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100.御前会議

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※バルナバ視点

囚人棟の横に三階建ての倉庫らしき建物がある。でも僕は立ち入ったことがない。何故ならコウモリの巣があるみたいで気味が悪いのだ。

「殿下…コウモリが飛んでますよう?」
「うむ。彼女が餌やってるから住み着いてるんだ」
「えっ?飼ってるの?何で?…つか、ここが?」
「ああ、二階がグレースの特別室だ」

ただの薄気味悪い倉庫かと思ってたよ。それに特別室と言ったって独房ではない。出入り自由じゃないか…。そんな危険な人物がここに居るなんて無用心でしょう?ねえ?

「行くぞ」

殿下は躊躇なく入って行く。

「あ、待ってくださいよお」

恐る恐る建屋へ入ると確かに備品の倉庫だった。だけど長い階段を登ると、一人の女性が部屋の前で見張りをしている。彼女は囚人ではない。

「君はだれ?」
「私はグレース様のお付きの者です」
「…は?監獄の職員でもなく?つか、僕はここの責任者なんだけど?君の存在、知らないんだけど?」
「ミーア、急ぎ取り次いでくれ」
「かしこまりました。ジェラール様」

な、何だ?どうなってる?

頭上では「キィキィ」とコウモリが飛び交って、怖いったらありゃしない。

「ジェラール様…只今、ライラ様がお越しになられてますが宜しいでしょうか?」
「ああ、構わない。バルナバ、入るぞ」
「は、はいー」

ライラって二階のボスじゃないか。おいおい、嫌な予感しかしないぞ。殿下はよく護衛も付けずに入っていくよー。

部屋は意外と広く綺麗にされていた。一段上の上座に薄いカーテンがかけられてグレースらしき人物が座っている。顔はよく見えない。そして下座にライラが正座し、殿下を見て頭を下げた。僕は無視されたが…。

「ジェラール、久しぶりね」
「ご無沙汰してます」

よ、呼び捨てって!?あ、あのね、この御方は王太子ですよ?総ボスだか何だか知らないですけどね、貴女失礼じゃないですか!?

と、ココロの中で文句を言う。

「カリーヌのことは知ってますよね?」
「ええ、リンダを倒して三階を制覇したイカれたオンナね。どうするべきかライラと話てたの」
「全面抗争だけは避けて頂きたい」
「そうは言ってもね、彼女らがその気なら受けて立つしかないけど?」
「監獄を管理する者としては看過できない。抗争に携わった囚人は罰しざる負えないし、刑期が延びることになるが?」
「ジェラール、この私を脅すおつもり?」
「いえ。ただ、貴女は囚人棟を支配してる。やり様は幾らでもあると思ったまで…」
「そうねえ…」

だから何なんだよ、このグレースってオンナは。囚人の分際で偉そうだぞ!

「ライラ、貴女はどう思う?」
「はっ、全てはグレース様のおココロのままに。ただ、意見を申すならをお開きにはなられては如何でしょう?」
「なるほど。まだカリーヌから挨拶がないしね」
「その場次第では…」
「ふふふふ…ジェラール。ここで倒しても良いかしら?」
「全面抗争よりマシです。但し、手加減はして頂きたい」
「分かったわ。ライラ、伝令を。各室のリーダーまで証人として呼びなさい」
「ははっ!」

まあ…何とか話がついたか。流石は殿下だ。

そう感心してたらミーアと名乗るお付きの者が、紅茶を差し出してきた。そして薄いカーテンが開き、グレースの姿がちらりと目に入る。

「ひっ、ひぃぃぃーーっ!!」

その顔を見て僕は思わず叫んでしまった。

だって『ガルグイユ』の仮面被ってるんだもん!















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