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8.地引網漁
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※バルナバ視点
ふあぁぁぁ…。あ~ねむーい。アニエス様がこんな朝早くからお出掛けとは…。
「おはよう!バルナバさん!」
「あ、おはようございます!」
お屋敷のエントランスから、とびっきり笑顔のアニエス様とコリンヌに出迎えられた。
「アニエス様?その装いは?」
彼女は公爵令嬢らしからぬ極めて質素な黒装束を身に纏っている。コリンヌもだ。
「ああこれ?どお、似合うかしら?うふふ」
い、いや全然似合わない…とは言えない。
「お魚仕入れるのを手伝っても良いって、オータン夫人が仰ってね」
「大衆食堂の女将が?」
「うん、それでこの作業着をお貸しくださって。ねー、コリンヌ!」
「はい!」
二人とも早朝から元気だ。それにしても人見知りの激しいコリンヌが笑っているとは。アニエス様に懐いてるのか?…珍しい光景だ。
「では本日は港へ?」
「うん、地引網漁を手伝うの」
「じ、地引網!?」
このお嬢様は漁がどれほど辛い仕事かご存知ないのか?…ま、まあいいか。コリンヌがついてる。いや僕も?まさか僕も?嫌な予感がするっ。僕も手伝いに巻き込まれそうだよう!
「参りましょうか」
「あ、はい」
若干の不安がありつつもアニエス様とコリンヌが楽しそうに会話しながら歩く姿を微笑ましく眺め、僕は後ろからついて行く。
コリンヌ…思い切って君を抜擢して良かった。君の笑顔が見られるなんて想像も出来なかったからね。孤児院の時から気にしてたんだ。だからお城の雑用係で雇った。君はよく働く。偉い。でも笑わない。
『君には幸せを感じる様になってほしいんだ!』
殿下には内緒だけど僕はコリンヌに恋してる。そして殿下はたぶんアニエス様に…。
*
港では黒装束ながらも気品溢れる令嬢が居ることに漁師たちがざわめいていた。
「皆さん、宜しくお願いします!」
「お、おう…」
髭面のがっちりした漁師のベロムは小声で女将に耳打ちする。
「お、おい、大丈夫か?こちらのお嬢さん?」
「何だよ、アタシが連れて来たんだ。文句あんのか?」
「いや、でも…」
「いいから網あげるよ!」
「わ、分かったよ」
エーイ、エーイと総出で網をあげる。結局、僕も手伝わされた。
あーあ、制服がボロボロだよ。これは新調しないと。勿論経費で。
…それにしてもアニエス様は馴染んでる。ちょっとコツを教わっただけであの動きは長年漁師をやってるかの様だ。泥だらけだけど、いい汗かいてるね。コリンヌも楽しそうで何よりだ。
網には多くの魚が掛かっていた。皆んな喜んでる。
そしてヘトヘトになりながら戦利品のお魚を持って帰る僕がいる。
「アニエス様、このお魚でお料理を?」
「うん、食堂のスープをコリンヌと研究しようと思って」
「研究ですか…。で、再現出来たら?」
「孤児院で皆んなに振る舞おうと思ってね」
「あ、なるほど」
それがやりたいことだったのか。
コリンヌが「うん」と言わんばかりに微笑んできた。僕もさりげなく微笑する。
孤児院出身の彼女にとっては恩返しみたいな心境なのかな。
しかし、女将はレシピを教えないのか?あんなに食堂を手伝ってたのに。まあいい。僕も研究を手伝おう。コリンヌの笑顔が見たいから…。
ふあぁぁぁ…。あ~ねむーい。アニエス様がこんな朝早くからお出掛けとは…。
「おはよう!バルナバさん!」
「あ、おはようございます!」
お屋敷のエントランスから、とびっきり笑顔のアニエス様とコリンヌに出迎えられた。
「アニエス様?その装いは?」
彼女は公爵令嬢らしからぬ極めて質素な黒装束を身に纏っている。コリンヌもだ。
「ああこれ?どお、似合うかしら?うふふ」
い、いや全然似合わない…とは言えない。
「お魚仕入れるのを手伝っても良いって、オータン夫人が仰ってね」
「大衆食堂の女将が?」
「うん、それでこの作業着をお貸しくださって。ねー、コリンヌ!」
「はい!」
二人とも早朝から元気だ。それにしても人見知りの激しいコリンヌが笑っているとは。アニエス様に懐いてるのか?…珍しい光景だ。
「では本日は港へ?」
「うん、地引網漁を手伝うの」
「じ、地引網!?」
このお嬢様は漁がどれほど辛い仕事かご存知ないのか?…ま、まあいいか。コリンヌがついてる。いや僕も?まさか僕も?嫌な予感がするっ。僕も手伝いに巻き込まれそうだよう!
「参りましょうか」
「あ、はい」
若干の不安がありつつもアニエス様とコリンヌが楽しそうに会話しながら歩く姿を微笑ましく眺め、僕は後ろからついて行く。
コリンヌ…思い切って君を抜擢して良かった。君の笑顔が見られるなんて想像も出来なかったからね。孤児院の時から気にしてたんだ。だからお城の雑用係で雇った。君はよく働く。偉い。でも笑わない。
『君には幸せを感じる様になってほしいんだ!』
殿下には内緒だけど僕はコリンヌに恋してる。そして殿下はたぶんアニエス様に…。
*
港では黒装束ながらも気品溢れる令嬢が居ることに漁師たちがざわめいていた。
「皆さん、宜しくお願いします!」
「お、おう…」
髭面のがっちりした漁師のベロムは小声で女将に耳打ちする。
「お、おい、大丈夫か?こちらのお嬢さん?」
「何だよ、アタシが連れて来たんだ。文句あんのか?」
「いや、でも…」
「いいから網あげるよ!」
「わ、分かったよ」
エーイ、エーイと総出で網をあげる。結局、僕も手伝わされた。
あーあ、制服がボロボロだよ。これは新調しないと。勿論経費で。
…それにしてもアニエス様は馴染んでる。ちょっとコツを教わっただけであの動きは長年漁師をやってるかの様だ。泥だらけだけど、いい汗かいてるね。コリンヌも楽しそうで何よりだ。
網には多くの魚が掛かっていた。皆んな喜んでる。
そしてヘトヘトになりながら戦利品のお魚を持って帰る僕がいる。
「アニエス様、このお魚でお料理を?」
「うん、食堂のスープをコリンヌと研究しようと思って」
「研究ですか…。で、再現出来たら?」
「孤児院で皆んなに振る舞おうと思ってね」
「あ、なるほど」
それがやりたいことだったのか。
コリンヌが「うん」と言わんばかりに微笑んできた。僕もさりげなく微笑する。
孤児院出身の彼女にとっては恩返しみたいな心境なのかな。
しかし、女将はレシピを教えないのか?あんなに食堂を手伝ってたのに。まあいい。僕も研究を手伝おう。コリンヌの笑顔が見たいから…。
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