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Side SIHU ─ 1
しおりを挟む自分の呻き声で眼を覚ました。
同時にがばっと掛け布団を跳ね上げ、起き上がった。はあっと、大きく息を吐き、額に浮かんだ汗を拭う。
レースのカーテンで覆われた窓の外は、暗い。壁掛けの時計に眼をやったが文字盤は見えなかった。部屋を照らすのがサイドチェストに置いてあるライトの柔らかな光だけで、そこまで届いてはいなかった。
ふと見ると、そのライトの横にスマホ、それと自宅の鍵が置いてあった。
( ここに置いたっけ?鍵も? )
スマホを掴み、時間を確認する。
午前四時。冬の夜明けはまだ遠い。
オレを取り巻く空気は、こんなにも冷たいのに、オレ自身は汗だくだった。
**
── ふたりが、オレの前から姿を消して、もう二年近く経つ。
何処かで生きているのか、それともあの水底に沈んでいるのか。正直よくわからない。でもオレはたぶん心の何処かで、あの水底にいるのではないかと思っているのかも知れない。
繰り返し、繰り返し、見続ける夢。
ふたりはあの夢のように、寄り添ったままあの水底に。
そして、いつしか ── 。
ふたりが姿を消した頃、毎夜見ていた夢は、時の流れと共に見る回数も減り、近頃は極たまに目覚めた時にうっすら“見た”と感じる程度になっていた。
それなのに。
今日、また、こんなにもはっきり印象に残っているのは。
( アイツに会ったせいだ )
石蕗壱也。
あの日、アイツは大怪我をし、そして、ふたり ── 橘冬馬と石蕗秋穂は、オレの前から姿を消した。
ふたりが何も言わずにいなくなったショックと、そして自分自身の罪悪感に苛まれ体調を崩したオレは、仕事もできず自宅に籠りっきりになっていた。
石蕗壱也も怪我の完治後、公の場にはまだ姿を現していていないという。別に知りたくもない情報を、兄の天音はいつもそれとなくオレの耳に入れる。
( やっぱ、天音くんの誘いに乗るんじゃなかった )
あれから二年近くが経ち、体調はだいぶ回復していたが、精神はまだそれに追いついていない。
「たまには外に出てみたら」と天音から、家族も出席するパーティーに誘われた。両親や姉の朱音をいつまでも心配させてはいけないという思いもあり、オレは渋々その誘いを承諾した。
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