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第二十七章
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しおりを挟む「七星くん、ありがとう。もう上がっていいよ」
時計は午後十時を回っていたが、今日はクリスマスイブとあってか、BITTER SWEETにはまだ何組かの客が残っており、洗い物もこれからという感じだった。
もともとのシフトは十時であるものの、そのまま退勤するには忍びない様子だ。
「え、でも、まだ洗い物も残ってますし」
僕がそう言うと、店長はいつものようににこにこ笑った。
「七星くんはバスだから。あとは僕と近場の子に任せて」
他にバイトが厨房に一人、ホールに一人いた。二人とも近くに住む大学生だ。
「ほら、早く着替えないと、バスのじ・か・ん」
「あ、はい。ではお言葉に甘えて」
「ほんと、七星くんは大学生になってもイイコだよね。明なんか時間前からそわそわしてるし」
僕はくすっと笑って、更衣室に向かった。
僕は夏休み後半からBITTER SWEETでアルバイトを始めた。
大学生になっても余り高校と変わり映えない生活をしていると思ったこと、そしてある目的ができたからだ。
ある目的──こちらのほうが大事なことだ。
それは樹のプレゼントと、明が送ってくれたリンクに関係がある。しかし、もしかしたら『偶然』とか『勘違い』の可能性もまだ捨て切れてはいない。寧ろそっちのほうが可能性大なんじゃないかと思っているくらいだ。
それでも、良いほうの可能性に賭けたい。その為には軍資金が必要だ。
明に「アルバイトしたいんだけど」と相談した結果、BITTER SWEETでのアルバイトを提案された。BITTER SWEETで既にしている明だが、大学も自宅もBITTER SWEETとは離れている為長期休暇しか出来ない。僕はといえば、最寄り駅を使って大学に通っている。
「ちょうどいいんじゃない? なんなら長期の休みもななちゃんがやればいいし」
ここで楽しそうに働いていた明だが、ここにこだわっていたわけでもなさそうだ。
「BITTER SWEETなら叔父さんがゆっくり面倒みてくれるし、ボクも安心だよぉ」
僕の心配もしてくれる彼が店長に話をしてくれ、店長からも「ぜひに」と言って貰えた。
人見知りで未だにコミュ症気味の僕だが、知っている人知っている店で働けることで、まったく知らない場所で働くよりは気持ちが楽なのではないかと考えた。
そんな経緯を経て働き始め、四か月程が経つ。
一緒に働くスタッフも店長の人柄と人選が良いのか、失敗も温かい目で見てくれフォローしてくれる。厳しい客もいて迷惑をかけているという気持ちも湧くが、それでも頑張ろうと思えた。
高校でだいぶ成長したと思えたが、何もしなければそれ以上成長することもない。これは新たな僕の第一歩だ。
毎年クリスマスイブと明の誕生日をお祝いしていたが、今年は日にちをずらすことになった。
今年は明は二十歳になる。
特別な夜には二人で過ごすのがいいだろう。この日忙しいBITTER SWEETには明か僕がシフトに入らなければ回らない。
謹んで僕がお受けしたというわけだ。
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