【HIDE LEVELING】転生者は咎人だと言われました〜転生者ってバレたら殺されるらしいから、実力を隠しながらレベルアップしていきます〜

久遠ノト@マクド物書き

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2-1 少年立志編:勇者と転生者の出会い

61 連携確認ふぉーふぁいぶしっくす

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 そして、作戦会議から二時間が経った。
 その中で出てきたのは「『魔素感知』がパッシブスキルになっているからそれを活かそう!」って話。
 どうやら、俯瞰視点で魔素の増幅を感じて、尚且つ大体の位置が分かるって感じらしい。
 つまりは簡単に言うと、相手の魔素が見えて感じ取ることができる。それが僕の半径20m程の距離なら感知が可能なんだと。
 自分の頭の中に戦闘機のレーダーを搭載した気分だ。

 そして作戦会議のメインの話題は『戦闘で用いたことが無い魔法の練習』。
 相手が囲んできた時、相手がこちらに気付いてないとき、強襲された時等々。様々なパターンを想定して、その時に使える魔法を考えていった。
 けれど二人とも実際の戦闘はしたことが無いから探り探りだ。

「魔法を戦闘で使う、か。ナグモさんの前で魔法が使えたら一番いいんだけどなぁ」

「それは仕方ないですよ。だから、こうして練習をするんです!」

「ここだけは僕達の想像力任せか」

 と、言いながら持ってきていた訓練用の服に着替えてストレッチ。

「攻撃の動作の中でどうやって組み込むのか、って話でしょ? 無詠唱魔法でも殺傷性が保てる魔法……衝撃インパクトなら十分にできるけど、近距離だったら火槍ファイアランスも行けるかな?」

 詠唱有りきで考えるとおそらく全部使えるだろう。
 しかし、戦闘経験がない時点で戦闘時に詠唱に集中ができるとも思えない。

「あ! だったら私が魔法を使うっていうのはどうでしょうか! 魔素を共有してますしおすし」

 隣のエリルが僕と一緒のストレッチをしながら、提案をしてきた。
 
「あ、そういうのってありなの? 神様的なアレだから無しかと思ってたんだけど」

「大ありですよ! バレなきゃいいんです。へへへ。こんな適当な世界、今更ズルいことやっても怒られませんって」

「不良だなぁ」

 結構エリルは根に持つタイプだ。彼女なりにこの前の話は堪えたのだろう。
 まぁでも、エリルが魔法を使うのか。それが許されるなら戦闘の幅が広がる。
 エリルはエリルで僕は僕で魔法を使えば、それはもう実質二人だ。それもいつでも連携が取れるからとても有用性が高い。

「なら、実際にやってみようか。僕は適当に攻撃の動作をしてみるからよろしくね」

「あいあいさ!」

「じゃあ、僕の中に入って」

「あ、そうだった」

 苦笑いを浮かべ、エリルは体内に入っていった。
 エリル本人がストレッチをしていた意味はあったのだろうか、という思考は捨てよう。

「ふぅーーっ…………」

 呼吸を深くして、頭の中で目の前にナグモさんを置いた。
 そこから考えられる動きを頭で描きながら、パターンを決定。
 まぁ、最初だし、緊張せずに普段通りしてみたらいいか。

 ――スンッ。

 両腕を垂らした状態から体の前に軽く構え、前進しながら体を回転させていきおいよく空を切る。
 そして、刀だけでなく体全体を使っての蹴りを連続で出してみた。

(ナグモさんだったら僕の蹴りを避けるために間合い外に出るか?)

 蹴りを繰り返すなんて単調な攻撃をしていると、ナグモさんは僕の足を掴んで壁に向かって投げ飛ばそうとするから――……。

 そこからは、無意識に頭の中のナグモさんを永遠と追っていた。
 そして仮想の攻撃に対して防御を取っていると、目の前にクルっと魔法陣が5つ展開した。

(――『風刃ガウィン』!)

 エリルが無詠唱魔法を発動し、『風刃ガウィン』が高速で飛んで行った。

「うあ……すご」

(ますたー、続きを!)

「あ、あぁ、うん。わかった……!」
 
 攻撃をして、次の攻撃の間にエリルが魔法を発動。
 走る前方へ『土壁』を作り、それを踏み台にして跳躍。
 下降する際に『火槍』を僕の周りに作り出して、攻撃と同時に斉射。
 これ、めちゃめちゃ強いのではないか? と思いながら気が済むまでエリルと連携を確認をしていった。


      ◆


 魔素がほとんどなくなるまで確認し、僕は床に腰を下ろした。

「あー……つかれたあ」

 汗が滝のように噴き出し、パタパタと服を動かして少しでも涼もうとする。
 エリルも外に出てきて必死にぱたぱたと手で仰いでくれている。
 自分が意図しないタイミングで魔法が発動されたり、魔素が使われたからかやたら疲れた。

「でも、これ……強いね」

「問題はそんなに長く使えないということですかね」

「うん。魔素の量がそもそもあまりないからあれだけ使われるとシンドイかも……。あ、だったらさ魔素の使用量を省エネするっていうのはどう?」

 僕と連携をしているのだから、魔法の単体の殺傷能力がなくとも合わせれば十分に倒すことはできるだろう。
 けれど、僕の言葉を聞いてエリルはムムムと考え込んだ。
 
「あら、もしかしてダメだった?」

「いや、省エネ……ってなんだろうかなぁーって」

「あーーー……っと。ちょっと使用量を抑えたら嬉しいなぁーって」

 そっちが分からなかったのか。
 そうか、省エネってばちばちの造語だものな。

「魔素量を抑える……分かりました! 威力は下げない方向で、ですね!」

「そうそう。小さくしてみたり、下げれるところは下げて、上げれるところに魔素を注いでいけたらベストかなあ……僕の方も頑張るから、何か意見があったら欲しい」

「ふむふむ! おっけーです!」

 多少魔法陣に書かれている文字ルーンをいじることになるけど、『魔導理解』『魔素操作』『言語理解』が活躍してくれるはずだ。
 一見なんの文字が書かれてるのか分からない文字ルーンもユニークスキルの前では、ただの文字として認識されるから、あとはそれの組み換えと魔導の理解を頑張れば……うん、いけるはず。

 そこから先は、魔法の最終確認と話を詰めていった。

 戦い方とか心構えを話していったんだけど、やっぱり、一番手っ取り早いのはパーティーを組んでクエストをするのがいいのだろうけど、残念なことに僕に気軽に話をかけれる冒険者の知り合いなどいない。
 だって、僕、友達ゼロ人だもの。つらい。
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