1 / 4
序章
序章
しおりを挟む
物語の主人公というものは、どうしてだか王都から少し離れた小さな農村で育つ。
「大きくなったら旅をするんだ!」
「ルカは元気ねぇ。」
例外なく私もそうだった。
ルカ・サリオンは田舎の農村で育った元気に夢を見る少女。ありふれた女の子。
小さな少女はクレヨンで描いた将来の夢を大きく掲げ父と母、それから自分によく似たもうひとりの少女の前でくるりと回る。
「それなら私は――」
視界が白くぼやける。
まぶたを開いた。
「……懐かしい夢を見るもんだ。」
葉と葉の隙間から溢れる木漏れ日に少し目を細める。旅の途中心地のいい場所で昼寝をしていれば懐かしい夢も見るらしい。
はて、彼女はあの後なんと言っていたのだろうか。
覚えていないことを思い出そうとしても思い出せないもので、小さなもやつきを抱えたまま体を起こし近くに置いていた鞄から水を取り出して一口飲む。
喉を通る感覚に、現実が戻ってくる。
疲れも少し取れたところで立ち上がり、鞄を背負い、コンパスを開いた。
「……北か。」
針は、迷いなく北を指している。
それを確かめて、ほんの一瞬だけ悩む素振りを見せてから蓋を閉じた。
「まあ、いいか。」
甚だ、その方位に従う予定はない。
私は針が指していた方向とは真逆の道を選び進んだ。
旅の行先は幸か不幸か。
「大きくなったら旅をするんだ!」
「ルカは元気ねぇ。」
例外なく私もそうだった。
ルカ・サリオンは田舎の農村で育った元気に夢を見る少女。ありふれた女の子。
小さな少女はクレヨンで描いた将来の夢を大きく掲げ父と母、それから自分によく似たもうひとりの少女の前でくるりと回る。
「それなら私は――」
視界が白くぼやける。
まぶたを開いた。
「……懐かしい夢を見るもんだ。」
葉と葉の隙間から溢れる木漏れ日に少し目を細める。旅の途中心地のいい場所で昼寝をしていれば懐かしい夢も見るらしい。
はて、彼女はあの後なんと言っていたのだろうか。
覚えていないことを思い出そうとしても思い出せないもので、小さなもやつきを抱えたまま体を起こし近くに置いていた鞄から水を取り出して一口飲む。
喉を通る感覚に、現実が戻ってくる。
疲れも少し取れたところで立ち上がり、鞄を背負い、コンパスを開いた。
「……北か。」
針は、迷いなく北を指している。
それを確かめて、ほんの一瞬だけ悩む素振りを見せてから蓋を閉じた。
「まあ、いいか。」
甚だ、その方位に従う予定はない。
私は針が指していた方向とは真逆の道を選び進んだ。
旅の行先は幸か不幸か。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる