【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

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第11章:竜皇の宮殿

第1話:炎舞

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 紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンはまるでため息かのようにブシュゥゥゥ……と鼻の穴から白い息を吐く。それにより、竜の住処ドラゴン・テリトリーの内側全体に薄いミストがかかってしまうことになる。アンドレイ=ラプソティは纏わりつく冷気を紅き竜の槍レッド・ドラゴン・ランスを振り回すことで、弾き飛ばすことになる。

「ふんっ……。今のは攻撃のつもりではなかった。しかし、われほどの古龍になると、呼吸ひとつが事象に影響を及ぼすのだ。わかるだろう?」

 紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンは上から目線の態度を改めようともせず、ぞんざいな雰囲気そのままに、それを言葉に乗せて、声として発するのであった。古龍ほどの圧倒的な存在ともなれば、言葉ひとつでニンゲンたちのような小動物を殺すことが出来る。しかし、そうでありながら、紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴン半猫半人ハーフ・ダ・ニャンの存在など、眼に映らないとばかりに威圧を込めた声を発し続ける。

「で? ラプソティ家の者が何故に竜皇様の宮殿に足を踏み入れたのだ? 返答次第では穏便には済ませられなくなるぞ?」

「返答次第? 穏便に? こちらの言うことを頭から否定するつもりなのが丸わかりの態度を取っておきながら、よくもいけしゃあしゃあと言ってくれます」

「ふんっ……。アンドレイと言ったか? 創造主:Y.O.N.N様に対して、我らは懐疑的なのだ。竜皇様の身に起こった異変。それが我らにとって、創造主:Y.O.N.N様に対して、牙を剥くには十分な理由になるほどな……」

 アンドレイ=ラプソティは紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンに対して、警戒心をマックスに上げながらも、彼奴の言わんとしていることをどう理解すべきなのかと思案に暮れる。そして、ボソッと自分の意見を口から漏らす。紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンはまたしても、鼻の穴から白い吐息を漏らし、『竜の住処ドラゴン・テリトリー』を白く染め上げる。

「まったくもって間違いだ。そなたのような賢そうな顔をしているのであれば、われの言わんとしていることを察してくれると思ったのだが」

「どうわかれと言うのですか!? 貴方から与えらえた情報から出来る限りの推測をしてみたつもりですよ!?」

 アンドレイ=ラプソティが憤るのも当然であった。とにもかくにも、紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンは一方的すぎる態度を貫いている。そして、自分たちとはまともに話など出来ぬと言わしめん、その態度のどこをどう察すればいいのか? と言い返す他無かった。しかしながら、紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンは弱者が強者に対して、聞けることなど何一つあるわけがないという、まさに傲岸不遜な言葉を突きつけてくる。

「わかりました。自分が欲しがる情報を聞きたければ、神力ちからを示せと言うわけですね?」

「さもありなん。いざ尋常に勝負也」

 紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンはアンドレイ=ラプソティとのこの短い会話で、自分の知りたい分の情報はほぼ全て手に入れることが出来ていた。アンドレイ=ラプソティは創造主:Y.O.N.N様の代わりに遣わされたわけではなく、たまたま、この竜皇様の宮殿にやってきただけなのだと。そうなれば、これ以上、こちらから情報を与える必要など無かった。

 竜皇様の身に起こった異変をこの天使に知られれば、竜界全体の危機にまで発展してしまう。自分の竜力ちからを見せつけて、一刻も早く、この竜皇様の宮殿から出ていってもらうことが最善であった。だからこそ、紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンは最初から手加減無しで、アンドレイ=ラプソティに自分の竜力ちからを見せつける。

 その態度はまるで、兎1匹に対してでも全力を出す獅子のようでもあった。紅玉眼の蒼き竜ルビーアイズ・ブルードラゴンは背中の4枚の竜の羽をおおいに羽ばたかせ、そこから骨までも氷つきそうな冷気を発するのであった。さらに、羽が羽ばたいたことで飛んでくるのは冷気だけでは無かった。大小さまざまな氷塊がアンドレイ=ラプソティたちに向かって飛んでいく。

 アンドレイ=ラプソティは、委縮して動けなくなってしまっているミサ=ミケーンの前に立ち、紅き竜の槍レッド・ドラゴン・ランスを上下左右へと振り回す。氷塊の一片たりとも、後ろに居るミサ=ミケーンに当てないためにだ。

 アンドレイ=ラプソティが炎を纏う槍を振り回し、雨あられのように降り注いでくる大小の氷塊を砕くに砕く。そして、それらを砕いたことにより、飛び散る氷片を槍から生まれる炎で焼いていく。アンドレイ=ラプソティはまるで舞っているかのようであった。槍を下から上に振り上げれば、身体もそれに釣られて上へと伸びる。そうしたかと思えば、その槍を斜め上から斜め下へと振り下ろせば、身体も合わせて移動していく。

 まるでその姿は演舞であった。槍から噴き出る炎すらも、その演舞を優雅に彩っていた。やがて、槍から噴き出ていた炎はアンドレイ=ラプソティの身体にも纏わりつき始める。そうなったことで、アンドレイ=ラプソティは手足でも、飛んでくる氷塊を砕き始めたのだ。

 その甲斐もあって、アンドレイ=ラプソティの背中側にいるミサ=ミケーンには、氷片のひとつすら付着することはなかったのである。

「まっこと優雅な演舞、いや、炎舞よ。ミカエルも嫉妬するほどではないのか?」

「彼女に比べれば、自分はまだまだひよっこレベルですよ。私の師であるミカエル様と比べられるだけ、恥ずかしい想いをしてしまいます」

 アンドレイ=ラプソティのこの発言は謙遜から出た言葉では無い。本当に心の奥底から、炎を操るすべにおいて、師匠を越えられるはずがないと思っていたからだ。ミカエル様が生み出す正義の炎は、炎の魔神ですら灰にしてしまうのだ。自分の力量では、到底、そんなことは出来ない。ミカエルの炎で焼き斬ることが出来ないのは両手で収まってしまう数しか、この世には存在しないのだ。

 そのミカエルですら、焼き斬ることが出来なかったのが『七大悪魔の筆頭』である悪魔皇:サタンであった。第2次天魔大戦において、ミカエルは悪魔皇:サタンに一騎打ちを申し込んだ。悪魔皇:サタンは悪魔的な笑みをその顔にたたえつつ、ミカエルとの一騎打ちを受けた。

 そして、『千日戦争』と呼ばれた第2次天魔大戦をそのまま体現するかのように、ミカエルと悪魔皇:サタンはその身を斬り刻み続けた。だが、ミカエルはその一騎打ちにおいて決定打をサタンの身に打ち付けることは出来なかった。サタンは天界の総指揮官を1000日間、自分ひとりに釘付けにし続けたのであった……。
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