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9.ブイヤベース
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※バルナバ視点
ぐつぐつ、じゅわーとお鍋からスープがふき溢れる。お屋敷のキッチンでアニエス様とコリンヌが魚のスープを調理していた。大衆食堂の味を見様見真似で作ってみたのだ。
「アニエス様、いい匂いですね」
「うん、味見しよっか、コリンヌ」
「はい。あ、バルナバさんもどうぞ」
「僕も?うわー、美味しいそうだな」
アニエス様はお嬢様とは思えない手際の良さだったけど、コリンヌも手伝って一緒に作った特製スープだ。上手いに決まってる。
「うん、うん。美味しいです!」
でもスープを口にした彼女は満足してない様だ。
「何かが足りないですね、アニエス様」
「うーん、香辛料かしら?」
「いやいや、美味しいスープですよ」
僕は料理の専門家ではないけれど、調理過程を見てたから十分満足なスープだと感じている。
オリーブ油を引いて、セロリ、タマネギなど香味野菜を炒め、カサゴやカニを入れた後、トマト、ジャガイモを加え、塩胡椒、白ワインを足して煮込む。最後にハーブの風味を入れて濃厚なスープが完成したのだ。
工程に問題はないはず。まあ、確かに大衆食堂の味とは違う気がするけど。
彼女らは満足せず、キッチンにある香辛料を取り出していた。塩、胡椒、シナモン、ナツメグ、その他よく分かんない瓶を見ながら考え込んでいる。
「ここにある物じゃない気がします」
「何だろうね?」
そこへ侍女のベルティーユが買い物から戻って来た。キッチンにいる僕たちを怪訝そうに見ている。
「あ、おかえりなさいませ」
コリンヌは緊張した様子で頭を下げた。それには無言で答えてアニエス様に状況を確認する。
「…何をなさってるのですか?」
「あー、これ?実は大衆食堂のお魚スープを作ってみたけど…何か違うって悩んでたの」
「大衆食堂の?」
ベルティーユは鍋をちらっと見る。
「お嬢様、お料理は私どもにお任せ下さい。コリンヌ、お嬢様にお手伝いなどさせてはなりません!」
「ああ、違うんだ、ベルティーユ。アニエス様が孤児院でスープを振る舞おうと思って試作したんだ。だからコリンヌはただ手伝ったに過ぎない」
固まってるコリンヌに代わって僕が弁明する。
「孤児院でお料理を振る舞う?」
「うん、そうなの。でも思う様にいかなくて」
無愛想なベルティーユは無言でスープの味見をする。
「全然、悪くはないですけど、大衆食堂の魚介スープは、いわばブイヤベースのオリジナルですから」
「ブイヤベース?…あ、スープとお魚が別に出されるお料理か。なるほど、たまにシェフがお作りになってたわ」
「お嬢様、足りないのは…これではないでしょうか?」
ベルティーユは買い物籠からある食材を取り出した。
「ガーリック!!」
「はい。オータン夫妻はスープにガーリックとレモン汁を加えているものと思われます」
「それだ!す、凄い!凄いよ、ベルティーユ!」
アニエス様の喜び様に流石のベルティーユも引く。でも彼女の口角が少し上がったのを僕は見逃さなかった。
ぐつぐつ、じゅわーとお鍋からスープがふき溢れる。お屋敷のキッチンでアニエス様とコリンヌが魚のスープを調理していた。大衆食堂の味を見様見真似で作ってみたのだ。
「アニエス様、いい匂いですね」
「うん、味見しよっか、コリンヌ」
「はい。あ、バルナバさんもどうぞ」
「僕も?うわー、美味しいそうだな」
アニエス様はお嬢様とは思えない手際の良さだったけど、コリンヌも手伝って一緒に作った特製スープだ。上手いに決まってる。
「うん、うん。美味しいです!」
でもスープを口にした彼女は満足してない様だ。
「何かが足りないですね、アニエス様」
「うーん、香辛料かしら?」
「いやいや、美味しいスープですよ」
僕は料理の専門家ではないけれど、調理過程を見てたから十分満足なスープだと感じている。
オリーブ油を引いて、セロリ、タマネギなど香味野菜を炒め、カサゴやカニを入れた後、トマト、ジャガイモを加え、塩胡椒、白ワインを足して煮込む。最後にハーブの風味を入れて濃厚なスープが完成したのだ。
工程に問題はないはず。まあ、確かに大衆食堂の味とは違う気がするけど。
彼女らは満足せず、キッチンにある香辛料を取り出していた。塩、胡椒、シナモン、ナツメグ、その他よく分かんない瓶を見ながら考え込んでいる。
「ここにある物じゃない気がします」
「何だろうね?」
そこへ侍女のベルティーユが買い物から戻って来た。キッチンにいる僕たちを怪訝そうに見ている。
「あ、おかえりなさいませ」
コリンヌは緊張した様子で頭を下げた。それには無言で答えてアニエス様に状況を確認する。
「…何をなさってるのですか?」
「あー、これ?実は大衆食堂のお魚スープを作ってみたけど…何か違うって悩んでたの」
「大衆食堂の?」
ベルティーユは鍋をちらっと見る。
「お嬢様、お料理は私どもにお任せ下さい。コリンヌ、お嬢様にお手伝いなどさせてはなりません!」
「ああ、違うんだ、ベルティーユ。アニエス様が孤児院でスープを振る舞おうと思って試作したんだ。だからコリンヌはただ手伝ったに過ぎない」
固まってるコリンヌに代わって僕が弁明する。
「孤児院でお料理を振る舞う?」
「うん、そうなの。でも思う様にいかなくて」
無愛想なベルティーユは無言でスープの味見をする。
「全然、悪くはないですけど、大衆食堂の魚介スープは、いわばブイヤベースのオリジナルですから」
「ブイヤベース?…あ、スープとお魚が別に出されるお料理か。なるほど、たまにシェフがお作りになってたわ」
「お嬢様、足りないのは…これではないでしょうか?」
ベルティーユは買い物籠からある食材を取り出した。
「ガーリック!!」
「はい。オータン夫妻はスープにガーリックとレモン汁を加えているものと思われます」
「それだ!す、凄い!凄いよ、ベルティーユ!」
アニエス様の喜び様に流石のベルティーユも引く。でも彼女の口角が少し上がったのを僕は見逃さなかった。
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