島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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44.手作りパン

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「どうかな?」

わたくしは焼き立てのパンを、王都から帰って来た薄唇さんに差し出した。味見して貰うためだ。

「おう、いい匂いがするな」
「羊のミルクからバターを作って…あ、ベルティーユがね。それを生地から塗り込んでみたの」
「ん?つまり、手作りのパンなのか?」
「はい。小麦粉は街で買ってきたけど、酵母はレーズンを発酵させた自家製なのよ」
「ふーん。そうか…よく分からんが」

彼は大胆にパンをかじって味を確かめている。

「うむ、まあまあだな!」
「あー、良かったあ!」

コリンヌやソフィアとキャッキャッ言いながら喜びを分かち合う。

「まあまあですって!」
「彼のまあまあは美味しいってことでしょう!」

あー、これで小麦が実ったら自家製のパンが作れるのねー!

実はお昼からベルティーユを中心に試行錯誤していたのだ。パン作りは奥が深い。特に発酵には気を使った。適度な温度と湿度が求められるからだ。

それに生地を捏ねるのも大変な労働だ。でもタイミング良く、お城の役人が王都から便利な道具を取り寄せてくれたので、とても助かった。専用の器に上等なヘラ。生地を混ぜたり伸ばしたり、そして成形を簡単にする道具など、聞けばジェラール様の指示で買い付けしたらしい。

「そりゃあ、上手いに決まってますよ!」

お城から戻って来たバルナバさんが自信たっぷりに言い放った。手には薄唇さんから頂いた気味悪いお土産を手にしている。

「監視官殿、珍しいお土産、ありがとうございました。では皆さん、僕はこれにて失礼しまーす!」

彼は夕方になると、お城に戻って執務をこなす。そしてまたお屋敷へ戻り、帰りの挨拶をするという日課だった。

一方、薄唇さんはそのまま夕食をゆっくり召し上がって夜遅く帰るのが日課だった。バルナバさんは朝が早いから、時間差でわたくしの監視をしてると最初は思ったけど、単にベルティーユの料理が食べたいだけだと察するに、そう時間はかからなかった。

「ベルティーユ、パンの製造は詳しくないが、発酵する専用の設備が必要じゃないのか?」
「ええ、本当は欲しいです。特に寒いと上手く発酵しませんから」
「ふーむ…やはりな」

確かに器の周りをお湯で温めたりして、温度管理には気を遣っている。

「要は小さな暖炉にお湯を沸かしながら囲って…」
「え?え?監視官殿?もしかして作ってくださるのですか?」

わたくしは思わず期待してしまった。だって彼の工作技術はプロ並みだから!

「まあ、上手くいくかは作ってみないとな」
「やったー!」

ベルティーユ、コリンヌ、ソフィア、そしてわたくしは、彼から頂いたセンスの悪い置物を「どうしよっかー?」と悩んでいたけど、エントランスに飾っておこうと示し合わせた。













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