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しおりを挟む遙人がぎゅうっとオレを抱き締めた。彼の重みが愛おしい。
「詩雨……愛してる……」
耳許で甘やかな告白。
( もう……ずるいなぁ……こんな時ばかり…… )
でも、込み上げてくる愛おしさ。オレも。
「遙人……オレも……」
**
その後。
抱き合ってベッドの上で、ごろごろ。
今は横向きになり、後ろから遙人に緩く抱き締められている。
鼻先をオレの短くなった髪の毛に突っ込んでいる。
なんか、匂いかがれているような。
「ハル~~くすぐったい~~」
そう言ったけど、返事が来ない。
「シウさん……」
少し間があり、オレの名を小さく呼ぶ。また元の呼び方に戻っていた。
( ま、オレもだけど )
「なに?」
「……俺……ちゃんと約束守れましたか……?俺……ちゃんと……優しくできましたか?」
弱々しい声が頭の後ろから聞こえてくる。
あの時オレにしたこと。遙人はオレ以上に気にしていたのかも知れない。
「おまえ、ちょっと、ひどかったぞ」
「えっ」
「イキたいのに、掴まれた」
「あー……すみません」
しゅんとしているのが、背中越しに分かる。
深刻そうになりそうな雰囲気を壊したくて、冗談めかして言ったが、失敗だったかも知れない。
「 ── 約束、守れたよ」
オレははっきりと言った。
「シウさん……」
「ちゃんと、優しくしてくれた。いろいろ気遣ってくれたの、わかってるよ」
自分だって焦れてしまうだろうに、優しくゆっくりしてくれた。
今まで待ってくれたこと自体がもう、遙人の優しさだったんだ。
オレをすごく大切にしてくれているのが分かる。
「シウさん……良かった、約束守れて。もうあんな風に酷くしたくなかった。大事に、大事にしたかった」
「うん……ありがと……待っててくれて。大事にしてくれて」
「シウさん、愛してます……。ねぇ……シウさん、あの言葉の続き、聞かせてくれませんか?」
「えっっ」
今凄くいい雰囲気だった。
甘くて穏やかで。
その延長線上で、遙人が爆弾を落とす。
あの言葉の続き ── 『遙人……オレも……』
実はあの言葉の先は言えてなかった。息があがってしまって、あれ以上は……というのは、言い訳。
本音は照れだ。“愛してる”なんて言ったことない言葉、気恥ずかしくて口に出せない。
でも。
遙人がオレに言ってくれたこと、すごく嬉しかった。
言葉が欲しいのは、遙人も一緒。いや、遙人こそ、ずっと待っていた言葉なのかも知れない。
オレは心の内で「よしっ!」と自分を奮い立たせ、出た言葉は。
「オレも、おまえが好きだ」
「え~~~~」
空気読んでない返答に、ブーイングは当たり前。
オレもそう思う。しかし、この口が……。
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