悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第1章 ざまぁがしたいっ!!

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「本当はパーティーでお酒…出るんでしょう?」

「はい。でもそれは御来賓や御父兄のために準備されたお酒です。生徒はアルコール禁止と聞いてますが?」

「ふぅぅん。そうなんだ…」

 何だか嫌な予感がするなァ。…コイツ、お馬鹿な思考で突拍子もない事、考えてるに違いないわ。

「あのね、ポピー…」

 わたくしは態と返事をしない。でも馬鹿女はそんな「聞きたくない」オーラを無視して話を続けた。

「あのね、ポピー…卒業式はいいけどパーティーは

「はい????」

「だから、影武者するの!」

「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇええええーーっ⁈」

 ーーでた! でた、でた、でた、でたあ!!

「な、何でパーティーに出席しないんですか? それにわたくしはお給仕で忙しいのですよ!」

「だってねぇぇ、お酒が目の前にあるのに飲めないなんて耐えれなーい。そんなの拷問でしょう~!」

 馬鹿女は急にカラダをクネクネして甘えた素振りを見せた。

 くそっ、全然可愛くないし!! 

「そんな理由で⁈ じ、じゃ、お給仕はどうするのですか?」

「わたくしがアンタに変身しよっかなー、うふふ」

 正気か、コイツ? お馬鹿さん思考全開?

「あのですね、お給仕ってとっても大変ですよ⁈」

「なに、エミリーも居るじゃない。大丈夫よ。それにどさくさに紛れてお酒が失敬できるじゃない? うふふ」

 ーーうふふじゃない! 何というふざけた発想なの、この馬鹿女が!! いい加減にしなさい!!

「いいこと? パーティー前の空いた時間にサッとわたくしと交代するのよ? これは命令だから! お返事は?…あん? 何か文句があって?」

「……あ、…い、いえ、その…」

 ま、待て、待て。落ち着け、落ち着くのよ、ポピー。話を整理しましょう。つまりだ、こういう流れになる。卒業式終了と共にわたくしはパーティー会場の準備に忙殺される。その間、生徒は教室でお別れのホームルームを行い、一旦帰宅してパーティー出席のドレスアップをするだろう。

 その頃には会場準備も整い、ひと時の休憩が与えられる筈だ。その間わたくしは影武者に変身して、事もあろうか馬鹿女がわたくしに変身するという段取りだよね。そしてパーティーが始まる…。

 さあ、ケーワイ危険予知するよ。パーティーではどんな問題があるの?

 先ず、エスコートされない。入場もダンスも。いえ、ダンスに至っては誰からもお誘いされずにを味わう。それだけならまだしも王子様よりを公の場で宣言され、断罪ショーが始まるかもしれない。これは生恥を晒す様なものよ。ついでに言うと、使用人になりすました馬鹿女はろくにお給仕もせず、こそこそお酒をガブ飲みして「何だ、アイツは!」と評判を落とす!! これまで一生懸命に積み上げてきた用務員としてのが一気に崩れ去る!!

 こ、これはわたくしにとって何一つ良いことが無い! いえ、むしろ災難だわ…さ・い・な・ん! さいなーん!!

 嫌だ、嫌よ! 何よりも『ざまぁ』を馬鹿女の代わりに受けてしまう事だけは勘弁してほしいっ! わたくしの唯一の楽しみなんだから!!












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