宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第三部

20. お手つきの巻③

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私のお部屋は他のお手つきさんのお部屋と隣接してるので鉢合わせになる事がある。一応、序列に従い敬意を表するようにとエミリーから教わったので、道を譲って会釈してるけど、わざと聞こえる様な陰口を耳にすることがある。
「あらあら、どこの侍女かしら?へクセ様、ご存知ですか?」
「あー、アレが不審者を捕まえた例の侍女ですわ。ついでに皇太子様も押し倒したって噂のね」
「まあ、怖い怖い。オーホホホホホ!」

く、くそう、腹が立つ。好きでここに居る訳じゃないのにっ!と怒鳴ってやりたい!

そしてまたある時は、露骨に文句を言われちゃう事もあります。
「貴女、まぐれで序列11番になったからっていい気にならないでくれる?私の方が上だからね。もっと心から敬意を表しなさい」
「……はい。申し訳ありません」
「私の事、勿論ご存知でしょうね⁈」
「えっ、えっとー」
誰だっけ、コイツ。よく私の陰口言うヤツだ。
「まあ!信じられない⁉︎これだから侍女上がりは困りますわ。私はグレース組のお手つきで序列3番のへクセです。覚えておきなさい!」
「……はい。たった今、覚えました」
「ったく、田舎の貴族は礼儀知らずねえ」
それはわるーございましたね。礼儀知らずで。でも田舎の貴族とは関係ないから!
──と、此処では居心地の悪い日々を過ごしている。もうストレスがマックスです。食べる事しか楽しみがないのです!

専用シェフのお料理をやけ食いしてたら、エミリーが聞きたくもない情報を教えてくれた。
「ポピー様、どうもグレース組になりそうです」
「えー!黒魔術のー?ヤダなあ。へクセも居るし。ねえ、派閥に入らないといけないの?」
「後宮の常識ですから……でも一つだけ別の方法がございます」
「なになにっ?」
「あー、でも、あまりお考えにならない方が」
「いえいえ、そんな裏技があるなら是非教えてよ。派閥とか面倒臭いわ!」
「それは単純な話です。ポピー様が側妃になれば良いのです。だったら派閥に入るのではなく、自分の派閥を結成する事になりますから」
「わ、私が?あのねエミリー、そう言う事じゃなくて」
「でもポピー様ならもしかしてもしかするかもです。なんせ奇跡の御方なので」
何を突拍子のない話を真顔で言ってるのよ!つか、疑問だけど側妃とお手つきの違いって何?
「今更だけど、どうすれば側妃になれるのかしら?」
一応、聞いてみる。
「それは殿下のご子息、ご令嬢を授かれば勿論なれますけど、ライラ様やグレース様にお子様はいらっしゃいません。なので、授からなくても殿下のお考え次第で決まります。ただ、皇帝の承認を得ないといけないし、明確な基準はありませんが、10回程度のご関係を結ばれるとなれるのではないでしょうか」

まっ、10回もあんな痛い目にあうの⁉︎やだー!
「ライラやグレースはそのくらいか。じゃお手つきさんは?」
「お手つきは未だかつて2回目の御方はいません」 
「ふぅぅん……何だ、そうなんだ。同じ1回なのにあんなに先輩風ふかしてるんだ」
まあ、私は1回って言えるか分かんないけど。
「それはお手つきになられた順番ですね。へクセ様が一番早かったのです」
ふん、くだらないわ。それから何年も愛されてないクセして偉そうに!

お父様、このままだと私は先輩お手つきさんに12年も虐められてしまいます。いつか爆発しそうです。なので、皇太子様に会ってお手つきを解消して頂きたいと思います。折角の金貨配給だったけど、許してくださいね。






 

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