貴族だもん。別にお手つきさんは手土産要らないんじゃない?」
「そうはいきませんよ!失礼です!」
「……じゃ、貰っとく」
お父様、段々と面倒臭い事になって来ました。でも、皇太子に直訴するまでの辛抱です。今は何とか乗り切るしかありません!
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