32 / 40
※32.悪夢の終わり、そして
しおりを挟む
「ん、ん。ふぅ……」
静かな部屋の中に、ギオラの吐息が響いていた。セロの下腹部に顔を埋め、勃ち上がった陰茎を一心不乱で舐る。
ギオラが頭部を揺らすたび、陰茎は硬さを増していく。
どくん、とセロの陰茎が脈打ち、熱い精液がどくどくと口内に吐き出された。ギオラが込み上げる吐き気を必死に抑えていれば、セロの手のひらがギオラの黒髪を撫でた。
「よく出来ました。やっと口だけで僕を満足させられるようになったね。ここまで時間はかかったけど、僕の精液を味わえて幸せだろ? 明日はもっと上手に舌を使えるように頑張ろう」
不愉快な猫なで声を聞きながら、ギオラはセロの精液を飲み込んだ。苦い、気持ち悪い。何度ものどを上下させるギオラを見て、セロは満足そうに目を細めた。
「頑張ったギオラにはご褒美をあげなきゃな。服を脱いで、ベッドに上がって待っててよ。キリの良いところまで仕事を終えたら、今度は下の穴に熱いのをたっぷりと注ぎ込んでやるからさぁ」
にんまりといやらしい笑みを浮かべながら、セロは指先で万年筆を回した。
ギオラがセロの元から脱出を図ったのは、今日から4日前。以降、セロの執着は一層強くなった。片時もギオラから目を離さず、昼夜問わずギオラの身体を弄ばんとする。
ここ数日のお気に入りは、事務仕事の最中にギオラに陰茎を咥えさせること。ギオラにすれば地獄のような時間だが、逆らう気は起きなかった。手足を拘束されお仕置きを受けたあの夜に、反抗心は根こそぎ奪われてしまった。
セロの今世の名をシュバルツ・オイヒストンという。地位は司祭。聖ミルギスタ王国の聖地である、聖エイムダル教会の統率者だ。
各教会の司祭には宗教儀礼の一環として、年間一定期間の聖地巡礼が求められる。国内各所に設けられた聖地や聖域を参詣し、身体に溜まる穢れを洗い落とすのだ。それは聖エイムダル教会の司祭とて例外ではなく、セロが魔王城を訪れたのは、この聖地巡礼の最中のことであったらしい。
そして今、ギオラは聖エイムダル教会の司祭館の地下室に囚われている。身も心も清らかであることが求められる司祭が、肉欲と支配欲を満たすために誘拐行為を働くなどと。
神の御許とも呼ばれる聖エイムダル教会の地下に、まさか魔王が囚われていようなどと。何たる皮肉だろう。
書類の片づけを終えたセロは、足取り軽くベッドへと歩み寄った。ベッドの真ん中にはギオラが寝そべっている。セロに命じられた通り衣服を脱ぎ、毛布に全身を包んでいる。
セロはギオラから毛布を剥ぎ取ると、その腰回りを悠々とまたいだ。キスマークの浮いた肌を満足気に眺め下ろし、内太ももを無遠慮に撫で回す。唐突な行為開始の合図だ。
鎖骨を舐められても、乳首をこね回されても、尻肉を揉みしだかれても、ギオラは文句ひとつ言わない。目を閉じ、手足の力を抜き、早急な愛撫を受け入れる。
刹那、落雷にも似た轟音が響き渡った。
ギオラとセロが同時にその音のした方を見れば、部屋のたった一つの扉は瓦礫のように崩れていた。その瓦礫山を踏み越えて室内へと立ち入る者は、右手に長剣をかかげた青年。碧い瞳には激情がごうごうと燃え盛る。
その人物の顔を認めた瞬間、2人は同時につぶやいた。
「イシュメル」
「おっと、こりゃ不味いな」
抜き身の長剣をぶら下げたイシュメルは、大股で部屋の中に進み入る。そしてベッドのかたわらに立つと、重なり合うギオラとセロを無言のまま見下ろした。
一糸まとわぬ姿のギオラ、白肌に浮いた吸い跡、手足首に残る枷の跡、ギオラに覆い被さるセロ。
憎悪、憤怒、殺意。様々な感情の入り混じる剣が振り上げられた。悪を滅ぼし、世を正せとの宿命を背負いし剣が。
「じゃあねギオラ。また来世で会おう。僕は何度生まれ変わってもお前のこと」
先の言葉を言うことはなく、セロの頭部は胴体から分断された。傷口からは鮮血がほとばしり、ギオラの胸元に腹に、雨水のように降り注ぐ。
頭を失くしたセロの身体がかしげ、人形のように崩れ落ちる様を、ギオラは顔を背けることなく見つめていた。
「遅くなってすまない」
震える声がギオラを包んだ。イシュメルに抱きしめられていることに気が付いた。
ギオラは目を閉じ、待ち望んだ人のぬくもりを感じた。
***
イシュメルはギオラの手を引き、地上へと続く階段を上った。左手には、血汚れを落としさやに収めたヴィザルの剣が握られている。
かつて勇敢な騎士の愛刀であったその剣は、魔王を討つために作られたその剣は、終に魔王の首を落とすことはなかった。聖者の首を落とし、魔王を守るために使われたのだ。そのあまりにも歪な真実を、人々はどう受け止めるのだろう。
イシュメルとギオラが大聖堂へと立ち入ったとき、そこには6人の人が並び立っていた。アリシアを筆頭にザカリ、リュイ、3人の兵士。剣の柄に手のひらをかけ、明らかな敵意を身にまとっている。
アリシアは言う。
「捕えなさい。愚かな騎士と魔王を」
――と。
静かな部屋の中に、ギオラの吐息が響いていた。セロの下腹部に顔を埋め、勃ち上がった陰茎を一心不乱で舐る。
ギオラが頭部を揺らすたび、陰茎は硬さを増していく。
どくん、とセロの陰茎が脈打ち、熱い精液がどくどくと口内に吐き出された。ギオラが込み上げる吐き気を必死に抑えていれば、セロの手のひらがギオラの黒髪を撫でた。
「よく出来ました。やっと口だけで僕を満足させられるようになったね。ここまで時間はかかったけど、僕の精液を味わえて幸せだろ? 明日はもっと上手に舌を使えるように頑張ろう」
不愉快な猫なで声を聞きながら、ギオラはセロの精液を飲み込んだ。苦い、気持ち悪い。何度ものどを上下させるギオラを見て、セロは満足そうに目を細めた。
「頑張ったギオラにはご褒美をあげなきゃな。服を脱いで、ベッドに上がって待っててよ。キリの良いところまで仕事を終えたら、今度は下の穴に熱いのをたっぷりと注ぎ込んでやるからさぁ」
にんまりといやらしい笑みを浮かべながら、セロは指先で万年筆を回した。
ギオラがセロの元から脱出を図ったのは、今日から4日前。以降、セロの執着は一層強くなった。片時もギオラから目を離さず、昼夜問わずギオラの身体を弄ばんとする。
ここ数日のお気に入りは、事務仕事の最中にギオラに陰茎を咥えさせること。ギオラにすれば地獄のような時間だが、逆らう気は起きなかった。手足を拘束されお仕置きを受けたあの夜に、反抗心は根こそぎ奪われてしまった。
セロの今世の名をシュバルツ・オイヒストンという。地位は司祭。聖ミルギスタ王国の聖地である、聖エイムダル教会の統率者だ。
各教会の司祭には宗教儀礼の一環として、年間一定期間の聖地巡礼が求められる。国内各所に設けられた聖地や聖域を参詣し、身体に溜まる穢れを洗い落とすのだ。それは聖エイムダル教会の司祭とて例外ではなく、セロが魔王城を訪れたのは、この聖地巡礼の最中のことであったらしい。
そして今、ギオラは聖エイムダル教会の司祭館の地下室に囚われている。身も心も清らかであることが求められる司祭が、肉欲と支配欲を満たすために誘拐行為を働くなどと。
神の御許とも呼ばれる聖エイムダル教会の地下に、まさか魔王が囚われていようなどと。何たる皮肉だろう。
書類の片づけを終えたセロは、足取り軽くベッドへと歩み寄った。ベッドの真ん中にはギオラが寝そべっている。セロに命じられた通り衣服を脱ぎ、毛布に全身を包んでいる。
セロはギオラから毛布を剥ぎ取ると、その腰回りを悠々とまたいだ。キスマークの浮いた肌を満足気に眺め下ろし、内太ももを無遠慮に撫で回す。唐突な行為開始の合図だ。
鎖骨を舐められても、乳首をこね回されても、尻肉を揉みしだかれても、ギオラは文句ひとつ言わない。目を閉じ、手足の力を抜き、早急な愛撫を受け入れる。
刹那、落雷にも似た轟音が響き渡った。
ギオラとセロが同時にその音のした方を見れば、部屋のたった一つの扉は瓦礫のように崩れていた。その瓦礫山を踏み越えて室内へと立ち入る者は、右手に長剣をかかげた青年。碧い瞳には激情がごうごうと燃え盛る。
その人物の顔を認めた瞬間、2人は同時につぶやいた。
「イシュメル」
「おっと、こりゃ不味いな」
抜き身の長剣をぶら下げたイシュメルは、大股で部屋の中に進み入る。そしてベッドのかたわらに立つと、重なり合うギオラとセロを無言のまま見下ろした。
一糸まとわぬ姿のギオラ、白肌に浮いた吸い跡、手足首に残る枷の跡、ギオラに覆い被さるセロ。
憎悪、憤怒、殺意。様々な感情の入り混じる剣が振り上げられた。悪を滅ぼし、世を正せとの宿命を背負いし剣が。
「じゃあねギオラ。また来世で会おう。僕は何度生まれ変わってもお前のこと」
先の言葉を言うことはなく、セロの頭部は胴体から分断された。傷口からは鮮血がほとばしり、ギオラの胸元に腹に、雨水のように降り注ぐ。
頭を失くしたセロの身体がかしげ、人形のように崩れ落ちる様を、ギオラは顔を背けることなく見つめていた。
「遅くなってすまない」
震える声がギオラを包んだ。イシュメルに抱きしめられていることに気が付いた。
ギオラは目を閉じ、待ち望んだ人のぬくもりを感じた。
***
イシュメルはギオラの手を引き、地上へと続く階段を上った。左手には、血汚れを落としさやに収めたヴィザルの剣が握られている。
かつて勇敢な騎士の愛刀であったその剣は、魔王を討つために作られたその剣は、終に魔王の首を落とすことはなかった。聖者の首を落とし、魔王を守るために使われたのだ。そのあまりにも歪な真実を、人々はどう受け止めるのだろう。
イシュメルとギオラが大聖堂へと立ち入ったとき、そこには6人の人が並び立っていた。アリシアを筆頭にザカリ、リュイ、3人の兵士。剣の柄に手のひらをかけ、明らかな敵意を身にまとっている。
アリシアは言う。
「捕えなさい。愚かな騎士と魔王を」
――と。
2
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる