宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第三部

28. お手つきの巻⑪

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後宮のホールを貸し切ってグレース組の練習が始まった。グレースはコーチの様に全体の動きを見てるので、なんと、私が先頭で行進して行かねばなりません。総勢20名を引き連れて歩くのに少々緊張したけど、御夜伽のお陰で股間がヒリヒリしてるせいか、まあまあ上手くウォーキング出来たと思います。
「ポピー、随分と上達してるじゃない!」
グレースもお手つきさんもびっくりしています。
「あとは自己アピールね」
「あ、それはまだ考え中でして……」
「派手なアピール期待してるわ。次の練習で披露するのよ」
「は、はい」
あちゃーー、参ったな。まともに歩くだけで精一杯なのに、そんな余裕ありませんって。
「ポピー様、素晴らしいウォーキングでしたわ。見直しました。アピールも頑張ってくださいね」
「う、うん。ありがとう、へクセ様」
全く、私に期待しないで欲しいわ。手でも振って誤魔化そうと思ってたのに、これは姉と相談ねえ。

──と、練習漬けの日々を送っていました。ところがその晩、大事件が起こったのです。
「どうしたの、ポピー?」
「お姉様、何だか体調が良くないの」
「エミリー、お毒味は問題無しよね?」
「はい、何もございません」
どうもムカムカする。こんな気分の悪い経験はあまりない。私は健康が取り柄なのでこの体調の変化は異常だと感じる。
「ううっ……」
つい、もどしました。
ああ、超しんどい。
「はあはあ……お姉様、今日はもう無理です」 
姉は返事もせずに立ち竦んでいました。
「……お姉様?」
「ア、アンタ……⁉︎」
「ポピー様、それって⁉︎」
「はい?」
「まさか、懐妊したんじゃないのーーっ⁉︎」
「ええっ⁉︎」
ほ、本当に⁉︎本当にそうなの⁉︎だったら私はこれからどうなるの⁉︎
「エミリー、医務室へ行きましょう。ポピー、私の肩にすがりなさい!」
「こ、こ、こ、こ、これは大変です!」
エミリーが慌てふためいています。
「エミリー、行くわよ!」
「は、はいっ!」

こうして私は宮廷の医務室へ向かった。途中から何も覚えていない。恐らく医務室に入る前には気を失っていたのかも知れません。気がつくとベッドへ横たわっていた。目の前にはアメリアがいる。
「あ、アメリア様……」 
「奇跡のポピー、また私を驚かしてくれたわね」
「え……?」
「貴女は皇太子様のお子を『身籠った』のです!」
「ほ、本当に?」
「ポピー、おめでとう!これほど名誉な事はないわ。お父様も喜んでるに違いありません!」 
し、信じられない。じゃ、行進はどうなる⁉︎
「お姉様……あの、私の自己アピールは?」
「は⁉︎もうそんな事どうでも良くてよ。そのお身体で行進なんか出来るわけないでしょう!」
「……そうなんだ。宮廷行列しなくてもいいんだ」
「何なのそれ⁉︎そんな事考えてたの?」
「だって、心配だったんだもん」
「馬鹿ねえ。うふふ」

私の懐妊はあっという間に宮廷中へ広まった。皇太子と御正室にはお子がいないので待望の懐妊となる。

──そして私は正式に側妃と承認されたのです。

お父様、姉の侍女であった私が側妃までなってしまいました。早く牧場に帰りたいと願っていた私がです。でも皇太子様を愛しています。ここで幸せになりたいと思っています。それには居心地の悪い伏魔殿を改革せねばなりません。やってやります!










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