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「……会社からの帰り道で、流れ星を見たんだ」
「ん、おう。良かったね」
「流れ星が消える前に願い事を言うと、叶うって言うじゃん? だから俺、とっさに願ったんだよ。『セックスしたい』って」
「何でセックス? 何かもっと他になかったの?」
俺が思わずツッコむと、大地は握りこぶしでテーブルを叩いた。
「したいだろセックス! 健康な成人男性だぞ!」
「うわ、大きな声だすなよ! お前、だいぶ残念だな!」
そう、大地は俺と同じく絵に描いたような独り者。
俺よりもはるかに整った顔立ちをしているのだから、その気になれば彼女の1人や2人簡単にできそうなものなのだが。
……まぁ、顔は良くても性格がちょっとアレだからね。
俺は好きだけどね。
「ええと、それで何だっけ。お星さまに祈ったらちんこがイソギンチャクになったの?」
「そう……あ、多分これ、イソギンチャクじゃなくて触手だと思うんだよね」
「触手?」
「帰りの電車の中で触手のエロマンガ読んでたから、うっかり映像が届いちゃったんじゃないかと思うんだ。お星さまに」
「お前、本当に馬鹿なの?」
大地のちんこが見れるとわかったときのトキメキはどこへいったのやら。俺は呆れて肩を落とした。
つまりここまでの情報を整理するとこうだ。
大地は電車の中で触手のエロマンガを読んでいた。その後たまたま流れ星を見かけ、とっさに『セックスしたい!』と願った。セックス繋がりで触手の映像が流れ星に届いてしまったようで、ちんこが触手になった。自宅に帰りそのことに気がついた大地は、困り果てて俺を呼び出した――と。
「頼ってもらったとこ申し訳ないんだけど……俺、何もできねぇよ? 数日待って元に戻らなければ病院に行けば?」
事情がすっきりとわかったところで、俺は至極まっとうな助言をした。
すると大地はゆっくりと首を横に振った。
「いや……実は解決方法についてはもうわかってるんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、簡単なことさ。『セックスしたい』と願ってちんこが触手になったんだから、セックスしたら治ると思わないか?」
得意げな表情で同意を求められたが、俺は「そ、そうかな?」と曖昧な返事を返すことしかできなかった。
大地の主張には一理あるが、今の大地が誰かとセックスをするのは難しそうだ。なぜならセックスに必要不可欠なちんこがイソギンチャク――もとい触手になっているからだ。
どんなマニアックな性癖をお持ちの人物でも、あのグロテスクな物体を突っ込まれたいとは思わないだろう。
大地に恋してる俺でさえちょっとアレは無理だ。
突然、大地が床に手をついた。漫画なんかでよく見かける土下座スタイルだ。
「というわけだから、湊。俺とセックスしてくださぁい!」
「……へ?」
「こんなこと頼めるの湊しかいないんだよ! 元のちんこを取り戻すためにお願い!」
「え、えー……」
どうやら大地は、初めからセックスの相手を頼むつもりで俺のことを呼び出したようだ。
頼られたことは素直に嬉しいが、相手が俺でいいのだろうかと不安も覚えてしまう。なぜなら大地には好きな相手がいるのだから。
「す、好きな人がいるって話は? 他の人とセックスしたらまずくない……?」
俺が遠慮がちに尋ねると、大地は言い淀んだ。
「あー……実はその人のことは諦めようと思ってて……」
「え、そうなの? 何かあった?」
「特別、何かがあったというわけじゃないんだけど。全然脈もなさそうだから、好きでいるものしんどくなってきたというか」
「ふーん……」
そういう事情なら、俺は正直まんざらじゃないと思ってしまった。
俺は大地のことが恋愛対象として好きだが、大地は俺のことをそういう目では見ていない。今日を逃せば、永遠に大地とセックスするチャンスは訪れないだろう。
俺はよこしまな本音を隠し、「仕方ねぇなぁ。今回だけだぞ」と笑って大地の頼みを引き受けようとした。
しかしもにょもにょと動く触手が視界に入り、寸でのところで思いとどまった。
「む……無理無理無理! 大地の頼みでもそれは無理! セックスはプロに頼もう!」
「こんなんぶら下げて風俗に行ったら警察呼ばれるわ! なぁ頼むって……俺には湊しか頼れる奴がいないんだよぉー」
大地は土下座を止め、往生際悪く俺に抱きついてきた。
大地の匂いを間近に感じると決意が揺らいでしまう。だって股間がグロテスクなこと以外はいつもの大地なのだ。セックスしたい。超したい。
「念のため聞くけど……俺が挿れられる方だよな?」
「そりゃ、俺が挿れなきゃ意味なくない?」
「……」
「……湊?」
「う……うわぁー! やっぱり無理だぁー! 何をどう頼まれても、そのグロテスクなのを突っ込まれるのは嫌だぁー!!」
俺は大声で叫び、大地の腕の中から逃げようとした。
しかし大地も一筋縄ではいかなかった。じたばたと暴れる俺をしっかりと抱きしめながら、耳元で甘くささやいた。
「協力してくれたら……焼き肉おごるから……」
「や、焼き肉?」
「そう……しかも食べ放題じゃなくてテーブルオーダー。特選カルビでも上ヒレでも、何でも好きな物を頼んでいいから……」
「焼き肉……」
ぱちぱちと音を立てて燃える炭火に、じゅうじゅうと音を立てて焼ける特選カルビ。たっぷりの合わせだれをつけて頂けば、さぞや幸せな気持ちに包まれることだろう。ビールも欲しい。
魅惑の焼き肉を引き合いに出され、俺はついに陥落した。
「……今の言葉、忘れるなよ! 俺はウン万円食うぞ!」
「おう、5万でも10万でも食ってくれ!」
こうして俺は、大地(ただしちんこは触手)とセックスをすることになったのだった。
「ん、おう。良かったね」
「流れ星が消える前に願い事を言うと、叶うって言うじゃん? だから俺、とっさに願ったんだよ。『セックスしたい』って」
「何でセックス? 何かもっと他になかったの?」
俺が思わずツッコむと、大地は握りこぶしでテーブルを叩いた。
「したいだろセックス! 健康な成人男性だぞ!」
「うわ、大きな声だすなよ! お前、だいぶ残念だな!」
そう、大地は俺と同じく絵に描いたような独り者。
俺よりもはるかに整った顔立ちをしているのだから、その気になれば彼女の1人や2人簡単にできそうなものなのだが。
……まぁ、顔は良くても性格がちょっとアレだからね。
俺は好きだけどね。
「ええと、それで何だっけ。お星さまに祈ったらちんこがイソギンチャクになったの?」
「そう……あ、多分これ、イソギンチャクじゃなくて触手だと思うんだよね」
「触手?」
「帰りの電車の中で触手のエロマンガ読んでたから、うっかり映像が届いちゃったんじゃないかと思うんだ。お星さまに」
「お前、本当に馬鹿なの?」
大地のちんこが見れるとわかったときのトキメキはどこへいったのやら。俺は呆れて肩を落とした。
つまりここまでの情報を整理するとこうだ。
大地は電車の中で触手のエロマンガを読んでいた。その後たまたま流れ星を見かけ、とっさに『セックスしたい!』と願った。セックス繋がりで触手の映像が流れ星に届いてしまったようで、ちんこが触手になった。自宅に帰りそのことに気がついた大地は、困り果てて俺を呼び出した――と。
「頼ってもらったとこ申し訳ないんだけど……俺、何もできねぇよ? 数日待って元に戻らなければ病院に行けば?」
事情がすっきりとわかったところで、俺は至極まっとうな助言をした。
すると大地はゆっくりと首を横に振った。
「いや……実は解決方法についてはもうわかってるんだ」
「え、そうなの?」
「ああ、簡単なことさ。『セックスしたい』と願ってちんこが触手になったんだから、セックスしたら治ると思わないか?」
得意げな表情で同意を求められたが、俺は「そ、そうかな?」と曖昧な返事を返すことしかできなかった。
大地の主張には一理あるが、今の大地が誰かとセックスをするのは難しそうだ。なぜならセックスに必要不可欠なちんこがイソギンチャク――もとい触手になっているからだ。
どんなマニアックな性癖をお持ちの人物でも、あのグロテスクな物体を突っ込まれたいとは思わないだろう。
大地に恋してる俺でさえちょっとアレは無理だ。
突然、大地が床に手をついた。漫画なんかでよく見かける土下座スタイルだ。
「というわけだから、湊。俺とセックスしてくださぁい!」
「……へ?」
「こんなこと頼めるの湊しかいないんだよ! 元のちんこを取り戻すためにお願い!」
「え、えー……」
どうやら大地は、初めからセックスの相手を頼むつもりで俺のことを呼び出したようだ。
頼られたことは素直に嬉しいが、相手が俺でいいのだろうかと不安も覚えてしまう。なぜなら大地には好きな相手がいるのだから。
「す、好きな人がいるって話は? 他の人とセックスしたらまずくない……?」
俺が遠慮がちに尋ねると、大地は言い淀んだ。
「あー……実はその人のことは諦めようと思ってて……」
「え、そうなの? 何かあった?」
「特別、何かがあったというわけじゃないんだけど。全然脈もなさそうだから、好きでいるものしんどくなってきたというか」
「ふーん……」
そういう事情なら、俺は正直まんざらじゃないと思ってしまった。
俺は大地のことが恋愛対象として好きだが、大地は俺のことをそういう目では見ていない。今日を逃せば、永遠に大地とセックスするチャンスは訪れないだろう。
俺はよこしまな本音を隠し、「仕方ねぇなぁ。今回だけだぞ」と笑って大地の頼みを引き受けようとした。
しかしもにょもにょと動く触手が視界に入り、寸でのところで思いとどまった。
「む……無理無理無理! 大地の頼みでもそれは無理! セックスはプロに頼もう!」
「こんなんぶら下げて風俗に行ったら警察呼ばれるわ! なぁ頼むって……俺には湊しか頼れる奴がいないんだよぉー」
大地は土下座を止め、往生際悪く俺に抱きついてきた。
大地の匂いを間近に感じると決意が揺らいでしまう。だって股間がグロテスクなこと以外はいつもの大地なのだ。セックスしたい。超したい。
「念のため聞くけど……俺が挿れられる方だよな?」
「そりゃ、俺が挿れなきゃ意味なくない?」
「……」
「……湊?」
「う……うわぁー! やっぱり無理だぁー! 何をどう頼まれても、そのグロテスクなのを突っ込まれるのは嫌だぁー!!」
俺は大声で叫び、大地の腕の中から逃げようとした。
しかし大地も一筋縄ではいかなかった。じたばたと暴れる俺をしっかりと抱きしめながら、耳元で甘くささやいた。
「協力してくれたら……焼き肉おごるから……」
「や、焼き肉?」
「そう……しかも食べ放題じゃなくてテーブルオーダー。特選カルビでも上ヒレでも、何でも好きな物を頼んでいいから……」
「焼き肉……」
ぱちぱちと音を立てて燃える炭火に、じゅうじゅうと音を立てて焼ける特選カルビ。たっぷりの合わせだれをつけて頂けば、さぞや幸せな気持ちに包まれることだろう。ビールも欲しい。
魅惑の焼き肉を引き合いに出され、俺はついに陥落した。
「……今の言葉、忘れるなよ! 俺はウン万円食うぞ!」
「おう、5万でも10万でも食ってくれ!」
こうして俺は、大地(ただしちんこは触手)とセックスをすることになったのだった。
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