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第二章
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しおりを挟む四年生になる少し前、樹は小学校の野球のクラブチームに入った。
遊ぶ時間はだいぶ減って少し寂しくはあったが、学校での練習を見に行ったり、樹の母親と一緒に試合の応援に行くのは楽しかった。
この頃から、並ぶと隣にあった樹の顔が、少しずつ上へとずれていった。
少し煩いくらい明るく元気な樹。喜怒哀楽が素直に顔に出る。
野球をやっている時の顔は常に真剣で、今までにない格好良さを感じた。
五年生の夏前に、僕の父親が事故で亡くなり、母親はパートから正社員として転職し、それまで以上に帰宅が遅くなった。
一変した生活に慣れず、また、事ある毎に父を思い出しては泣きそうなる僕をいつも樹は慰めてくれた。
野球をやっている格好良い樹。僕を慰める優しい樹。
そんな彼に、ふとした瞬間、どきどきする程の眩しさを感じ始めた頃だった。
樹はとにかく正義感が強く、そして、やたらはっきり物を言う男の子だった。
『ガキ大将』という風情で友だちもたくさんいるが、良く思わない人間もやっぱりいる。
校内での苛めを樹が見つけ、先生方が知るところになる、ということも良くあった。そのせいで樹が的になりかけても、返り討ちしてしまうという。
時には手足を出しての喧嘩にもなるので、『暴れん坊』には手を出すなという噂が、校内中に広まっていた。
しかし、それも小学校内ならではのことだった。
それがもっと年上の人間相手ではどうか。
二つ三つ違うだけで、中学生は格段に体格や思考も違ってくる。
学校側でも手のつけられない『問題児』は特にそうだ。
それでも道端で偶然出会わした喝上げや、コンビニでの万引きにも平気で挑んでしまう。
それらが後に、僕らに降りかかる大きな事件に発展することになろうとは思わずに。
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