はじまりの朝

さくら乃

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第二十章

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 僕と樹。
 二人の距離感はまた変化して行く。
 それもけして良いほうへの変化ではなかった。


 また桜の咲く季節がやってきた。
 僕らは高校の最終学年に上がった。
 理数系クラスの大地と明はまた同じクラスになり、文系クラスの僕と樹は違うクラスになった。一年の時とは違い隣でもなくなったので、体育の授業も一緒にはならない。

 その為、樹の大きな変化に気づくのが遅くなったしまった。

 新学期が始まり、すぐに授業は一日行われるようになった。
 いつものように、二階テラスに集まった僕ら。
 しかし、樹は現れなかった。
 二年の冬──修学旅行明けくらいから、そうやって来ないことも何度かあったので、初めはそんなに気にはしていなかった。
 
 
(いっくん来ないと寂しいな……)


 そんな気持ちは始終抱えていたが。

 樹の言うようにあの日以来BITTER SWEETには行っていない。
 外にいた柄の悪そうな男たち。店長の言ったこと。
 恐らく樹のあの言葉は、僕を危険な目に合わせたくなくて言ったこと。そう良いように解釈している。
 クラスも一緒にならず、昼休みも二階テラスに来ない。バイト先にも行けないことで、こんなにも会えなくなってしまうとは思わなかった。



 それが一週間が過ぎ、十日が過ぎ、二週間が過ぎ──さすがにおかしいと思った。
 途中何度かクラスを覗いたが、一度も見かけない。
 どうやら余り学校に来ていていない。いや、来ているかいないかは定かではないが、授業に出て来ていないことだけは確からしい。
 これは明情報。
 然り気無く「お昼たまには一緒に」とか「最近どうしてる?」なんて送ってみようかと考えてもみた。
でも。
 それまでもどうしても必要な事柄しか送ってなかったので、僕がラインすること自体もう全然然り気無くない。

 

 ──樹の悪い噂が流れ始めたのは、四月も終わり頃のゴールデンウィーク前のこと。
 そして、久しぶりに見掛けたのは、それを裏づけるかのように『悪い仲間』と校内を歩く樹の姿だった。
 一年の始めの頃はやはりそんな仲間と一緒にいた。悪い噂も流れていた。
 でも、僕、明、大地と関わる中で、その集団からも離れ、悪い噂も消えて行った。


(なのに……いっくん、なんで?
 なんで今また……)


 体育教師になる為に、大学進学を考えていた樹。
 その大事な三年という学年で、何故また彼らと関わることになったのか。
 あの頃彼らを仕切っていたらしい、タキはもういないが、春休み前に会った時に一緒にいたT高生はその中にいた。

 僕の内側で、戸惑いと不安と切なさが渦巻いた。



★ ★



「──そっか。そんなことが」
 一年の頃『悪い仲間』の中に入っていた明も、今回は全く蚊帳の外だ。
 樹とも会えていないし、連絡をしても返事は返って来ないという。校内でその集団に鉢合わせた時に声を掛けてみたが、無視されたらしい。
 今までつるんできた明も、かなり戸惑っているようだった。

 僕は春休みにBITTER SWEETでの出来事を、明と大地に話した。
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