天使のような君に恋をした

雨のち晴れ

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第一章 君を好きになる

天使との出会い②

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 午後からの授業はまったく集中出来なかった。春奈が体売りの少女と呼ばれている理由が本当なのか。そしていじめにまで発展した理由。こっちはなんとなく予想がつくのだが。目に見える暴力によるいじめはないようだけど、陰口とSNSによる攻撃は激しいと聞いた。ついさっきもクラスメイトの女子達が春奈について話している声が時々聞こえた。終礼が終わりクラスメイト達はどんどん教室から出て行った。春奈のクラスはまだ終礼が終わっていないようだ。

「バイバイ橘。デート頑張れよー」
「デートじゃねーよ!」

幸助の後ろ姿は廊下にいるたくさんの人によって見えなくなった。私立高校なので廊下は綺麗で広いが埋め尽くすほどたくさんの生徒がいる。さすが県内トップの偏差値の高校だ。俺も野球の推薦が無ければこんな所にいる事は出来なかった。

「ちょっとごめん。通してくれないかなぁ」
「あっ、ごめんごめん」

通り過ぎてから気づいたけれど、あの人はさっき幸助が話していたイケメン君だ。近くで見るとよりかっこよく見えた。イケメン君が教室から出てきたと言うことは春奈もそろそろくるはずだ。

 あれから二十分くらいは待ったが来ないので、教室を見に行くことにした。教室にも春奈はいなかった。廊下にいた人達もだんだん少なくなり歩きやすくなっていた。春奈の居場所がどうしてもわからないので、近くにいた女の子に聞いてみた。「トイレに入るとこみた」と言う情報を手に入れたので男子トイレと女子トイレの間くらいで壁にもたれていた。

「まじさー、春奈なんで翔飛と付き合わないのかなぁ」

階段の方から声が聞こえてきた。声的に女の子だろう。

「きっと遊んでるんだよ。体売りの少女だし私が男なら春奈とヤりたくないな」
「まじそれな!翔飛見る目ないわ。あっ、春奈じゃん!」

春奈は女子二人に絡まれていた。俺は少し退屈だけれど待つことにした。用がなくても少し会話することは人間関係を保つ上で大切なことだ。でも今回の場合は少し例外かもしれない。しかし俺が話に割って入ればそれはまた別の問題が起こりそうなのでそっとしておくことにした。 

「今日もバイト?」
「私バイトしてないよ?」
「何言ってんの毎日知らないおじさんとヤってるんでしょ?どれくらい稼いでるの?」
「だから!してないって言ってるじゃん!」

空気がピリッとした。春奈顔には「なんで私怒ってるんだろう」みたいな表情になっていた。

「キモイ本当キモイ!。みんなの憧れの翔飛と何回も遊んでその度にプレゼントもらってさ。翔飛に興味ないなら関わらないで?知らないおじさんとヤっとけばいじゃん!」
「翔飛君とは本当に仲の良い友達なんだよ。それにプレゼントはいらないって何回も言ってるよ」

女子の片方の右手動いたのが見えた。俺の体は気がつけば動き出していた。無意識のうちに俺は春奈の前に立っていた。女子からのビンタはまったく痛くない。痛くないけれど思いが詰まった一撃だと思う。

「一緒に帰るんじゃないのかよ?ほら、早く行くぞ?」
「勝利君!?なんで?」
「消えた天才が私達の話に入ってこないでよ!恋愛のことなんて何も知らないくせに」

その通りだ。俺は恋愛なんて一ミリも知らなかった。野球馬鹿の俺が偉そうに言えることじゃないけどこれだけは言わないといけない。

「全部嫉妬だろ?」
「違う!」
「自分の好きな人が奪われたら嫌だよな。でもその思いを人にぶつけて解決しようとか、本当かわからない噂を信じて人を傷つけたりとかそんなダサいことすんなよ!」
「あなたにはわからないのよ!わかるはずない」
「春奈は悪くねーだろ?君たちにとって春奈は憧れの存在だと思うんだ。羨ましいしなんで私じゃ無理なんだろうって思うかもしれないけど、絶対に負けるもんかと自分磨きとかしていつか翔飛を振り向かせてやるって努力すれば報われる日が来るかもしれないじゃん!」

女子達は「あんた、春奈はのこと好きなの?」とだけ言って帰って行った。さっきビンタされた部分がなんだか暖かい。振り返れば春菜が「ありがとう。大丈夫?」と言って笑顔で撫でてくれた。久しぶりに人の温もりを感じた。いつもなら人の喧嘩に割って入ることはない。ネクタイをそっと緩めた。やっぱり今日のどこか俺はおかしい。

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