島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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12.孤児院

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「ベロム、粋のいい魚だろうな?」
「おいおい、お嬢さんの頼みだ。とれたてのピチピチじゃい!」
「ヨシ!じゃあ、さっさと仕込みしな!」
「ったく、女将は人使い荒いな!」

今日は孤児院の訪問日。院長先生に挨拶した後、ここのキッチンでわたくしとコリンヌ、それにオータン夫人と漁師のべロムさんが手伝ってくれて、お魚スープを作ろうとしています。

「お野菜まだかい?」
「只今、調達して来ましたよー!」

そこへお野菜を沢山抱えたバルナバさんとベルティーユが到着し、準備が整った。

「あら、生きてたのか?ベルティーユ」
「相変わらず口の悪いお人ですこと!」 
「ふん、珍しいじゃない。アンタが手伝うなんて」
「私はアニエス様の侍女。これもお仕事ですから」

二人は幼馴染の様だ。いつも怖くて冷静なベルティーユだけど女将とは気が合うのか、二人であーだ、こーだとよく喋る。

「コリンヌ、ここは良いから表で子供らと遊んでなさい」
「えっ、でも?」
「皆んな、貴女と遊びたがってるじゃない」

ベルティーユが窓を見てと言わんばかりに目線を向ける。そこには子供らが窓越しにこちらの様子を伺ってる姿があった。

「あっ!…ありがとうございます!」

コリンヌは慌てて子供らを外へ連れ出した。彼女に纏わりついてキャッキャッとはしゃぐ子供の姿が微笑ましい。 

そうこうしてるうちに女将とベルティーユの手捌きによりスープは煮込むだけとなった。

うーん、これではわたくしが作ったとは言えないな。…でもま、いっか。皆が喜んでくれるなら。

「アニエス様も子供らと遊んでみては如何です?」
「そうね。何だか楽しそうだわ」
「後は私どもにお任せください」

ベルティーユが微かに笑った。初めて見た。彼女の笑顔を。

お外に出るとコリンヌと院長先生が子供の相手をしていた。

「これはアニエス様、いやあ、子供が興奮しちゃって、とても楽しみにしてるんだと思います。ありがとうございます!」
「いえいえ、わたくしも楽しみでしたから!」

気がつくと子供たちに囲まれてしまった。中にはぎゅーっと抱きつく子供も居る。

「ねーねー、おねーたん、ダンスできるう?」
「これ、ファビアン!」
「ダンス?得意よお」
「一緒に踊ってえ!」
「僕も!」
「アタシも!」
「よおーし!」

八人の子供が輪になって先生から習ったダンスを披露する。わたくしも何となく動きを合わせて一緒に踊り出す。皆んなケタケタ笑ってたっぷりと汗をかいた。

「おーい、食事の時間だよー!」
「わあーー!」
「皆んな、たくさんあるからねー!」

駆け寄った子供らが我先にと、お魚スープを頬張る。「上手い、上手い」と声が聞こえて嬉しくなった。次々におかわりするので、わたくしとコリンヌは大忙しだ。すると、差し出された器にコリンヌが固まってしまった。

「おかわり…」
「えっ!?」  

薄い唇の男がさりげなく関係者風に座っている。

な、何で薄唇さんがここに居るのよ!?

「監視官殿!?いつの間に!」
「何だ?食わせてくれないのか?でも、もう食っちゃったけどな」
「…コリンヌ、よそってあげて」

仕方ない。彼が罪人のわたくしを監視してる事実は子供らに悟らせたくはない。自然に振る舞おう。

「おい、アニエス。馬の鳴き声が聞こえないか?」
「はあ?」
「後ろの窓を見てみろ。面白いぞ」

何を仰って?…えっ!?あ、あれは、どなた!?

孤児院の裏側に位置する草原に、白馬に跨った王宮貴族がこちらを伺っている。髪の毛はグレー系ブラウンでミディアムヘアだ。そして碧眼の美形。

ま、まさか…。

「お前のことなんかまるで興味がない様で、実は気にしてるんだな。ジェラール王子様は」

──ジェラール様!?








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