【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

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第2章:アリス

第5話:じゃれ合い

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 アリス=アンジェラとコッシロー=ネヅはそれほど広くない池の中で取っ組み合いを始めることになる。アリス=アンジェラが器用にコッシロー=ネヅの右脇に左腕を突っ込み、そこから上手うわて投げを繰り出し、コッシロー=ネヅを池の中へと沈める。

 コッシロー=ネヅはそうされたかと思えば、池の中を素早く移動して、アリス=アンジェラの背中側へと回り込み、大きな肉球をアリス=アンジェラの頭頂部へと押し当て、アリス=アンジェラを池の中へと沈めてしまう。

 アリス=アンジェラは水中であるのにも関わらず、身体全体を捻り、コッシロー=ネヅの左前足を両足で絡め取り、肘十字固めを放つ。しかし、コッシロー=ネヅはねじ上げられている神力ちからに逆らわず、そのまま神力ちからに流されるように身体を動かし、後ろ足でアリス=アンジェラの腰を蹴り上げる。

 アリス=アンジェラはコッシロー=ネヅの右前足の締め上げが緩やかだったせいで、空中へと突き飛ばされる形となる。しかし、さすがは片翼と言えども天使である、アリス=アンジェラは。空中を放物線を描きながら再び池の中へと堕ちていくはずだったのに、空中で静止する。

 そうした後、アリス=アンジェラは何も無い空中を蹴っ飛ばし、さらには右手をあらん限りの神力ちからをもってして、前へと突き伸ばす。この時、アリス=アンジェラの表情は無邪気そのものであった。コッシロー=ネヅとじゃれ合うのが心底楽しいとでも言いたげな顔つきでありながらも、コッシロー=ネヅの腹を右のこぶしで突き破らんとばかりの姿勢であった。

 そんなじゃれつくアリス=アンジェラとコッシロー=ネヅたちを止めに入ったのがアンドレイ=ラプソティであった。彼は年長者らしく振舞おうと動きを見せる。アリス=アンジェラがめいいっぱい突き伸ばした右腕の手首辺りを左手で掴み、クルンッとその左手を回転させる。そうすることで、アリス=アンジェラはその場で横方向に4回転してしまうことになる。

 アリス=アンジェラは、おおぉぉぉぉ!? と素っ頓狂な声をあげながら水面を数度バウンドすることになる。そして、池の外へと弾き飛ばされたアリス=アンジェラがギラギラとした眼で見つめる先はアンドレイ=ラプソティとなる。アリス=アンジェラにとってはオモチャがひとつ増えたように感じたのである。アリス=アンジェラは地面を両足で蹴っ飛ばすと、身体を翻し、地面を蹴ったばかりの両足を揃えて、アンドレイ=ラプソティの方へと向ける。

 アンドレイ=ラプソティに向かって前方からドロップキックがすっ飛んでくることになるが、彼はまったく動揺することなく、軽く身体を横方向へとスライドさせる。そして、ドロップキックがスカるや否や、アンドレイ=ラプソティはまたもや左手を用いる。アンドレイ=ラプソティはアリス=アンジェラの左のふくらはぎに左手を沿えるや否や、上方向へとかち上げる。

 アリス=アンジェラは今度は縦方向に4回転する。しかし、アリス=アンジェラもまたやられっぱなしではなかった。縦方向への4回転が終わりを告げるや否や、上空から右足を振り下ろす。彼女の細いスネはアンドレイ=ラプソティの左肩へと断頭台の分厚い刃のように堕ちてくる。しかしアンドレイ=ラプソティは所詮、小娘が往生際を理解せずに放った一撃だと甘く見積もることになる。

 アンドレイ=ラプソティは左足を後ろに2歩分下げて、両腕を交差させて、アームブロックの形でアリス=アンジェラの断頭台キックを受け止める。これがまさにアンドレイ=ラプソティの油断も油断であった。アリス=アンジェラはその小柄で断崖絶壁の胸板、さらには貧相な尻の肉付きからは想像もできない威力を、その一撃に込めていたのである。

 威力を防ぎきれなかったアンドレイ=ラプソティは体勢を崩され、背中から池の中へと沈むことになる。そして、そこに追い打ちをかけるようにアリス=アンジェラがアンドレイ=ラプソティの顔面にヒップアタックをかましたのである。

「ボクの勝ちなのデス! 試合時間3分24秒。決め技はヒップアタックデス!」

「さすがはアリスちゃんなのでッチュウ。解説の自分から言わせてもらえば、アンドレイ=ラプソティ様はアリスちゃんを舐めたことが敗因なのでッチュウ」

 アリス=アンジェラは物理的にアンドレイ=ラプソティを尻に敷きながら、嬉しそうに両腕を天へと突きあげる。そして、アンドレイ=ラプソティの顔面から尻をどけた後、勝利の余韻に浸りながら、池の中を背泳ぎし始める。アンドレイ=ラプソティはガハゲホッゴホッ! と大量の水を口から吐き出しながら、水面から上へと顔を飛び出させることになる。

「ぶへっ! べほっ! もう少し年寄りに配慮してもらえませんか!?」

「チュッチュッチュ。アリスちゃんはあれでも十分に手加減しているのでッチュウ。そうじゃなかったら、とっくの昔にこの池は紅く染まって、さらには自分たちのハラワタがプカプカと浮かんでいる惨状になっているのでッチュウ」

「嘘……ですよね? 今のがじゃれ合いなのですか?」

「はい、その通りデス。アンドレイ=ラプソティ様が本気を出してないのに、ボクが本気を出すわけがないじゃないデスカ」

 アリス=アンジェラのこの一言にゾゾゾ……と背中に怖気を感じてしまうアンドレイ=ラプソティであった。いくらヌルヌルと滑る池底の上に足を置いての戦いであったからと言って、アンドレイ=ラプソティはそこそこやる気満々でアリス=アンジェラと対峙してみせた。

 アンドレイ=ラプソティとしては、神力ちから抜きでの体術における戦闘で、アリス=アンジェラの実力を計ろうとしたのである。コッシロー=ネヅは前からアリス=アンジェラはアンドレイ=ラプソティよりも神力ちからが上だと言いのけていた。しかし、300歳以上のアンドレイ=ラプソティにとって、この小娘の戦闘経験値はそれほど高いものでないとタカを括っていたのだ。

 確かに今のじゃれ合いにおける敗因はアリス=アンジェラの体術の鋭さを甘く見積もっていたアンドレイ=ラプソティ側にあると言ってもよかったが、それでも圧倒されて、さらには顔面にヒップアタックという決着を迎えるとは思わなかったアンドレイ=ラプソティであった。彼女の貧相な尻の肉付きのために、嬉しさよりも痛さのほうが勝ったアンドレイ=ラプソティである。

「末恐ろしいヒトですよ、貴女は……」

「そこは末可愛い女の子だと言ってほしいのデス。今に天鈿女あめのうずめ様のようにボン! キュッ! ボン! な淑女レディになりますノデ」

「ないない、それは無いでッチュウ」

「はい、ありません。絶対にありません。創造主:Y.O.N.N様に誓って、それはありません」

 コッシロー=ネヅとアンドレイ=ラプソティの一言は余計と言っても過言ではなかった。そして、彼らの刃のように鋭い言葉はアリス=アンジェラの頭の中に第2ラウンドのゴングの鐘を鳴り響かせるには十分であった……。
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