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第四部
30. 側妃の巻②
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思いついたのがやっぱり宮廷行列でした。普段、後宮の奥の奥に居てその存在感も薄いお手つき候補が広場を行進すれば、殿方の目に止まりやすいかなって思います。その後は社交パーティーとやらで出会いの場を設けてカップルを増やしていく作戦です。
「まあ、行進は途中から派閥も入れて壮大に行っても良いわね。どうせ最後だから」
と、私はアメリアの執務室にグレースとライラを呼んでこの計画を説明した。つか、二人がご一緒するのって数年ぶりみたいでエミリーがやたらと緊張している。でも、意外とフレンドリーだったので少し拍子抜けだった。
「なるほど……で、行進の並びは?」
「今回の主役は無派閥のお手つき候補だから、2列で30人ほど列をなして行進して貰うわ」
「だから、その列の先頭はどうするの?」
「それは、私が引き連れます!」
「えっ⁉︎貴女、そのお身体で行進するつもり?」
「危ないわよ、安静にしとかないと!」
「少しは運動しないと。で、後から派閥組が合流して4列で行進しましょう」
私も身重のカラダだけど参加したい思いでいた。このカラダなら淑女らしく歩かなくても(歩けないけど)良いからね。
「分かったわ。でも万が一を考えて貴女のサポートを付けさせて頂戴、いいこと?」
「うん。いいよ」
こうして会合を終え、後宮婦人の行進が決まった。あ、言い忘れましたが私はもうグレース組ではありません。無派閥の筆頭側妃です。
***
「さあて、泣いても笑ってもこれが最後の宮廷行列だよー!今日の主役はお手つき候補の皆さんでーす!殿方、しっかりご覧になってちょーだいよおーー!」
宮廷の広場で華麗なる婦人たちの行進がスタートする。いつものヘンテコなアナウンサーが行進を盛り上げて、その声につられ続々と殿方が広場や宮廷の廊下に集まって来た。
「おいおい、先頭はポピー様じゃないか⁉︎」
ざわつく殿方の声を聞いてか、アナウンサーが私を紹介した。
「そーでーす! お手つき候補を率いるのは、何と奇跡の側妃、ポピー様でございまーす!」
全員の視線を感じる!おーい、みんなー、私を見て見てーー、綺麗でしょうーー!
と、心の中で叫んでみる。
「うぷぷぷぷ……さ、さあ、行くわよ!」
「はいっ!」
ヤバい。すでに半笑いだ。でも始まっちゃった。
ザッザッザッザッっと60人を引き連れて歩き出す。私はお腹の出っ張りでつい踏ん反り返り、さらに両手がぶらぶらでまるで恰幅の良い『おっさん』のような歩きだ。でもそんなの気にしません!
後ろにはサポート役のへクセとシェリーが居ますが身重のカラダを気遣ってくれます。
「ポピー様、ゆっくり歩きましょう、私どもがペースに合わせますから!」
「うん、ありがとう」
やがて、グレースとライラ率いる派閥組が合流します。私は後宮婦人総勢100人を引き連れて行進を続けました。それは迫力ある行進です。
「皆んな、笑顔でねー!」
「はいーーっ!」
ザッザッザッザッっと歩く先の広場に見覚えのある御方が立っていた。隣には我が姉ハリエットも居ます。
「あ、お、お父様⁉︎」
「ポピー、綺麗だぞ!お前はパーキー家の誇りだ。良くやった!良くやったぞーー!」
い、いえいえ。偶然が重なっただけです。最初は嫌だった後宮も、今では居心地の良い場所になっちゃいましたし、何よりも殿下に愛されて幸せです。お父様、よくぞ此処へ送り込んでくださいました。ありがとうございます。
そう、私は生涯、宮廷婦人ですっ!
── 完 ──
「まあ、行進は途中から派閥も入れて壮大に行っても良いわね。どうせ最後だから」
と、私はアメリアの執務室にグレースとライラを呼んでこの計画を説明した。つか、二人がご一緒するのって数年ぶりみたいでエミリーがやたらと緊張している。でも、意外とフレンドリーだったので少し拍子抜けだった。
「なるほど……で、行進の並びは?」
「今回の主役は無派閥のお手つき候補だから、2列で30人ほど列をなして行進して貰うわ」
「だから、その列の先頭はどうするの?」
「それは、私が引き連れます!」
「えっ⁉︎貴女、そのお身体で行進するつもり?」
「危ないわよ、安静にしとかないと!」
「少しは運動しないと。で、後から派閥組が合流して4列で行進しましょう」
私も身重のカラダだけど参加したい思いでいた。このカラダなら淑女らしく歩かなくても(歩けないけど)良いからね。
「分かったわ。でも万が一を考えて貴女のサポートを付けさせて頂戴、いいこと?」
「うん。いいよ」
こうして会合を終え、後宮婦人の行進が決まった。あ、言い忘れましたが私はもうグレース組ではありません。無派閥の筆頭側妃です。
***
「さあて、泣いても笑ってもこれが最後の宮廷行列だよー!今日の主役はお手つき候補の皆さんでーす!殿方、しっかりご覧になってちょーだいよおーー!」
宮廷の広場で華麗なる婦人たちの行進がスタートする。いつものヘンテコなアナウンサーが行進を盛り上げて、その声につられ続々と殿方が広場や宮廷の廊下に集まって来た。
「おいおい、先頭はポピー様じゃないか⁉︎」
ざわつく殿方の声を聞いてか、アナウンサーが私を紹介した。
「そーでーす! お手つき候補を率いるのは、何と奇跡の側妃、ポピー様でございまーす!」
全員の視線を感じる!おーい、みんなー、私を見て見てーー、綺麗でしょうーー!
と、心の中で叫んでみる。
「うぷぷぷぷ……さ、さあ、行くわよ!」
「はいっ!」
ヤバい。すでに半笑いだ。でも始まっちゃった。
ザッザッザッザッっと60人を引き連れて歩き出す。私はお腹の出っ張りでつい踏ん反り返り、さらに両手がぶらぶらでまるで恰幅の良い『おっさん』のような歩きだ。でもそんなの気にしません!
後ろにはサポート役のへクセとシェリーが居ますが身重のカラダを気遣ってくれます。
「ポピー様、ゆっくり歩きましょう、私どもがペースに合わせますから!」
「うん、ありがとう」
やがて、グレースとライラ率いる派閥組が合流します。私は後宮婦人総勢100人を引き連れて行進を続けました。それは迫力ある行進です。
「皆んな、笑顔でねー!」
「はいーーっ!」
ザッザッザッザッっと歩く先の広場に見覚えのある御方が立っていた。隣には我が姉ハリエットも居ます。
「あ、お、お父様⁉︎」
「ポピー、綺麗だぞ!お前はパーキー家の誇りだ。良くやった!良くやったぞーー!」
い、いえいえ。偶然が重なっただけです。最初は嫌だった後宮も、今では居心地の良い場所になっちゃいましたし、何よりも殿下に愛されて幸せです。お父様、よくぞ此処へ送り込んでくださいました。ありがとうございます。
そう、私は生涯、宮廷婦人ですっ!
── 完 ──
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