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樹編~花詞~
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しおりを挟む誕生日のプレゼントは結局あの時目についた、白い小さな花がたくさんついた鉢植えにした。
勿論あの花屋で購入。
店長に揶揄われながら。
そして、クリスマス。
クリスマスプレゼントは決まっていた。
手袋だ。
七星の手は夏でも割とひんやりとしているが、冬には氷のように冷たくなる。昔からそんな感じで、それは再会してからも変わらなかった。
再会した年のクリスマスイブ、二人で並んで歩いた。珍しく雪がちらついて、しんと冷える夜だった。七星が自分の手に息を吹きかけてた。
(ああ、手が冷たいんだろう。昔と変わらない)
そう思ったら俺の手で温めてやりたくなった。まだ七星に対して距離を置いていて、堂々と「温めてやる」とは言えず『早く帰る』ということに託けて手を握った。
俺より小さくて冷たい手。
心臓が跳ね上がるのを抑えながら、その手を引いて歩いた。
ふんわりとした温かそうな白い毛糸の手袋。
それから──ストックという花。
本当は手袋だけのつもりだったのに。俺はまたしても花を添えてしまった。
花言葉は『愛情の絆』『求愛』など。
そして、白いストックには『ひそやかな愛』。ピンクのストックには『ふくよかな愛情』という意味があるらしい。
しかし、あくまで主役は手袋だ。
ということにしておこう。
★ ★
別に、花言葉で想いを伝えようと思ったわけじゃない。
だって、そうだろ?
贈る相手は俺と同じ男で、特別花に興味もなさそうで、花言葉なんてそれを上回るだろうし。
ただ言えない自分の『想い』を、この溢れ出してしまう『想い』を『花言葉』の中に閉じ込めただけ。
それに。
七星が俺と同じように俺を想ってくれるなんて、そんなのは夢のまた夢だ。
なにしろ『親友』だから。
七星にはきっと、七星よりも小柄な可愛い女の子が似合う。
それでも。
俺が大学に合格して無事卒業することが出来たら。
俺は俺の気持ちを伝えよう。
きっと七星なら引かないでくれる。俺を許して、『親友』という座にいさせて貰える。
それを信じて。
──だから、俺は驚いたんだ。
赤い薔薇の花束を抱えた七星を見て。
何か確信があって外に出たわけじゃない。
ただ、七星の卒業式の日の朝偶然出会えたように、今日も偶然を期待しただけのこと。
奇しくも、余り雪の積もらないこの地域に同じように雪が積もった──まるで、あの日と繫がっているかのように。
そして──奇跡は起きた。
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