宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第三部

26. お手つきの巻⑨

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「ああっ、どうしようーー!1ヶ月後に宮廷行列があるよおおおおーー!」
「ポピー様、グレース様から具体的なお話があったのですか?」
「再来週から全体練習するんだって。もう最悪ーー!それにお茶会とか社交パーティーやら色々催し物が盛り沢山で超面倒臭いわーー!」
「それは大変です。差し当たっては行進ですね。で、またへクセ様にご指導してもらうのですか?」
「一旦は自分で何とかしますって言い切っちゃったの」
「えっ⁉︎何とかって?誰からも教わらずに?」
「まあ、一応教わったし。あんなもん適当にニコニコして歩いてれば良いんでしょう?」
「い、いえ、そんな簡単な事では無いと思いますが……」
「う、うん……そうだよね」
やっぱりやりたくないよう。私は大いに注目されるわ。侍女上がりの成り上がり婦人は『おっさん歩き』だったって嘲笑われるに決まってるっ!皇太子様は淑女に飽きてご乱心なされたって思われるのよ!
「ああっ、どうしようーー⁉︎」
私はテーブルに腰掛け、法衣のまま極小水晶に手をかざし黒魔術の真似事をしてみる。
「どうか、宮廷行列が中止になりますように!」
「あ、あのね……ポピー様???」

その時、コンコンっと扉からノックが聞こえた。エミリーが出るとそのご婦人は遠慮なしにズカズカとお部屋まで入って来ます。
「なあに、その格好⁉︎ぷぷぷぷ、あははははは」
「お、お姉様!」
そう、我が姉ハリエットが不意に訪れたのです。
「ポピー?いえ、序列3番のポピー様、2度目のご寵愛、おめでとうございます」
「や、やめてください。ポピー様だなんて」
「それにしても、何てちっちゃな水晶だこと。小指の先ほどしかないじゃない。そんなんで呪いを掛けられるのかしら?ぷぷぷぷ……」
「お姉様!私を嘲笑いに来たのですか⁉︎」
「いえ、アンタ、行進の練習してるのかなって?」
「うっ、それが……」
私はこれまでの経緯を説明した。
「そんなこったろうと思ったわ。よし、じゃ私が教えてあげる!」
「えっ⁉︎でもライラ様に怒られない?」
「黙ってれば分からないわよ。アンタも黙ってなさい」
「……ありがとう、お姉様」
「なに、気持ち悪いわね。私は、あと3ヶ月で後宮婦人が終わるの。良い思い出になったわ。それにある貴族と出会ったし……でね、暫く宮廷に残りたいから引退後はアンタの侍女をやるわ!」
「はい⁉︎」
「何度も言わせないでよ。アンタの侍女をやるの」
「お、お姉様が私の侍女ですって⁉︎」
「そうよ。アンタも私の侍女してたじゃん。別に問題なくてよ」
突然の侍女宣言に私は戸惑った。あのプライドの塊の姉が妹の侍女を引き受けるとは考えられない発想です。
「お茶会に社交パーティーから全て教えてあげるから、私を雇いなさい?」
「ポピー様、これは願ってもないお話です!」
「こうなったら、アンタは側妃になるのよ!」

側妃……。エリオット様からもそう言われた。私なんかが本当に成れるのかしら。もし成ったら上手く立ち回れるの?お作法も何にも知らないのに大恥かくだけよ。誰かに厳しく教えて貰わないとやっていけないわ。それにへクセはもう上位の私に気を使って遠慮がちだし。その点、我が姉なら遠慮なく指導してくれるはずだよね。
「お姉様、ご指導宜しくお願いします」
「ああ、任せなさい!」

お父様、この後宮のわけの分からない行事を無難にこなすには優秀なアドバイザーが必要不可欠です。ここは我が姉にすがってみます。何かといがみ合っていた姉妹は遠く離れた宮廷で結束するのです。パーキー家、いえ貧乏貴族の底力を見せてやります!











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