島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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59.勇気

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※ジェラール視点

「一難去ってまた一難だ」

私は王太子一行を見送った後、城へ戻ってビソンやブリスと今後の話を進めていた。弔問という名の捜索は何事もなく終わったが、アニエスを連れて王都へ行かなくてはならないという難関を抱えていたのだ。

「命令に背こうと思うが、どうだブリス?」
「…アニエスを連れて行かないと?」
「ああ。ビソンはどう思う?」
「殿下がそう仰るならそれで良いかと。病気と偽って誤魔化しましょう」

そうだ。そうするしか彼女を守れない。兄の前に差し出せば、アニエスは二度と戻っては来ない。

そう意思を固めたがブリスは反対の意を唱えた。

「俺は連れて行くべきかと」
「ん?何故だ?」
「ケヴィン様にあからさまな反抗するのは得策じゃあないでしょう」
「ほう…」

私は今でも彼を信じられないでいる。やはりこいつは。

「だが、それでは…」
「殿下、先ずは薨御の説明がある。貴族はかなり動揺します。陛下は王太子の婚約云々話に付き合ってる暇などないと思われます。出直すのがオチだ。だから、悪戯に印象悪くする必要はない」

まあそれは一理ある。だが、そうなるとは言い切れないだろう?

「仮に陛下の前で改めてカリーヌ嬢の断罪が行われたとしても、その場で殿下がアニエスを守れば良いではないですか?」
「なっ…」
「貴方に正義があるならば、正々堂々と闘うのです。その勇気がないから連れて行かないと。俺はその様に聞こえますがね」
「き、貴様!!」

私はショックでそれ以上何も言い返せないでいた。失礼にも程がある!という感情も芽生えたが悔しいことに図星なのだ。

「だが、その可能性は低い。貴族が仰天することを発表するのです。その混乱は暫く治らないでしょう。むしろ、島へ帰れなくなるのは殿下の方かもしれませんよ」
「…ブリス監視官、お前は何を企んでる?」

ビソンが私に代わって彼を問い詰める。それに微笑しながらブリスは答えた。

「俺を信用してないのは分かりますがね、ここは是非とも信じて欲しいですな」
「答えになってない」
「ふん。次官殿こそ何か準備してるのでは?」
「……」

もう話は終わったとばかりに執務室から出ようとするブリスは何かを思い出した様に振り向いた。

「あ、カリーヌの馬鹿が余計なことしでかしたんで、アニエスの様子を見に帰ります。では…」

バタンと執務室から出て行く。私は怒りと情けなさでカラダが震えていた。

「ビソン、すまないが一人にしてくれないか?」
「…ははっ」

くそっ、ブリスめ!お前の言う通りだ!私は「アニエスを守る」と言いながら兄を恐れていたのだ。王都へ連れて行かないなど、問題を先送りするだけで何も解決しない。私は勇気が足りなかったと、お前に思い知らされたっ。

よし、陛下の前ではっきり宣言してやろう。アニエスは兄との婚約を望んでいない。彼女を自由にさせるべきだってことをな!













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