53 / 105
53.嘘
しおりを挟む
※ブリス視点
さて、船でビソンらと一緒だったがヤツめ、何処かへ行ったな。まあ宮殿までは尾行出来ないしな。
俺は再び王都へ舞い戻っていた。ジェラール様の書簡を携えて陛下へ拝謁するためだ。
「全ては俺にかかってる」
囚人島へ赴任してから二か月半、自分の中で何かが変わった気がする。アニエス、ベルティーユ、コリンヌ、ソフィア、そして彼女らを保護するジェラール殿下。お前らを守りたくなったのだ。
ふん、任せろ。俺にはとっておきの秘策がある。そのタイミングを待ってるのさ。だから安心しな…。
警護の者と側近に案内されながら、陛下の執務室までやって来た。今回はケヴィン様に会う気はない。これは極秘情報なのだ。
「ブリスか。思ったより早かったな」
「陛下、ジェラール様からの書簡でございます」
「ジェラールからだと?」
書簡を側近へ渡す。そして、ひと払いをお願いしたが受け入れて貰えなかった。俺は言わば「殺し屋」だ。二人きりにはさせてくれない。
怪訝そうに中身を確認する陛下は、その顔色がみるみる変わっていくのが分かった。
「お、おい、どう言うことだ!?説明しろ!」
「はっ。あの御方は既にお亡くなりになられていました。直近のことです。信じられないので特別室を拝見させて頂きましたが…」
俺は首を横に振る。
「お前は遺体を見たのかっ!?」
「はい。ですが直ぐに火葬されましたので、知ってる者はごく僅かです」
陛下は半信半疑だ。そりゃそうだろう。喜ぶより疑ってる。しかし、真面目な殿下が「偽りの報告」をするとは思えないはず。
「陛下、長年の政敵がお亡くなりになられたのです。これは喜ぶべきかと!」
「…ふーむ、だが、にわかには信じがたいな」
「では、墓前に供花を添える名目で、調査してみてはいかがでしょう?」
「ほう、なるほど。王室として供花とお悔やみ状を…ねえ。で、その間に監獄中を捜索するのか」
「はい、調査した上で正式発表するのです。今でもルーク様を慕う貴族はおります。彼らに旗頭が居なくなったことを宣言するチャンスでもあります」
陛下はキセルをふかせながら、暫く考えていた。やがて「タンッ」と灰を落とす。
「調査にはケヴィンを使わそう」
「王太子を?」
「私の弟が死んだのだ。国王代理として彼が相応しいだろう」
め、面倒だ。島にはアニエスが居る…いや、だが待てよ。彼女さえ気をつけていればあの馬鹿のこと、いい加減な調査で終わらすに違いない。
「かしこまりました。王太子が弔問すれば、疑いを持たれる貴族に真実味が増します」
「ああ、それと正式発表ではジェラールに状況説明して貰おう。あいつが喋れば更に説得力が増す。お前は直ぐに戻ってジェラールに伝えろ」
「ははっ…」
これは想定外の展開だ。まあ仕方ない。ルーク様が死んだと陛下に「嘘」をついたのだ。ジェラール様にもその一翼を担って貰う。
そして、俺は全ての責任を取るつもりだ。
さて、船でビソンらと一緒だったがヤツめ、何処かへ行ったな。まあ宮殿までは尾行出来ないしな。
俺は再び王都へ舞い戻っていた。ジェラール様の書簡を携えて陛下へ拝謁するためだ。
「全ては俺にかかってる」
囚人島へ赴任してから二か月半、自分の中で何かが変わった気がする。アニエス、ベルティーユ、コリンヌ、ソフィア、そして彼女らを保護するジェラール殿下。お前らを守りたくなったのだ。
ふん、任せろ。俺にはとっておきの秘策がある。そのタイミングを待ってるのさ。だから安心しな…。
警護の者と側近に案内されながら、陛下の執務室までやって来た。今回はケヴィン様に会う気はない。これは極秘情報なのだ。
「ブリスか。思ったより早かったな」
「陛下、ジェラール様からの書簡でございます」
「ジェラールからだと?」
書簡を側近へ渡す。そして、ひと払いをお願いしたが受け入れて貰えなかった。俺は言わば「殺し屋」だ。二人きりにはさせてくれない。
怪訝そうに中身を確認する陛下は、その顔色がみるみる変わっていくのが分かった。
「お、おい、どう言うことだ!?説明しろ!」
「はっ。あの御方は既にお亡くなりになられていました。直近のことです。信じられないので特別室を拝見させて頂きましたが…」
俺は首を横に振る。
「お前は遺体を見たのかっ!?」
「はい。ですが直ぐに火葬されましたので、知ってる者はごく僅かです」
陛下は半信半疑だ。そりゃそうだろう。喜ぶより疑ってる。しかし、真面目な殿下が「偽りの報告」をするとは思えないはず。
「陛下、長年の政敵がお亡くなりになられたのです。これは喜ぶべきかと!」
「…ふーむ、だが、にわかには信じがたいな」
「では、墓前に供花を添える名目で、調査してみてはいかがでしょう?」
「ほう、なるほど。王室として供花とお悔やみ状を…ねえ。で、その間に監獄中を捜索するのか」
「はい、調査した上で正式発表するのです。今でもルーク様を慕う貴族はおります。彼らに旗頭が居なくなったことを宣言するチャンスでもあります」
陛下はキセルをふかせながら、暫く考えていた。やがて「タンッ」と灰を落とす。
「調査にはケヴィンを使わそう」
「王太子を?」
「私の弟が死んだのだ。国王代理として彼が相応しいだろう」
め、面倒だ。島にはアニエスが居る…いや、だが待てよ。彼女さえ気をつけていればあの馬鹿のこと、いい加減な調査で終わらすに違いない。
「かしこまりました。王太子が弔問すれば、疑いを持たれる貴族に真実味が増します」
「ああ、それと正式発表ではジェラールに状況説明して貰おう。あいつが喋れば更に説得力が増す。お前は直ぐに戻ってジェラールに伝えろ」
「ははっ…」
これは想定外の展開だ。まあ仕方ない。ルーク様が死んだと陛下に「嘘」をついたのだ。ジェラール様にもその一翼を担って貰う。
そして、俺は全ての責任を取るつもりだ。
0
あなたにおすすめの小説
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】
長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。
気になったものだけでもおつまみください!
『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』
『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』
『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』
『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』
『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』
他多数。
他サイトにも重複投稿しています。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる