26 / 26
第三章〜ご主人様を攻略致しますので〜
26. ご主人様はとても素敵です
しおりを挟む
※最終回
「おお。こちらの御方が例の……」
何度このフレーズを聞いたことでしょう。パレードから始まり、ここ王宮でも大勢に囁かれます。
「はい。彼女が僕の妻、ディアナです!」
ご主人様はその度に大きな声でお返事なさいます。例えそれが国王様に対してでも……
「ほう。美しいではないか。ブルクハルト、今度こそは逃げられない様にな」
「はっ。絶対に離しません」
「ふむむ。ここまで力強く宣言するとは」
わたくしは緊張のしっ放しです。雲の上の存在であられる国王様を御前にして微笑もできません。
「ディアナとやら」
「は、はい」
なんと、国王様がお声掛けくださいました。
「三度目の正直だ。彼を宜しく頼むぞ」
「かしこまりました。一生お支え致します」
「うむ。良くぞ申した。はっはっはっは」
あー、つい国王様に力強く宣言しちゃいました。けれどもその気持ちに偽りはありません。わたくしは彼の妻として、一生を捧げる覚悟ですから……
☀︎☀︎☀︎
さて、国王様への拝謁を終えるといよいよ夜会の準備に取り掛かります。華々しい舞台は苦手でございます。多くの貴族夫妻と一緒にダンスを披露しなければなりません。ただでさえ注目を浴びてる中、さしたる得意でもないダンスをお見せしなければならないのはプレッシャー以外の何物でもないのです。
「奥様、とてもお似合いですよ」
「カトリーヌ、何だか不安だわ」
「大丈夫です。あんなに練習なさったのだから」
煌びやかなドレスを身に纏いながらも浮かない表情のわたくしを彼女は励ましてくれます。
うーん。ご主人様の苦手意識を治療した自分が「華々しい舞台とダンスが苦手です」って言ったら叱られそうですわね。……ここは頑張らねば。
「よし。参りましょう」
ご主人様と合流し、彼のエスコートで王宮のホールへ参りした。予想通り、多くの貴族たちがわたくしどもを好奇の目で見ております。
「ご、ご主人様……」
「気にすることはない。僕の目は君しか映らないよ。さ、踊ろうか」
「はい」
お優しいです。わたくしも周りの目など気にせずリズムに合わせステップを踏みましょう。このオーケストラは自分たちだけのためにあるのです。
「ディアナ」
「何でしょう」
「愛してるよ」
「……」
きゃー、恥ずかしい。でも嬉しいー。
「ありがとう。わたくしもです」
もう完全に二人っきりの世界を満喫しました。上手い下手はともかく。
嫁いだ時はまさかこんな展開になるとは想像もしてませんでした。けれど今はとても幸せです。
この後、辺境のお屋敷に戻るとわたくしは暖かく本邸へ迎えられ、素敵なご主人様とともに暮らすことが叶いました。
正式な伯爵夫人として……
『ご主人様は若い女性が苦手なのです。』
ーー 完 ーー
「おお。こちらの御方が例の……」
何度このフレーズを聞いたことでしょう。パレードから始まり、ここ王宮でも大勢に囁かれます。
「はい。彼女が僕の妻、ディアナです!」
ご主人様はその度に大きな声でお返事なさいます。例えそれが国王様に対してでも……
「ほう。美しいではないか。ブルクハルト、今度こそは逃げられない様にな」
「はっ。絶対に離しません」
「ふむむ。ここまで力強く宣言するとは」
わたくしは緊張のしっ放しです。雲の上の存在であられる国王様を御前にして微笑もできません。
「ディアナとやら」
「は、はい」
なんと、国王様がお声掛けくださいました。
「三度目の正直だ。彼を宜しく頼むぞ」
「かしこまりました。一生お支え致します」
「うむ。良くぞ申した。はっはっはっは」
あー、つい国王様に力強く宣言しちゃいました。けれどもその気持ちに偽りはありません。わたくしは彼の妻として、一生を捧げる覚悟ですから……
☀︎☀︎☀︎
さて、国王様への拝謁を終えるといよいよ夜会の準備に取り掛かります。華々しい舞台は苦手でございます。多くの貴族夫妻と一緒にダンスを披露しなければなりません。ただでさえ注目を浴びてる中、さしたる得意でもないダンスをお見せしなければならないのはプレッシャー以外の何物でもないのです。
「奥様、とてもお似合いですよ」
「カトリーヌ、何だか不安だわ」
「大丈夫です。あんなに練習なさったのだから」
煌びやかなドレスを身に纏いながらも浮かない表情のわたくしを彼女は励ましてくれます。
うーん。ご主人様の苦手意識を治療した自分が「華々しい舞台とダンスが苦手です」って言ったら叱られそうですわね。……ここは頑張らねば。
「よし。参りましょう」
ご主人様と合流し、彼のエスコートで王宮のホールへ参りした。予想通り、多くの貴族たちがわたくしどもを好奇の目で見ております。
「ご、ご主人様……」
「気にすることはない。僕の目は君しか映らないよ。さ、踊ろうか」
「はい」
お優しいです。わたくしも周りの目など気にせずリズムに合わせステップを踏みましょう。このオーケストラは自分たちだけのためにあるのです。
「ディアナ」
「何でしょう」
「愛してるよ」
「……」
きゃー、恥ずかしい。でも嬉しいー。
「ありがとう。わたくしもです」
もう完全に二人っきりの世界を満喫しました。上手い下手はともかく。
嫁いだ時はまさかこんな展開になるとは想像もしてませんでした。けれど今はとても幸せです。
この後、辺境のお屋敷に戻るとわたくしは暖かく本邸へ迎えられ、素敵なご主人様とともに暮らすことが叶いました。
正式な伯爵夫人として……
『ご主人様は若い女性が苦手なのです。』
ーー 完 ーー
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー
コーヒー微糖派
ファンタジー
勇者と魔王の戦いの舞台となっていた、"ルクガイア王国"
その戦いは多くの犠牲を払った激戦の末に勇者達、人類の勝利となった。
そんなところに現れた一人の中年男性。
記憶もなく、魔力もゼロ。
自分の名前も分からないおっさんとその仲間たちが織り成すファンタジー……っぽい物語。
記憶喪失だが、腕っぷしだけは強い中年主人公。同じく魔力ゼロとなってしまった元魔法使い。時々訪れる恋模様。やたらと癖の強い盗賊団を始めとする人々と紡がれる絆。
その先に待っているのは"失われた過去"か、"新たなる未来"か。
◆◆◆
元々は私が昔に自作ゲームのシナリオとして考えていたものを文章に起こしたものです。
小説完全初心者ですが、よろしくお願いします。
※なお、この物語に出てくる格闘用語についてはあくまでフィクションです。
表紙画像は草食動物様に作成していただきました。この場を借りて感謝いたします。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結、お疲れ様でした!
あの時、ご主人様がディアナに出会ったのは偶然ではなく、運命だったのかなと思えるくらい溺愛ダーリンに進化しましたね。
やれば出来る人というか、有能だけどシャイでメンタル弱すぎ!なのが欠点なだけでしたっけ。
もしも、ディアナが伯爵家に来ていなければ、彼と使用人達の間の絆は互いに大事に思っているのにボタンを掛け違えたままだったのでご主人様の溺愛振りと使用人の崇拝で子孫にまでディアナは女神のようだったとか、伝えられそう!?と妄想しちゃいました。
くろいゆき様。
いつも感想ありがとうございます♪
正しく運命の出逢いでしたね。持ち前のポジティブ思考と薬剤師目線で伯爵様の心を溶かしちゃいました。二人はこれから幸せに暮らすと思います。伯爵邸の皆さんと共に。
はじめまして!
こういうの好きです(^_^)
楽しみにしています!
有賀冬馬様。
はじめまして。感想ありがとうございます。嬉しいです♪
ここからディアナがシャイなご主人様を攻略しますので暖かく見守ってくださいね(^^)