【R18】聖女の思春期奇行列伝 ~創造主は痛みを快楽に変える変態を創り出す~

ももちく

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第18章:地上界の伏魔殿

第2話:帝学

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 ベリアルがまるでヤンキーのように両手をズボンのポケットに両手を突っ込み、さらには下から上へと睨みつけるような恰好で、悪魔皇:サタンが造り替えた魔城を睨みつける。魔城自体が生きているかのように、ドックンドックンと鼓動を周囲に響かせていたのである。その鼓動の音がベリアルの鼓膜に響くたびに、ベリアルの眉間のシワが深いモノへと変わっていく。

「こりゃ、何を産み出そうとしてるのかねえ……」

「とんでもないモノであることは間違いないでしょう。3万人の女性の子宮を使えば、七大悪魔に匹敵する何かを、この地上界に降臨させれるはずです」

「チュッチュッチュ。出たとこ勝負なのは変わらないのでッチュウ。何が出てきても、ぶっ飛ばすのには変わりないのでッチュウ」

「カハッ! コッシローにしては良いこと言うじゃねえかっ! んじゃ、うちの御大将をボコりに行こうかっ!」

 ベリアルはようやくズボンのポケットから両手を引っこ抜くと、いつものように髪を手で整え、戦闘態勢を取るのであった。そして、アリス=アンジェラに遅れるんじゃねえぞ! と声を掛ける。そして、手の中に死神の大鎌デスサイズを現出させ、その柄を握りしめ、皆を置いて、魔城に向かって走り出すのであった。

「まったく……。ベリアルは本当に齢1000歳を越えているようには思えまセン」

「まあまあ。悪魔らしい無邪気さで良いじゃないですか。ふてくされっぱなしの相手をするよりかは、アリス殿も楽でしょう?」

「それはそうデスガ」

 アリス=アンジェラは唇をアヒルのクチバシのように尖らせる。しかしながら、フゥ……と息を吐き、肩に入ってしまっていた要らない力を抜く。その後、先に行ってしまったベリアルを追いかけるように駆け出すのであった。

「アリスちゃんにとっては、ベリアルは世話のかかるお父さんみたいな存在ですニャン」

「そうですね。奔放すぎる父親ですが、放っておけない魅力を持っています。さて、私たちもベリアルを追いましょう。手を離すのは忍びないですが、この戦いが終わったら、ミサ殿の手が骨折するくらいに手を繋ぎましょう」

 アンドレイ=ラプソティはそう言った後、ミサ=ミケーンの右手から左手を離す。その後、右手を天へと振りかざし、その手で紅き竜の槍レッド・ドラゴン・ランスを現出させたのである。アンドレイ=ラプソティは、その炎噴き出す槍を構えながら、アリス=アンジェラを追いかける。

 ミサ=ミケーンはアンドレイ=ラプソティと手を離した後、腰の背中側に結わえてある鞘から短剣ダガーを取り出し、出し惜しみせずに、その短剣ダガーを2本に増やし、両手に一本ずつ、装備するのであった。

「少々、飛ばすでッチュウけど、振り落とされないようにしておくでッチュウ。あと、ミハエルも、皆に遅れないように走るでッチュウ!」

「振り落としてくれても、構わんぞえ。ミハエルがお姫様抱っこしてくれるかもしれんからのぅ」

「あ、ああ。なるべく優しく抱き上げよう。しかし、お姫様抱っことはどうやるのかがわからないが」

「ああん! もう、このクズ男の発言には、いちいち子宮がうずくのじゃぁぁぁ! わらわが一から教えてやろうぞぇ!」

 コッシロー=ネヅはハァァァ……とあからさまなため息をつき、2人の会話を無視して、アンドレイ=ラプソティたちの後を追いかけ始める。ミハエル=アレクサンダーは、ガチャガチャと黄金こがね色の全身鎧フルプレート・メイルを鳴らしながら、遅れまいと走り出す。

 ミハエル=アレクサンダーはその眼で見た。変わり果てたレオンハイマートオートの姿を。首都の中へと足を踏み入れると、地面自体がドックンドックンと波打っていたのである。ミハエル=アレクサンダーは後悔の念に押しつぶされそうになるが、波打つ地面を蹴り飛ばしながら、皆の後を追いかける。すると、彼の眼には信じられない光景が映し出されることになる。

「ああ、俺は何ということに手を貸してしまったんだ! 俺の選択が皆を生き地獄に導いてしまった!」

「この阿呆がっ! 貴様はそれでも外道らしく、振る舞わなくてどうする! キャラをぶれさすんではないっ!」

 足を止めてしまったミハエル=アレクサンダーに向かって、バシーンと右手で彼の顔面を平手打ちをする人物が居た。それはもちろん、彼のきさきになろうとしているヨーコ=タマモであった。彼女は残された右腕を大きく振り回し、渾身の妖力ちからで、ミハエル=アレクサンダーの頬をその被っている兜ごと、右手で打ちぬいたのである。

 ミハエル=アレクサンダーは我に返り、平手打ちしたために、痛む右手へふうふうと息を吹き付けているヨーコ=タマモを気遣いし始めるのであった。彼女の右手を愛おしく両手で包み込み、彼女に向かって、男らしい言葉を投げかける。

「貴女はいつでも、俺を正気に戻してくれる。そんな貴女を俺で良ければ、護らせてくれ……」

「はんっ! まだまだじゃのっ! わらわは外道なおぬしに惚れこんでおるのじゃ。ことあれば、わらわを盾にしてでも、やりたいことを成し遂げろ。ただし、わらわのことを一生、その心の枷として、生きるが良いっ!」

 ヨーコ=タマモの言葉を聞いていると、自分の女々しさに笑いがこみあげてくるミハエル=アレクサンダーであった。母親のトモエは女性特有の妬み嫉みが渦巻く後宮において、自分を貫き続けた女性であったと聞かされていたが、その母親よりも剛毅な女性だと思えて仕方がない。しかも、紳士としてではなく、外道を貫けと教えてくれるヨーコ=タマモであった。

「あい、わかった。民や国を統治するのと同じく、優しさだけではダメだということだな」

「ほんに、その通りじゃ。おぬしは神聖マケドナルド帝国の次代のみかどぞ。これから先、さらに版図を広げるのであれば、無数の諸外国から忌み嫌われることになろうて。それでも、自分を貫くには、まさに『外道』にならねばならぬ」

「手厳しい帝学だ。貴女はもしや、どこぞの国で立派な地位に就いていたのでは?」

「それは秘密じゃ。女は秘密をたくさん持っておる。その秘密のベールを1枚1枚剥ぎ取るのは、男の務めじゃ。わらわからそのベールを剥ぎ取れるよう、努力するが良い」

 ヨーコ=タマモは言いたいことは言い終わったとばかりに、再び、コッシロー=ネヅの背中に乗る。そして、はよ、行かんかとコッシロー=ネヅに言ってのける。コッシロー=ネヅはやれやれといった雰囲気を出しつつ、少し早めのスピードで駆け出し、わざとミハエル=アレクサンダーから距離を離すのであった。

「立派なご高説だったのでッチュウ。これなら、アンドレイ様が天界裁判を受けている空白の時間、ミハエルを教育し、同時に護る役目をヨーコに任せっきりで良さそうでッチュウ」

「ふんっ。甘ったれの坊やの教育をわらわに任せっきりにした日には、アンドレイ様が再び、地上界に降臨した時には、白目を剥き、口から泡を吹く始末になろうて。もっと人選を考えたほうが良いのではないか?」

「アンドレイ様が白目を剥くとしたら、ヨーコとミハエルの間に子が出来て、ヨーコのお腹が大層、膨れている姿を見た時ではないでッチュウかね?」
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