65 / 105
65.正義
しおりを挟む
※ジェラール視点
「…は、拝謁した際はお元気そうでした。王弟殿下は自分の存在が政局の安定を損なうと、自らが監獄へお入りになったのです」
わ、私は何を正直に話してるんだ…?
「ジェラール!?」
雲行きが怪しいと思われたのか、陛下の声が聞こえた気がする。だが、それも気の所為かもしれない。それほど私は動揺していた。
「今でもルーク様を慕う貴族は多い。私もよからぬ嫌疑を掛けられない様、出来るだけ拝謁を避けていました。しかし…」
「しかし?…しかし何だ!?彼は亡くなったのだろう?さっさと言わんか!」
今度ははっきりと陛下の声が聞こえた。
やはり本当のことを言うべきではないのか…?
私はこの土壇場で“正義”の意思が目覚めた様だ。公の場でデタラメを言うわけにはいかない。例えそれが、どんな結末になろうとも──。
「陛下…申し訳ございません。虚偽の報告をしていました」
「なっ…?」
「皆さん、ルーク様は生きております!!」
「何だと!?」
「お、おい…今、生きてるって言ったか?」
その言葉をきっかけに貴族らが歓声を上げた。
「そ、そうだ!あの御方がお亡くなりになるわけがない!これは陰謀だ!」
「どういうことですか?なぜ嘘を?」
「ご説明頂こう!」
会場はざわめき、登壇へ向かう貴族たちを警護の者が必死に抑える。
「お、お前は国王である私を騙したのか!?」
「はい。それがルーク様を助ける手立てかと」
「貴様あああ!許さん!取り押さえろおお!」
陛下の号令とともに、背後から警護の者が私を捕らえた。
これは一体何だ?どうなってる?隣では兄がブリスに羽交締めされ、私たち第一王子、第二王子は宮廷の貴族院議会で無様に自由を奪われているのだ。
そして、その姿をブリスが微笑んで見ている。
…お前は私を助けないのか?まだ全ての真実を語ってないぞ?
「はははは…流石は正直者のジェラール殿下だ。よく言った。おっと、警護の者よ、俺に近づくな。王太子を殺すぞ?」
登壇から降りたブリスは、兄の首に刀を当てたまま議会の中央へ移動した。彼を中心に貴族らの輪ができている。
「皆の者!よおく聞け!」
「ブリス!?もうやめろ!死にたいのか!」
陛下の叫び声が鳴り響く。
「ふん!陛下は俺にルーク様の殺害を命じられたのだ!まあ、やらなかったがな」
「陛下が命じただと!?どう言うことだ?」
「自分にとって不都合な御方なんだろう。いや、それだけじゃないぞ。これまで何人ものルーク派の貴族を殺してきた。どうだ?此処に居る遺族どもよ、俺が憎いだろう。だがな、全ては勅命なのだ!」
貴族が一斉に陛下へ嫌疑の目を向けた。
「ば、馬鹿な。こんな血迷ったヤツの言うことなんか信じなくてもよい!」
「証拠ならある。これを見ろ!」
彼は懐から金貨の様なものをばら撒いた。チャリーンと床に転げ落ちたそれは、金の牡丹だ。
「エマール公爵、ブランザ公爵、エドガール公爵…まだまだあるぞ!彼らが身に付けていたものだ。確かめてみろ!」
「お…お前…」
わなわな…と、陛下は怒りと屈辱に満ちた表情を浮かべ、カラダを震わしている。
牡丹を拾った遺族は、それが父親のものだと分かり陛下へ詰め寄った。
「陛下!ご説明ください!」
「し、し、知らん!こいつが勝手に盗んだものだろう!」
暴動寸前の貴族が動いたその隙に、ブリスは兄を連れて議会の窓際まで移動していた。そして大声を発する。
「おい、お前らあ!陛下を責めるのは後にしろっ!その前に、もう一人断罪せねばな…」
『ガッシャーーン!!』
彼は徐に窓ガラスを割る。
な、何をする気だ?ブリス???
「…は、拝謁した際はお元気そうでした。王弟殿下は自分の存在が政局の安定を損なうと、自らが監獄へお入りになったのです」
わ、私は何を正直に話してるんだ…?
「ジェラール!?」
雲行きが怪しいと思われたのか、陛下の声が聞こえた気がする。だが、それも気の所為かもしれない。それほど私は動揺していた。
「今でもルーク様を慕う貴族は多い。私もよからぬ嫌疑を掛けられない様、出来るだけ拝謁を避けていました。しかし…」
「しかし?…しかし何だ!?彼は亡くなったのだろう?さっさと言わんか!」
今度ははっきりと陛下の声が聞こえた。
やはり本当のことを言うべきではないのか…?
私はこの土壇場で“正義”の意思が目覚めた様だ。公の場でデタラメを言うわけにはいかない。例えそれが、どんな結末になろうとも──。
「陛下…申し訳ございません。虚偽の報告をしていました」
「なっ…?」
「皆さん、ルーク様は生きております!!」
「何だと!?」
「お、おい…今、生きてるって言ったか?」
その言葉をきっかけに貴族らが歓声を上げた。
「そ、そうだ!あの御方がお亡くなりになるわけがない!これは陰謀だ!」
「どういうことですか?なぜ嘘を?」
「ご説明頂こう!」
会場はざわめき、登壇へ向かう貴族たちを警護の者が必死に抑える。
「お、お前は国王である私を騙したのか!?」
「はい。それがルーク様を助ける手立てかと」
「貴様あああ!許さん!取り押さえろおお!」
陛下の号令とともに、背後から警護の者が私を捕らえた。
これは一体何だ?どうなってる?隣では兄がブリスに羽交締めされ、私たち第一王子、第二王子は宮廷の貴族院議会で無様に自由を奪われているのだ。
そして、その姿をブリスが微笑んで見ている。
…お前は私を助けないのか?まだ全ての真実を語ってないぞ?
「はははは…流石は正直者のジェラール殿下だ。よく言った。おっと、警護の者よ、俺に近づくな。王太子を殺すぞ?」
登壇から降りたブリスは、兄の首に刀を当てたまま議会の中央へ移動した。彼を中心に貴族らの輪ができている。
「皆の者!よおく聞け!」
「ブリス!?もうやめろ!死にたいのか!」
陛下の叫び声が鳴り響く。
「ふん!陛下は俺にルーク様の殺害を命じられたのだ!まあ、やらなかったがな」
「陛下が命じただと!?どう言うことだ?」
「自分にとって不都合な御方なんだろう。いや、それだけじゃないぞ。これまで何人ものルーク派の貴族を殺してきた。どうだ?此処に居る遺族どもよ、俺が憎いだろう。だがな、全ては勅命なのだ!」
貴族が一斉に陛下へ嫌疑の目を向けた。
「ば、馬鹿な。こんな血迷ったヤツの言うことなんか信じなくてもよい!」
「証拠ならある。これを見ろ!」
彼は懐から金貨の様なものをばら撒いた。チャリーンと床に転げ落ちたそれは、金の牡丹だ。
「エマール公爵、ブランザ公爵、エドガール公爵…まだまだあるぞ!彼らが身に付けていたものだ。確かめてみろ!」
「お…お前…」
わなわな…と、陛下は怒りと屈辱に満ちた表情を浮かべ、カラダを震わしている。
牡丹を拾った遺族は、それが父親のものだと分かり陛下へ詰め寄った。
「陛下!ご説明ください!」
「し、し、知らん!こいつが勝手に盗んだものだろう!」
暴動寸前の貴族が動いたその隙に、ブリスは兄を連れて議会の窓際まで移動していた。そして大声を発する。
「おい、お前らあ!陛下を責めるのは後にしろっ!その前に、もう一人断罪せねばな…」
『ガッシャーーン!!』
彼は徐に窓ガラスを割る。
な、何をする気だ?ブリス???
0
あなたにおすすめの小説
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】
長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。
気になったものだけでもおつまみください!
『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』
『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』
『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』
『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』
『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』
他多数。
他サイトにも重複投稿しています。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる